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(22)うつ病の治療法としてのマインドフルネス(1)無評価の観察 [2021年09月13日(Mon)]
【連続記事】なぜうつ病になるのか なぜ自殺が起きるのか

(22)うつ病の治療法としてのマインドフルネス
 (1)無評価の観察マインドフルネス

 第三世代の認知行動療法と称される「無評価で観察」するマインドフルネスを取り入れた治療法が発展している。これもうつ病の治療に用いられた例がある。 弁証法的行動療法はマインドフルネス認知療法である。
右矢印1 第4世代、第5世代

A) 弁証法的行動療法

 弁証法的行動療法(dialectical behavior therapy, DBT)は、 アメリカの心理学者マーシャ・リネハンが開発した認知行動療法の一種である。境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療に特化している。

 元来は、BPDの治療法であるが、うつ病に適用した例が報告されている(井上和臣)。19例中3例が寛解したという。16%である。

 DBTは、支援手法がDBTのものであるから、やさしくはなさそうである。 日本でも、これをうつ病の支援に用いているところを見つけるのは困難である。

B)マインドフルネス認知療法

 マインドフルネス認知療法(Mindfulness-based cognitive therapy:MBCT)は、うつ病の再発予防法である。アメリカのZ・V・シーガルらによって、ジョン・カバット・ジンのマインドフルネスストレス低減法(MBSR)を基に開発された。寛解になったうつ病患者で、うつ病を3度以上経験した患者については、従来の療法と比べて再発率が半減した。

 元来は、再発予防法であるが、治療に用いた例が報告された(井上和臣)。

 一例では、120分のMBCTのセッションを8回実施したところ、 46例中20例が寛解した。(43%)

 別の例では、120分のMBCTを8回実施したところ、55例中16例(29%)が寛解した。

 寛解は、病気が完全に治った治癒という状態ではなく、病気による症状や検査異常が消失した状態である。再発の可能性がある段階である。

 MBCTは、寛解にある患者に、提供して、3回以上再発を繰り返したひとには、再発予防の効果があったのである。 おまけに、8週間という短期間である。私(大田)の支援経験では、慢性のうつ病の患者には、SIMTでさえも、6か月でも寛解ではあるが治りきっておらず不足であると感じた。その経験から標準的には10か月とした。
 支援を開始した当初は、そういう経験も少なくて、8週間程度で、終結した時代もあった。治っていない状態だったのだ。経験不足の時代であり、申し訳ないと思う。
 職場は厳しい評価の現場だから、8週間の無評価の観察のMBCTで寛解しても、復帰したら再発するかもしれない。評価の現場での観察法も付加して、1年近く実践すれば、完治して再発が少なくなる可能性があると思う。こういう説は、少数派であり、患者さんに情報は届きにくい。

 (2)無評価の観察を超えたマインドフルネス
 自己洞察瞑想療法(SIMT)

 同じく、意識現象を観察するが、対人場面でない時の無評価の観察だけではなくて、対人場面では、意識現象の背後にある本音、本心を観察するのが自己洞察瞑想療法、SIMTである。 無評価の観察を超えているので、第4世代の認知行動療法と呼ぶことにする。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/1312
★いい治療法を家族がさがして・本人はさがす気力も働かないので
 もちろん、SIMTも。10か月の実践ができないひともいる。治療法が種々あるから、絶望しないで、別な治療法を試すといい。絶望すると「8050問題」や、自殺にもなりかねない。

【文献】
井上和臣(2010)「難治性うつ病に対する認知行動療法」(精神神経学雑誌 2010年11号)
加藤忠史(2014)『うつ病治療の基礎知識』筑摩書房.
野村総一郎(2008)『うつ病の真実』日本評論社.
野村総一郎(2016)「うつ病の治療開始前や初期治療段階で薬への反応を予測できるか?」(『精神科臨床サービス』第16巻1号、星和書店、2016年2月
川島啓嗣、2016、『精神科臨床サービス』第16巻2号、星和書店、2016年5月
鬼頭伸輔、2016、『精神科臨床サービス』第16巻2号、星和書店、2016年5月
松下満彦、徳永雄一郎(2016)「復職・就労支援のポイント」(『精神科臨床サービス』第16巻2号、星和書店、2016年5月
ジェームズP・マカロウ(2005)「慢性うつ病の精神療法〜CBASPの理論と技法」監訳者:古川壽亮、大野裕、岡本泰昌、鈴木伸一、医学書院。
CBASPとは、Congnitive-Behavioral Analysis System of Psychotherapy

【連続記事目次】なぜうつ病になるのか なぜ自殺が起きるのか
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4786
Posted by MF総研/大田 at 21:49 | 自殺予防対策 | この記事のURL