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ながびく「ひきこもり」のところにも心理療法を [2022年06月09日(Thu)]
【連続記事】今年こそマインドフルネスでSDGs3.4 自殺の減少を
 〜 自殺防止 2022年
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自殺対策 〜 心理職に期待(10)
 〜 ながびく「ひきこもり」のところにも心理療法を

 雑誌「臨床心理学」125号(2021年9月、金剛出版)は、特集「自殺学入門」。
 そのうち、「自殺対策と心理職―保健・医療における自殺対策と心理職に期待される役割」 (河西千秋氏、札幌医科大学)
 を見ました。

ながびく「ひきこもり」のところにも心理療法を

 東京都江戸川区が「ひきこもり」の調査結果を発表しました。画期的であり、多くのメディアが報道しています。

https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20220608b.html
★これはNHKです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220608/k10013662971000.html

 「ひきこもり」については、このブログでもたびたび触れています。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4273
★隠れ不登校33万人=日本財団の調査

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4294
★内閣府の調査、中高年のひきこもり、61万人

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4770
★ひきこもり、「7040問題」「8050問題」

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4772
★病気でない「ひきこもり」にも

江戸川区の報告書

 これから、就労支援が重点的な支援対策aとして、とられると思いますが、 江戸川区の調査報告で、私が注目したのは、きっかけ、困ったこと、要望のうち、 「病気や健康」のことです。病院に相談したことになっていますが、改善しないで、ひきこもり状態が続いているのではないかという懸念です。

年齢では、40代、50代が多い。(p10)
きっかけは、「いじめ」「学校・職場になじめなかった」「人間関係」 「長期に療養を要する病気にかかった」のもあること(p10)

 「困りごと」として、「自分の健康」「家族の健康」「いきがい」があります(p16)。心理的なケアの不足が関係していると思います。

 「当事者」だけの回答(p20)では、収入、仕事は、もちろんですが、ほかの[自分の健康」「家族の健康」「いきがい」です。これで、ひきこもりになっているわけです。心理的な問題(うつ病や社交不安などが治らないとか)もあるでしょう。

 「当事者」が求めていること(p22)で、仕事、収入のほかの、「身体・精神面について専門機関への相談」です。病院にかかっているのに、これが求められています。
 「相談相手」(p24)として、心理職がないことです。もし、病気が薬で治らない場合、相談相手がいません。すでに「相談した場所」(p26)に「病院・診療所」があります。それでも、治らないうつ病などがあるのではないでしょうか。 「文化活動」(p34)には「興味がない」ひとが多いです。

 「家族の声」のうち、「不安」なことは、「当事者の健康」が多い、ということは、ひきこもりの当事者の身体の病気、精神の病気を家族が心配しているのでしょうか。病院では不十分であったということでしょうか。そして「家族の健康」も不安という。家族も病気になっていくことを不安に感じているのでしょうか。

 「当事者に必要と考えるもの」(p42)には就労関係のことは、もちろんですが、「身体・精神面について専門機関への相談」があるのですが、病院・診療所のほかに必要なのでしょう。「相談した場所」(p46)として、病院・診療所があるのに、さらに「専門機関」が必要(p42)というので、難治性の病気(薬で治らないうつ病、不安症、過食症なども含まれているうのではありませんか)を推測できます。

 「今後の課題」として、「調査では、今後への課題も浮かび上がりました。区は、最も大きな課題として今回調査に未回答だったおよそ7万7000世帯の実態把握を挙げています。区では、すみやかにこうした世帯に対して追加の調査を行いたいとしています。」

 ここには回答したくないような深刻な状況があるのかもしれません。

 うつ病、パニック症などが治らない人もいることは、別に知られています。引きこもりを余儀なくされているところに、こういう精神疾患もあるでしょう。ひきこもりの支援対策にも、治りにくい精神疾患を持つ人の支援対策、心理的カウンセリングや認知行動療法による支援も忘れないでほしいものです。

【参考書】
大田健次郎(2013)『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社
大田健次郎(2022)『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社

【第4世代の認知行動療法】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4236
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4887
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4947

 【自殺対策〜心理職に期待】
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https://blog.canpan.info/jitou/archive/4893
【連続記事】今年こそマインドフルネスでSDGs3.4 自殺の減少を
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Posted by MF総研/大田 at 12:44 | 自殺防止は医者以外も | この記事のURL