地域での自殺対策に心理職の関与が少ない [2022年05月24日(Tue)]
【連続記事】自殺対策 〜 心理職に期待
地域での自殺対策に心理職の関与が少ない雑誌「臨床心理学」125号(2021年9月、金剛出版)は、特集「自殺学入門」である。「自殺対策と心理職―保健・医療における自殺対策と心理職に期待される役割」 (河西千秋氏、札幌医科大学) この論文は、自殺対策の心理職が取り組むべきと述べている。 私は医師だけではなくて、心理職、地域のボランティアもうつ病を治療することに参画してほしいと思うので、関係が深いことをみていく。まず、背景のうち、いくつか拾ってみる。 「自殺死亡者のほとんどが、最終的には精神疾患に罹患した状態で亡くなっている」(p528)。 「自殺企図行動は、精神疾患の影響で、脳が病的状態に陥った中で決断、実行されているのであって、ケアや治療の対象なのだ。しかも、これらの精神疾患の多くは、標準的なケアや治療により改善し得ることがわかっている以上、ケアや治療をせずに放置することは不作為になる。」(p528) そして、いくつかの自殺対策を紹介している。一つは、「自殺未遂者等に対するAssertive case management」について紹介。これに心理職が参加している。 次に、「病院内における自殺事故予防と事後対応」を紹介。 「実は、病院内では多数の自殺事故が発生している。」(p530) 病院内の自殺事故の大規模調査では、「回答の得られた一般病院の29%に入院患者の自殺事故が発生していることが分かり、その3分の1以上はがん患者であることが明らかとなった。」 (p530) 「2015年の調査では、精神科病床を持たない総合病院・一般病院で生じた自殺事故の約半数ががん患者であることが分かった。」(p530) うつ病は薬物療法で治らないひとでも、マインドフルネスSIMTで治るひとがいるので、これを実践してほしい。支援するカウンセラーに相談してほしい。 筆者の新刊 『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』 は、がん患者等の「死」の不安を持つ人のうつ病、自殺防止のマインドフルネスSIMTの実践書である。患者や支援者が実践して闘病していただきたい。これは、第4世代の認知行動療法のうちでも深い「死」と向き合うマインドフルネス実践ですから、支援できるマインドフルネスの専門家はいない。2年ほどの教育でできるので、精神科医のいない病院、地域で活動していただきたい。 (続く) 【がん患者のうつ病・自殺】 https://blog.canpan.info/jitou/archive/2863 https://blog.canpan.info/jitou/archive/4982 https://blog.canpan.info/jitou/archive/1783 【第4世代の認知行動療法】 https://blog.canpan.info/jitou/archive/4236 https://blog.canpan.info/jitou/archive/4887 https://blog.canpan.info/jitou/archive/4947 【医療従事者のうつ病・自殺】 【1】 【2】 【3】 【4】 以下は、医療従事者にかかわらず、自殺対策一般になります 【自殺対策〜心理職に期待】 【1】 【2】この記事 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】 【11】 【12】 【13】 【14】 【15】 【16】 【17】 【18】 【19】 【20】 【21】 【22】 【23】 【24】 【25】 【連続記事目次ー自殺対策〜心理職に期待】 【1】うつ病を完治に導くSIMTのこれまでの経過 【2】地域での自殺対策に心理職の関与が少ない 【3】心理職と自殺対策の関わりについて3つの印象 【4】地元の人も行動をおこしてみませんか 【5】医大付属病院と心理職共同で検証実験を 【6】心理職がうつ病の治療に共同で実験を(2) 【7】医師による心理カウンセリング 【8】がん患者の心のケアも心理職が 【9】慢性の痛みを抱える人にマインドフルネス心理療法SIMTを 【10】ながびく「ひきこもり」のところにも心理療法を 【11】うつ病や不安・不眠の人が薬を減らす時の 重要な注意事項 〜 ベンゾジアゼピン離脱症候群 【12】ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症候群について 〜 厚労省のマニュアル 【13】子どものうつ病の回復、自殺防止の領域にも心理職が 【14】うつ病を予防・改善し自殺を防止する対策〜自治体・企業が 【15】産前産後うつ病の支援にも心理職による認知行動療法 【16】どこかで試験的に認知行動療法センターを 【17】内閣府「地方創生SDGs官民連携プラットホーム」に「ソリューション」登録 【18】自殺防止対策〜相談機関が連携を 〜 精神科医の治療を受けていても自殺 【19】子どもに多い場面緘黙(選択性緘黙) 【20】小中高の学校の教師のうつ病による休退職、自殺 【21】過労うつ病、過労自殺〜精神障害の労災認定 【22〜2?】マインドフルネス心理療法SIMTの特徴 【22】 (1)観察の範囲の違いー生活場面・時の違い 【23】 (2)観察の範囲の違いー自己の深さの違い 【24】 (3)観察の範囲の違いーハラスメントする心理・エゴイズムの心理 関連記事 https://blog.canpan.info/jitou/archive/4893 【連続記事】今年こそマインドフルネスでSDGs3.4 自殺の減少を 〜 自殺防止 2022年 https://blog.canpan.info/jitou/archive/2259 ★常に続く専門家となった者の陥りやすい執着 難治性のうつ病で苦しむ人のための自殺防止対策や新しい治療法の開発を https://blog.canpan.info/jitou/archive/4786 【連続記事目次】なぜうつ病になるのか なぜ自殺が起きるのか |
Posted by
MF総研/大田
at 20:57
| 自殺防止は医者以外も
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