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抗うつ薬のHRQoL改善効果は持続しない(3)〜非定型うつ病 [2022年05月01日(Sun)]

抗うつ薬のHRQoL改善効果は持続しない(3)〜非定型うつ病

 サウジアラビア・King Saud UniversityのOmar A. Almohammed氏らは、抗うつ薬がうつ病患者のHRQoLに及ぼす影響を検討した結果をPLoS One(2022年4月20日オンライン版)に発表した。

抗うつ薬は健康関連QOLを長期に改善しない

 うつ病の薬物療法では、完治割合が低い、3−4割が治らずに、苦しみ続ける。 上記の研究データは2年服用しても特に、身体系の満足度が低いというものです。
 日本でも、非定型うつ病が治りにくいことが知られています。その特徴は、鉛様麻痺感です。頭は回転する(だから精神系の症状は軽いこともある)が、身体が重い。
 上記のアメリカの研究データのうつ病は、非定型うつ病がかなり多く混じっているでしょう。

 非定型うつ病については、こちらに述べました。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4790 

 非定型うつ病は、セロトニン神経などに作用する抗うつ薬では治りにくいことはわかっているのですから、非定型うつ病らしいという診断がついて1年ほど薬物療法を提供してみて完治しないなら、認知行動療法を提供する仕組み、制度を構築してほしいと思います。うつ病が完治しないということは大変につらいことですから。
 マインドフルネスSIMTのスキルを持つマインドフルネス瞑想療法士レジスタードマークがいたとしても、 独立しては経営が成り立たないので専念しにくいことが分かってきました。 地域包括支援センターのようなスタッフの中に、非定型うつ病の改善を支援できる人を置いたらどうでしょうか。精神医学界のほうからは、賛同を得られにくいでしょうが、医師が心理療法には参入しないというのであれば、やむをえないのではないでしょうか。患者さんの苦しみを思うと。
 または、精神科病院の中に、非定型うつ病の支援ができる認知行動療法を提供できる特任の心理士を置く(政府の予算で)制度はどうでしょうか。
 非定型うつ病の患者さんが完治すれば、十年にもおよびかねない薬物療法をストップできるのですから、政府の予算面では増加するだけではありません。

 新しい制度をつくるためには、患者さんや家族の声もあればありがたいです。対策が遅れていますので、何か新しい制度を作っていただきたい。
 がん患者さんも自殺が多いといわれます。がんになって、非定型うつ病の併発をしたら、治療が難しいでしょう。

注)マインドフルネスSIMT=自己洞察瞑想療法。無評価で観察するマインドフルネスを超えて、日本で開発されたマインドフルネス心理療法。
文献
『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社、『 不安、ストレスが消える心の鍛え方――マインドフルネス入門』清流出版、『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社

【参照文献】
長年月、薬物療法で治らなかった非定型うつ病が、マインドフルネスSIMTで、治ることがある。

「マインドフルネス精神療法」7号
p41に非定型うつ病ーケースC、ケースD

「マインドフルネス精神療法」7号
非定型うつ病は、p49,50,52。



https://blog.canpan.info/jitou/archive/4975
★殺戮・戦争・核・ハラスメントの被害者になるかもしれない現実の社会で自己のエゴイズムの心理を「無評価」「評価」ということを考える

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4970
【目次】うつ病の治療法の問題
Posted by MF総研/大田 at 18:06 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL