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«慢性の痛み 〜 「身体の痛み」と「うつ病」の場合の脳領域が一部共通 | Main | 価値実現のネットワーク»
慢性の痛み 〜 慢性の「身体の痛み」がどうしてSIMTで治るのa(1) [2021年11月19日(Fri)]
【目次】痛み・痛みの緩和

慢性の痛み 〜 慢性の「身体の痛み」がどうしてSIMTで治るのか(1)
 〜 集中力のネットワークではなく、価値実現のネットワーク

 慢性のうつ病の患者の前頭前野、前帯状皮質、島皮質、ドーパミン神経系の部位の機能が低下している。 慢性疼痛の患者も同様の領域の機能が低下している。

 他の療法で治りにくいうつ病、非定型うつ病が、マインドフルネスSIMTで完治する事例が多い。主訴として来談したのではなくて、うつ病、非定型うつ病、パニック症などの患者が痛みも併存しており、 それも10か月ほどで消失している。 8週間という短期ではこの痛みはとれない。やはり、心理的ストレスから上記の脳領域に炎症があって、短期間の認知行動療法では効果がなくても、1年近くのSIMTでは完治していったわけである。

 なぜ、慢性疼痛がSIMTで完治するのだろうか、理由を考察したい。

集中のネットワークよりも価値実現の脳内のネットワーク

 他のマインドフルネス(MBSR,MBCT,ACTなど)は、瞑想時のトレーニングであり、無評価で観察である。一方、マインドフルネスSIMTは、瞑想時だけではなくて、全時間、全局面での意識現象を観察する。意識現象を修飾している嫌悪執着がないか評価判断するトレーニングと、価値実現の発語行為を選択するトレーニングを10カ月にわたってトレーニングする。これは、単に、「集中力のネットワーク」だけのトレーニングではない。不快な感情にある本音の評価、そして、価値実現の行為選択であり、「不快な現実を不快と評価しても受け入れて、価値実現の行為を選択するのであるから、瞑想時の「集中力」よりも、対人場面での「価値実現ネットワーク」のトレーニングをしていることになる。

 「価値実現のネットワーク」の繰り返しのトレーニングによって、上記の脳領域を繰り返し動かすことにより、そこに血流が増えて、脳由来栄神経養因子(BDNF)が増加して、炎症を起こしていたこれらの脳領域の炎症が回復して、健常な機能の向上になって、うつ病、パニック症などが治癒するものと考えられる。そして、併存していた慢性の痛みも改善する。

 「集中力ネットワーク」は、背外側前頭前野を主とする「ワーキングメモリー」が活性化すると考えられるが、うつ病の回復のためには、これだけではなくて、「価値実現のネットワーク」の機能回復が必要なのであろう。仕事はしっかりできても、パートナーや子どもの悲しみ苦しみを共感できず、暴力、虐待、ハラスメント行為をするところには、「価値実現のネットワーク」の領域が健康でないことでも言えるだろう。
 慢性うつ病・慢性パニック症・慢性PTSDも慢性疼痛も(さらに暴力、虐待も)、「価値実現のネットワーク」領域の機能の健全化が必要だろう。これは、1年ちかくとか、2年近くかかる理由であろう。

価値実現の脳領域
 慢性の痛みがSIMTで回復するのも、慢性的に持続するストレスを価値のために受け入れて、価値的反応をするので、実践の喜びを感じて、それが学習されて、長期報酬を処理する、ドーパミン神経系である側坐核を回復させるのだと考えられる。側坐核は、報酬価値を評価する部位であり価値があると効果認めた行為を学習する機能をもっており、淡蒼球で価値的行為を選択すると言われる。ここは、ドーパミン神経系である。ドーパミン神経系が低下すると、抑うつ、自殺念慮が起きるとされる。

 マインドフルネスで「集中力」の向上が言われるが、それだけでは不十分である。詐欺師でも他者を苦しめるエゴイストでも、集中力のネットワークは活発であるに違いない。しかし、価値実現のネットワークが健全ではないのだろう。

もうひとつの脳領域、島皮質の機能低下

 価値実現のための脳内ネットワークで重要な機能をはたしているのが、島皮質である。慢性うつ病も慢性の痛みもこの領域の機能が低下している。
 (詳細は次の記事にします。)

 慢性の精神疾患や慢性疼痛で苦しみ続ける人が大変多いのだから、 マインドフルネスSIMTを試してほしい。そのためにも、臨床試験をする医療機関が現れてほしい。

 こういう対策は、市町村単位では対策をとりにくい。広域の都道府県規模で対策をとってもらいたい。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/1807
★2009年の記事。県単位で慢性の疾患に薬物療法以外の支援対策をとらないと、自殺が2万人くらい継続するだろうと予測していた。

【参照文献】
乾敏郎(2021)『感情とはそもそも何なのか』ミネルヴァ書房.
仙波恵美子(2010)「ストレスにより痛みが増強する脳メカニズム」
日本緩和医療薬学雑誌、3号

栗原里美、石村郁夫(2016)「慢性疼痛研究の動向と今後の展望
〜心理社会的側面に焦点を当てて〜」
東京成徳大学臨床7心理学研究、16号

高橋大樹etc.(2019/9/17)北海道大学 プレスリリース「慢性痛が気分を落ち込ませるメカニズムを解明」

大田健次郎(2013)『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社
(本音の評価、価値実現の行為選択までを含むマインドフルネスSIMT)
【新しい記事の目次】痛み・痛みの緩和
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4867


【別の記事の目次】痛み・痛みの緩和
http://mindfulness.jp/kunou/fl-itami/ix-itami.htm

Posted by MF総研/大田 at 22:26 | 痛み | この記事のURL