慢性の痛み 〜 「身体の痛み」と「心の痛み」 [2021年11月17日(Wed)]
慢性の痛み 〜 「身体の痛み」と「心の痛み」慢性の痛みは慢性のうつ病と併存することが多い。 うつ病になると、胸、腰、頭、胃、十二指腸、腹部などの痛みが現れることがあり、逆に、慢性の痛みがあると、うつ病になるひとが多いことも知られている。 それで、「身体の痛み」と「心の痛み」 の脳領域が一部オーバーラップしているのではないかと考えられてきた。「「身体の痛み」と「心の痛み」は互いに連動し、影響を及ぼし合っていること経験からもわかる。身体のどこかに慢性痛を抱えていると、気分的に滅入ってくるし、ストレスに曝されているときやうつ状態のときには、痛みもより強く感じる。これは、「身体の痛み」と「心の痛み」を感じる脳領域が一部オーバーラップしているためではないかと考えられる。」(仙波) このために、うつ病の治療法としての認知行動療法が、慢性の痛みの治療法にもなる。 そして、認知行動療法も、不十分なところを補うように、研究発展してきた。併用もされてきた。行動療法として「痛みに運動療法」があり、認知療法として「痛みに認知療法」が有効であるとされてきた。現在の慢性の痛みの心理療法は「運動療法」と「認知療法」が推奨されてきた。(仙波、栗原) これまでは、第二世代の行動療法、認知療法であっただろう。うつ病には、第三世代の認知行動療法が開発されてきたので、難治性の痛み、慢性の痛みにも、第三世代の認知行動療法としての「「マインドフルネス」が期待されるのは当然だろう。 「マインドフルネス精神療法」の一派としての、自己洞察瞑想療法(SIMT)でも、うつ病、PTSD,パニック症に併存していた痛みも完治した例が起きていることは前に述べたとおりである。 https://blog.canpan.info/jitou/archive/2274 痛みに関係する脳領域〜側坐核、前帯状皮質、島皮質などうつ病で変化を起こしている脳領域と慢性の痛みの患者に起きている脳領域の変化が類似している。「慢性持続性の神経障害疼痛の患者のPET像では、ACC、ICでの血流増加が著しい。」 (仙波、p76)(ACC=前帯状皮質、IC=島皮質) 「痛みの認知には視床以外の他の領域も関わりがあり、前頭前野は痛みの情動、認知、記憶といった統合的な面に関与し、慢性腰痛を抱えたひとの痛みは、高度な思考をつかさどる前頭葉が活動し、前頭葉の中でも前部にあるストレスや不安といった、自分にとって好ましくない感情を抱いたときに強く活性化する前帯状回が活動することを明らかにした。」(栗原etc.,p214) また、側坐核(報酬系で中心的な役割を果たしている)の機能低下についても指摘されている。 「慢性痛によって分界条床核でCRFによる神経情報伝達が過剰となり、腹側被蓋野に軸索を送る分界条床核神経細胞が抑制されると、脳内報酬系で中心的な役割を担うドパミン神経が持続的に抑制されることが考えられます。こうした脳内報酬系の抑制が、慢性痛による抑うつ状態を引き起こすとみられます。」(高橋大樹etc.) 続いて、うつ病が関係する脳領域を見る。 慢性疼痛の研究者がいうように、 脳領域が共通のところがある。もちろん、共通の部位だけに言及する。たとえば、脊髄後角は、痛みでは言及されるが、うつ病では言及されないように。 (続く) 【参照文献】 仙波恵美子(2010)「ストレスにより痛みが増強する脳メカニズム」 日本緩和医療薬学雑誌、3号 栗原里美、石村郁夫(2016)「慢性疼痛研究の動向と今後の展望 〜心理社会的側面に焦点を当てて〜」 東京成徳大学臨床7心理学研究、16号 高橋大樹etc.(2019/9/17)北海道大学 プレスリリース「慢性痛が気分を落ち込ませるメカニズムを解明」 大田健次郎(2013)『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社 【新しい記事の目次】痛み・痛みの緩和 https://blog.canpan.info/jitou/archive/4867 【別の記事の目次】痛み・痛みの緩和 http://mindfulness.jp/kunou/fl-itami/ix-itami.htm |
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