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マインドフルネスは解決したい問題によって異なるものがある [2022年01月03日(Mon)]
◆現在日本の「マインドフルネス」者は、うつ病を完治できるまで支援できるマインドフルネスはほとんどない。アメリカでは、うつ病のマインドフルネスも普及しているが、日本では危機的状況。

★マインドフルネス支援者のエゴイズム、抑制する自己規制、倫理
「マインドフルネス」といっても、うつ病等を扱えない人がいるので注意してください。
★倫理的ガイドラインの一例
悪いカウンセラー、スキルのないカウンセラー、うつ病をよく知らないカウンセラー
★倫理規定の一例
★還元主義、画一主義、全体主義のおそろしさ、その批判
★未来をつくる力は多様性のなかにある
 大学の学問から革新説を排除するのは困る
 還元主義、画一主義、全体主義になるから。大学で実際起きている。
★見て見ぬふりされて長期の療養、自殺に追い込まれる「うつ病」

★(2011年)うつ病が治らない人が多い。精神療法を普及させようとしない。
これが続く限り、完治しないで薬を服用し続けざるをえない患者さん。そのうち何かの出来事で悪化、自殺も。この後も、毎年発表される自殺の原因=自殺した人のうち何割かは治療中だった。
精神療法との併用の制度を早急に。
一つの案=公認心理士による「うつ病を治す」精神療法を健康保険扱いに。再発予防、職場復帰のリワークとは異なる支援制度を。薬を服用し続ける「寛解」にとどめず完全断薬の「完治」まで支援する精神療法を。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4806
★従来のものを超えていこう=イシグロ氏、ガブリエル氏

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3928
★問題解決のためにまず動くのは現場を知るNPO、学者はその後でそれを研究。  だとしたら、せめて学者はNPOの新しい活動を妨害しないで!


https://blog.canpan.info/jitou/archive/4887
【連続記事】今年こそマインドフルネスでSDGs3.4 自殺の減少を

マインドフルネスは解決したい問題によって異なるものがある

マインドフルネスは、種々の情報によれば、効能が違います。
 〜 集中力、ストレス緩和など病気ではない問題
 〜 痛みの緩和(MBSR=2か月程度)
 〜 深刻な慢性痛みはさらに別のマインドフルネス)
 〜 うつ病の再発防止(これには、MBCT)
 〜 うつ病、非定型うつ病、パニック症などの精神疾患の改善
 〜 パーソナリティ障害(これには、弁証法的行動療法)
 〜 がん患者の死の問題など

 難しい問題、長くかかる問題の解決支援をするマインドフルネスの専門家が少なくて困ります。 違うマインドフルネスをしてしまうと、精神的な副作用、精神的な後遺症をもたらすおそれがあります。自殺をもたらすことさえ予測されます。
 すでにアメリカでは、 無評価のマインドフルネスは学校、職場や医療現場では使えないと批判されています。未成年のいる学校、病気の人のいる病院では使えない、ということは、学校、病院の外でも、未成年、病気の人には無評価のマインドフルネスは、用いないほうがいいという警告でしょう。 独断、偏見、ハラスメント、不正、いじめなどを傍観することを助長するおそれがあります。  うつ病などで苦しむ人に、浅いマインドフルネスで接して、絶望させて自殺に追い込むおそれもあります。

 マインドフルネスは「科学」であるというのであれば、定義や詳細な態度や適応症を学問的に検討してガイドラインを定めるべきです。「無評価の観察」だけのマインドフルネスは「科学」であるという命題も再検討すべきです。坐禅とほぼ同じです。MBSRも目的を持たないとジョン・カバットジン氏が言っています。

心理的訓練をする内容が違う

 現在、ブームのマインドフルネスは、ジョン・カバットジン氏のMBSRがきっかけです。そして、MBSRを超えて、種々に分派しています。仏教も多数に分派しましたが、それと似ています。 仏教がなぜ分派していったのか、わかるような経過です。
 人々の要求は種々ですから、異なる要求にあったものを提供するように分派していったのでしょう。「マインドフルネス」も同様の歴史を短い年月で展開しています。

「無評価で観察」だけのマインドフルネスは重要な訓練を含めていない

 被害者が出ないうちに、マインドフルネスの学問の発展のために整理します。

 元来、ジョン・カバットジン氏のMBSRのマインドフルネスには、7つの態度があります。「集中力の向上」には、(A1)無評価で観察ですむかもしれませんが、2か月くらいで痛みの緩和を目標にする医療には、7つの態度によるマインドフルネスが必要とされます。さらに、それくらいでは治らない慢性の痛みや精神疾患の治療法としては、さらにもっと効果のある「マインドフルネス」を研究しなければなりません。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2431

(A)ジョン・カバットジン氏のMBSRにおけるマインドフルネス7つの態度

(A1)自分で評価をくださないこと=常に偏見のない第3者の目で見ること
(A2)忍耐づよいこと
(A3)初心を忘れないこと=先入観、偏見などを捨てて
(A4)自分を信じること
(A5)むやみに努力しないこと
(A6)受け入れること=一つの見方を強制しない、異説も排除しない
(A7)とらわれないこと=良心を働かせて

7つの態度の説明のリンクへの目次
    ★捨ててはいけない態度について、再考(まだ一部ですがいずれ捨てられた7つのすべてを再考してみたい)
    https://blog.canpan.info/jitou/archive/4887
    (1)偏見がないこと=世界の立場である、自己の見方を捨てることであるはずだが、マインドフルネスを推進する者の中にこれを守らない者がいる。MBSRの「無評価」が理解されていないのだ。あとで、再論したい。
    https://blog.canpan.info/jitou/archive/4888
    (7)とらわれないこと
(B)MBSRには背景に哲学があります。

 道元も、独断、偏見、一つの解釈への執着を抑制すべきことを厳しく主張しています。瞑想、坐禅の時は目的を持たないということも、道元とMBSRに共通です。西田幾多郎は後期に実践哲学についての2つの論文を書いて、実践指針は「至誠」ということばであらわしました。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3582

(C) MBSRは浅いものであり全体性への扉です。ジョン・カバットジン氏がそう言っているのです。だから、MBSRの観察法は浅いのです。ましてや、MBSRの7つの態度を一つにした「無評価で観察」は、さらに浅い、限定的です。 もっと深いものがあると彼自身が言っているのです。これを研究開発しなければなりません。

だから、全体性の位置から見ることを実現するマインドフルネスがあります。全体からの立場といえば、すべての人間の価値、基準などが生まれる以前だろうと思われます。大乗仏教の空、仏性、西田幾多郎の絶対無、鈴木大拙の超個、井筒俊彦の無分節、久松真一の東洋的無に該当すると思われます。道元の上記の記事の中の「萬法ともにわれにあらざる時節、まどひなくさとりなく、諸佛なく衆生なく、生なく滅なし」であろうというのが、多くの哲学者(西田、鈴木、久松、井筒など)の意見です。私も同意します。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3085

 「全体性」は、ロゴセラピーで有名なヴィクトール・フランクル(ナチスの収容所に収監された精神科医)にも、同様の哲学があります。彼の言う「宗教的無意識」が絶対無に近いです。これで、救済される人もいるでしょう。西田哲学で「行為的直観」を彼は「精神的無意識」といいます。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2851
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3194

(西田哲学の実践論も「全体の立場」がでてくる。ジョン・カバットジンの「全体性」と同じであろう。カバットジンは日本のものから学んだはずである。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2326
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3582

(これは重要なので、日本マインドフルライフ協会でも講義しました。この団体は活動を休止しています。)

 この(A)(B)(C)のすべてを包含する「マインドフルネス」ならば、 西田幾多郎、鈴木大拙、井筒俊彦などに通じるものがあります。

倫理的配慮をする心理を観察する深い観察まで

1.多数派=無評価だけ
ブームのマインドフルネスが多数派です。たいてい(A1)無評価で観察を「定義」としています。世俗的マインドフルネスとも呼ばれます。目的を持つからでしょう。 集中力の向上に効果があるとされています。
現代では自分の欲望を抑制して共生、共存していくべきなのに、MBSRにあるこの倫理的な配慮に関する態度が抜け落ちています。

2.中くらいの派=独断偏見排除心も瞑想で観察
純粋のMBSR。マインドフルネスの7つの態度(A1〜A7)による。これを忠実に実践する人々。しかし、なお、瞑想中心である。 対人場面ではない、ボディスキャン、ヨーガ瞑想、正座瞑想、食べる瞑想、歩く瞑想などである。 対人場面、職場での真っ最中は用いることができない。「瞑想」である。行動時の観察が訓練されない。
現代、自分の欲望を抑制して共生、共存していくのですが、MBSRにあるこの倫理的な配慮に関する観察態度が含まれていますが、瞑想だけが強調されて、実際社会生活の現場での観察態度の手法が抜け落ちています。

3.やや少数派=独断偏見排除心も瞑想で観察し現実の場面で抑制
 瞑想の時だけではなくて、対人場面、職場などの真っ最中に、自己を観察するもの。主な態度はA1-A7です。トレーニングは、瞑想の時にA1−A7のトレーニングをするほか、行動時にも自分のA2−A7を実践するものです。A1は、対人行動時には無理です。ポージェスのポリヴェーガル理論で指摘するとおりです。 現代の民主主義社会では自分の欲望を抑制して共生、共存していくべきといわれますので、MBSRにもあるこの倫理的な配慮に関する観察態度こそ重視されています。

4.少数派=自己存在、死の苦悩
 ジョン・カバットジン氏のいう「全体性」が、東洋哲学にあった自己の根源と同じだとすれば、世界の立場によるマインドフルネスによるものになるでしょう。まだ、ほとんど見られません。仏教には、大乗仏教、鈴木大拙などがあると思われますが、「マインドフルネス」と標榜するものは、ほとんど見つけることはできません。しかし、死の問題、自己とは何か、「宗教」「仏」「神」とは何か、という問題で苦しむ人には必要です。
共生、共存していきたいのに、その生命が消えゆくという苦悩までも解決したい観察を包含したい 自己洞察になるでしょう。

 多数派のマインドフルネスは、多数の専門家がいますが、深刻な問題の解決には十分ではありません。
 深刻な問題に適用する場合、他の療法や哲学との併用が必要になります。たとえば、アクセプタンス・コミットメント・セラピー(ACT)は、「マインドフルネス」だけではなくて、他の哲学、療法が併用されています。弁証法的行動療法も、マインドフルネスだけではありません。
 認知行動療法に併用する方法もあるでしょう。種々の療法やスキルにマインドフルネスをプラスする方法もありそうです。
 多様性を認める社会ですから、こういう形でマインドフルネスが広く活用されることは社会が求めることです。

 ただし、残念なことは、うつ病、非定型うつ病、パニック症、過食症、慢性の痛みなどを改善するような「マインドフルネス」が日本にはまだ少ないことです。治れば自殺を防止できます。 マインドフルネスSIMTで治った人の体験記をみれば、何度も自殺をはかったことがあるというひとがかなりあります。うつ病を改善して自殺を防止することは確実です。もちろん一部です。改善効果を高める方法を研究をしていく価値があります。 きわめて少数派です。
 共生すればいいのに、残念なことに、多数派を支持する学者が、深いマインドフルネスを排除することです。MBSRのA2-7の定義に違反する行為だと思われます。うつ病の治療法としての精神療法を必要とする人は多くはありません(本人も家族もうつ病でないひとはそうでしょうが)が、生命にかかわる病気を改善するかもしれないのに、「無用だ」というのはおかしいです。
 難病になる人は少数だから、その治療法の研究は必要ないというのに似た暴論です。

地方創生SDGsのゴールのために

 無評価の観察の瞑想を超えた自己洞察手法は、うつ病やパニック症などの改善の事例が多数ありますので、自殺防止に貢献できる可能性があります。地方創生SDGsでも、自殺の減少、質の高い教育の実現があります。
 だから、これから、全国の自治体やジャーナリズム、大学とのパートナーシップで「学問的な」議論をしていくことを期待します。仏教は種々の流派があり、必要とする人々が信じています。マインドフルネスも多様性を尊重して、共生共存すればいいではありませんか。可能性ある治療法を学問的な議論もせずに、排除するべきではありません。

 「マインドフルネス」を標榜する人、組織は、深刻な被害者がでないうちに、治療法か予防法か、そうでないか(病気とは関係ない、たとえば、ビジネス上の要請に応えるもの)の適応領域を学問的に明確にすること、そして、倫理的ガイドラインを定めることを、学会、業界、大学に求めたいと思います。その教育やサービスを受ける国民が被害を受けないこと、国民の利益のためです。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4714
ターゲット3.4=自殺の減少

 自殺防止、うつ病の完治に関心のある大学や企業、自治体とのパートナーシップで試験的なプログラムを提案していきます。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4719
Goal 4=質の高い教育をみんなに

【文献】
ジョン・カバットジン(2007)「マインドフルネスストレス低減法」春木豊訳、北大路書房
ジョン・カバトジン(1993)「生命力がよみがえる瞑想健康法」春 木豊訳、実務教育出版

(続く)

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3589
★マインドフルネスの悪用



https://blog.canpan.info/jitou/archive/4893
【連続記事】今年こそマインドフルネスでSDGs3.4 自殺の減少を
Posted by MF総研/大田 at 16:08 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL