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(8)良心を目覚めさせる、特に科学者の(4) [2021年12月15日(Wed)]

(8)良心を目覚めさせる、特に科学者の(4)

 埼玉新聞の「焦点/争点」が「良心を目覚めさせる 〜 高まる「知」の重要性」を 論じた。(12月5日 埼玉新聞)
 記事は、これについて、もう一人紹介している。

 「毎日新聞専門記者の大治朋子の「『アカデミ・ジャーナリズム』の試み」(「アステイオン」95号)も芦名と共振。危機の時代こそ、不安への対処法など必要で実践的な情報に立ち返るべきで、自律的、抑制的な倫理観も求められると書く。」(埼玉新聞)

 ジャーナリズムにも、「自律的、抑制的な倫理観も求められる」という。少し、省略して、この記事の最後はこうである。

 「大治が追い求めるのは「公共の福祉に資する」ジャーナリズムだ。それは、読者の知性と良心を目覚めさせる人文知にほかならない。」

 ジャーナリズムにも「自律的、抑制的な倫理観」が求められる。さもないと、自らが倫理上、人道上の視点から批判されることが起きて、権力者、有利な地位にあるものの悪、不正、ずるさ、卑怯さなどを批判などできるはずがない。

 そして、倫理観を持つジャーナリズムが「公共の福祉に資する」ジャーナリズムになることができる。そういうジャーナリズムが」「読者の知性と良心を目覚めさせる人文知」になる。
 ジャーナリズムは、「読者の知性と良心を目覚めさせる」ことができる。 これまで指摘してきたように、大学、アカデミックにも、学問的な議論の抑圧、批判者を排除する、ずるさ、卑怯な行為、かばいあいがあり、公益を害する行為がある。女性の差別、若手の革新説の排除も。

 大学でも自分のものだけを学生に教える。自分を批判する学説を教えない、排除するものがいる。もちろん、すべてではない。そこに良心がかかわる。叡智的自己の宿命とも言える。もし、自分のものだけを重視すれば、学生の知が偏ってしまう。生命にかかわる知さえもそうである。 大学、学問がそうであれば、市民は何を羅針盤にするのか。市民の必要とする解決法が葬られる。

 特に、科学者の良心が問題になるのは、著書を書き、講義で学生や社会人に教えるからである。

 情報が偏っている例として、うつ病の治療法で説明しよう。がんの本ならば種々の治療法を紹介することが多いが、「うつ病」の本では、薬物療法だけを記述して、認知行動療法もあるということに全く触れていないものがある。「自殺」という生命にかかわる病気だから、定評のある認知行動療法も記述したり、講義してほしい。

 他の学問領域にも、偏りがみられるだろう。多数説、少数説があり、必ずしも多数説が真とは限らないだろう。歴史の経過でむしろ過去排除された少数説が真であったと評価が変わることがある。当時、教えられなかったために損害を受けた人の悲しみは回復しない。

 大学では、その学者の説だけが教えられ、異説は教えられない。異説のほうが誤解や偏見がないかもしれない。学生や社会人には、評価が難しい。

 ジャーナリストは、種々取材して、それぞれの説の核心を聞きだすことができる。ジャーナリストには、少数説の主張から、各説の対立、矛盾がすぐ明らかになる。そして対立、矛盾を社会に発信できる。市民に考える機会を与えてくれる。覇権国家では、権力寄りのものだけが報道される傾向がある。権力やアカデミックを批判できるジャーナリズムの力は大きい。
 大治氏が指摘したのは、こういうことではないだろうが、私が関心を持つ領域にも、「公共の福祉に資する」ジャーナリズムに期待する。これも、読者の知性と良心を目覚めさせる人文知」になるだろう。 アカデミックも読者である。良心を目覚めさせるのは渦中にある自身では難しく、全体世界を離れた目て眺めることができるジャーナリストである。(そこにもジャーナリストの良心が関係する)

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3002
★ジャーナリズム、メディア

★雑誌「マインドフルネス精神療法」7号は「地方創生SDGs」の特集

 雑誌「マインドフルネス精神療法」第7号で、「地方創生SDGs」と自殺防止、うつ病の治療法について特集とする。内閣府、および、すべての都道府県のSDGs担当に送付して、新しい支援制度の創設をお願いする予定。
そしてメディアにも送付して、なぜ、うつ病を治すほどの認知行動療法が普及しないのか原因(おそらく公益よりも個人、業界の利益を優先せざるを得ない経営事情)を浮き彫りにして解決への方向をさぐることを依頼したい。この問題は、次の SDGsに関連する。

【ターゲット3.4】自殺の減少
 (薬物療法で治らない患者に、認知行動療法を)

【ゴール4】質の高い教育をみんなに
 (生命にかかわるような心理療法が教育されないことも解決策がないものか)
7号は編集中。販売は1月以降。



https://blog.canpan.info/jitou/archive/4875
【目次】無評価で観察のマインドフルネスを超えて


Posted by MF総研/大田 at 15:09 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL