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研究者、教育者だけいて、臨床する心理士が少ない [2021年05月10日(Mon)]
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【連続記事】なぜうつ病になるのか なぜ自殺が起きるのか

研究者、教育者だけいて、臨床する心理士が少ない

 なぜ、自殺がなくならないのでしょうか。

 うつ病の新しい改善法としての、マインドフルネス心理療法だけでみてみますと、 「マインドフルネス」のうち、MBSRは、対人場面ではなくて、坐禅に似ています。しかし、坐禅では、うつ病が治るわけではないことをみな知っています。うつ病は深刻ですから、マインドフルネスのMBSR では治らないでしょう。マインドフルネスSIMT(注*1)では、半年か1,2年もかかります。それほど、深刻です。なにしろ、自殺が起きる病気です。容易ではないのです。

 アメリカでは、うつ病を改善するほどの深いマインドフルネスとしては、行動活性化療法や弁証法的行動療法でしょうか。やはり、相当長期間かかるようです。
 ACTは、1年もの長期間、うつ病のクライアントに提供するように構想されているでしょうか。うつ病が完治するまでACTで臨床している人がいますか。
 マインドフルネスの研究者、大学の教育者で、うつ病を完治するまで臨床しているひとがおられるならば、国民に、うつ病の患者に向かって伝えてください。「私がやる」と。研究者、教育者ならば、信じてたくさんの患者がいくでしょう。自殺しないですむ人が多くなります。

大学で教師が学生 に講義するのと、心理士がクライアント向けに支援すること

 自殺が減少しません。危機的な状況であり、はっきりと事態をみるべきと思い、申しあげます。うつ病は、近隣の科学の領域の多くの研究者から、無視、傍観されてきました。アメリカでは、うつ病を治すマインドフルネスもあるという翻訳書が多数出版されましたが、日本では、10年たっても、うつ病などが完治するまで実際の臨床を行うひとは現れません。
 「マインドフルネス」の学問?のすぐ近くにも、死にたくて苦しむうつ病のひとが多くいます。マインドフルネスも、多数の翻訳書があり、大学などで、講義されているでしょうか。 研究者、講師が、学生に講義することは、「教育」です。臨床ではありません。
 研究者や講師、心理士が、うつ病の患者(クライアント)に教えて治す支援をするのが「臨床」です。

 ポージェスは、評価の現場に、無評価観察のマインドフルネスは両立しないといいました。 私は、うつ病の臨床について言います。研究する仕事や教育する仕事と、うつ病を完治に導く臨床を大勢に次々と提供する仕事とは両立しません。時間的にも無理です。研究、教育の喜びと多様な背景を抱えた患者さんと直接に対面してアドバイスしていく喜びとは全く違います。 選択する価値が全く違うのです。研究、教育する人で、うつ病の患者さんが治るまでよりそうことを好きになるひとはいないと思います。心の病気を抱えて、つらい毎日を暮らしている患者さんです、そういう人とあうのです。「マインドフルネス」の研究者、教育者(無評価の観察のマインドフルネスの推奨者も含み)に問います。そういう仕事を好きになれますか。やっておられますか。

研究者、教育者が心理士などに教育すること

 教育と臨床はまるで違います。内容も対象者もちがいます。 教育では、理論的なことと、臨床の方法の両方を教育します。SIMTの場合、マインドフルネス瞑想療法士(MMT)の教育には、1冊の本(注*2)のほか、30くらいの小冊子(注*3)で理論(哲学、神経生理学、仏教学など) と臨床方法を教育します。毎月1回、実質5時間くらいです。これを10か月、つづけます。集中的に、5日くらいで教育するという方法はできません。実習があるからです。第一段階(セッション1)を1か月、実践します。こうして、セッション10まで、10か月続けます。 教育は、実践を2週間ずつやって、全体の履修期間を半分に、つまり、5か月で終えることができます。しかし、まだ、課題があります。(次の記事で)
 教育の対象者は、うつ病ではない人、自殺念慮のないひとです。

教育を受けたひとが患者に臨床すること

 一方、上記の教育を受けて資格を得たマインドフルネス瞑想療法士(MMT)から、患者への「臨床」は、対面では毎月1回、1時間30分です。本を1冊使うだけです。課題の説明と実演です。理論の教育はありません。ほかに、日記についてのアドバイスを、それぞれのクライアントに毎月2時間から30時間かけます。患者さんには、感情的になった出来事について、文章で日記を書いて提出してもらいます。そこにある、感情と それを引き起こす「本音」の関係を理解するトレーニングを繰り返し実行します。
 患者さんによっては、日記をA4版サイズの用紙で、3枚程度の人から20枚、30枚書く人がいます。少ない人は、2時間くらいで目を通して、コメント、アドバイスを書きます。多数枚の日記を提出した人のものは、やはり、丁寧に目をとおして、コメント、アドバイスを書きます。だから、そういう人の日記への支援には、何日か少しづつ読んでいき、数日かけて、合計で20時間、30時間かかります。制限すると、本音をひきだせないと考えて、制限していません。対面ではひきだせない本音やつらい状況が記述されます。(今後は、スマホなどで、毎日、送ってもらって、日々、返信するという方法も考えられます。その方法はいいようですが、返信を早く返すというプレッシャーを支援者がかかえるはずです。休日や休暇にも返信すべきか迷い、ストレスを感じるでしょう。複数のカウンセラーの体制の仕組みを作るのがいいのか。)
 こうして、臨床の内容は、理論の教育はないので、やさしい内容です。しかし、患者さんの症状や家庭の事情は様々で個性的であり、理解力、実践力もまちまちで、コミュニケーションをしていきます。
 対象者は、自殺念慮もあるうつ病の患者です。何年も治らない人が多いです。1年ほども支援を続けるので、MMTにとっても相当ストレスになるでしょう。途中で、質問がきます。症状も上下を繰り返します。患者には日々の生活があり、家族や職場(休職せず取り組む場合)の関係がつづいています。1年の間には大きな出来事があると症状が悪化します。症状のアップダウンが何度もあります。脱落しないように、自殺されないように、適切なアドバイスをしていきます。

 このように、大学での教育と現場での臨床は、全く違います。

自殺が減少しない理由の一つ、心理療法の臨床者が少ない

 自殺が減少しない理由の一つは、うつ病など(社交不安、パニック症、PTSD、過食症、家族の不和なども)が薬物療法で治らない場合に、心理療法で「臨床」するカウンセラーが少ないことでしょう。家族の不和は、元来、薬物療法では無理でしょう。
 たくさんの心理療法の本や研究者、教育者が大学にいるようですが、臨床するひとが極めて少ないのです。だから、薬物療法で治らないと、自殺されるか、ひきこもり状態になるでしょう。この現状があたっているならば、本気で自殺を減少させるためには、国や自治体が、臨床できるひとを増やさなければいけないでしょう。
 もちろん、SIMTではなくて、ほかの同等以上の改善効果のあるメンタル・スキルがあれば、研究開発してもらいたいです。

 そして、患者さんが低料金で、臨床を受けられる助成制度を作るべきです。うつ病の患者さんの臨床には、相当の時間とエネルギーを使います。臨床する人が生活できるような制度を作らないと、臨床者になろうというひとがいないでしょう。 なぜなら、臨床するひとも、生活がかかっています。家族があり、子どももいます。生活できるほどの収入がないと、臨床の仕事をするひとは増えないでしょう。私ができるのは、年金があるからです。こういうものに頼っては、数が限られます。ほかの仕事(MMTの教育)ができてしまったから、年間、わずかしかできません。臨床だけをすれば、年間、何人くらい支援できるか、モデルを示してみます (次の記事)。せいぜい、50人くらいです。全国に何万人も潜在的なクライアントがおられるでしょう。

 このことを国も自治体も理解してほしいと思います。うつ病や不安症、依存症、過食症、PTSDなどを本務として臨床できる制度を作ってほしい。人材としては、心理士、看護士、新しい資格者などで、時間の余裕のある人。内面だけのスキルだから、種々のポイエシス(産業的社会的な)のスキルがなくてもできます。臨床心理士や産業カウンセラーなどの資格取得者が受ける幅広い教育(ポイエシスのスキルと言えます)を受けなくても、内面の心の用い方、SIMT(プラクシスのスキルと言えます)ですが、それを受けることで、臨床できます。しかし、これ(うつ病などで悩む人を臨床すること)が好きになれるひとでないといけません。命令で指示された人は、真剣に臨床できません。自殺念慮のある人たちですよ。使命感を持つ(自分の人生価値とする)人でないと、失敗します。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4778
(プラクシスのスキル)

 研究者、教育者には、今後も「臨床」を期待できません。彼らも「叡智的自己」として生活します。彼らの本務は、その組織(大学、研究機関など)から期待されている仕事です。研究、教育であり、それで、時間とエネルギーを使います。臨床する時間はほとんどありません。仕事がない週1,2日の休日には休息、家族との生活や趣味などをしたいでしょう。臨床には、相当の時間がかかります。だから、大学に多い研究者、教育者に、「臨床」にも乗り出してほしいといっても、できないでしょう。(別の記事にしますが、臨床には、かなり多くの時間を使います。)オルテガが、大学人を批判するのは、こういう背景があると思います。職務は、叡智的自己の行為的直観(*4)になります。
 これが実状だと思います。本当に、自殺を減少させたいならば、薬物療法で治らないうつ病の患者の臨床支援を本務にできるひとを育成する制度が必要であると思います。そして、うつ病を併発させる不安症、PTSD、過食症なども現状の治療法で治らない患者の臨床も。ひきこもり、8050問題にも、病気ではないが、メンタルな観点(社交不安的な傾向、トラウマ、回避など)から解決できないところにも。
 他人事ではないです。うつ病になるライフ・イベントは数々あります。家族の誰かがなる可能性が高いです。いじめ、産後うつ、過労、解雇、対人関係、家族の不和、がん告知、・・・。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3568
★臨床者を排除する教育者

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4198
★うつ病の心理療法の臨床者はきわめて少数

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4786
★図の左の吹き出し

(続く)

(注)
*1=SIMT=日本で開発された自己洞察瞑想療法/自己洞察瞑想法
*2=大田健次郎(2013)『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社
*3= http://mindful-therapy.sakura.ne.jp/kouza/textbook.pdf

*4= https://blog.canpan.info/jitou/archive/2787
★叡智的自己=社会益を妨害して自分の利益を優先する専門家がいる

(参考)
★地方創生SDGsパートナーシップ関係
http://mindfulness.jp/sdgs/20-02-target3-4.pdf 
【ターゲット】3.4  (この法人の主な領域=自殺の減少)

http://mindfulness.jp/sdgs/21-goal-3.pdf    
【ゴール】3

http://mindfulness.jp/sdgs/21-goal-17.pdf   
【ゴール】17

http://mindfulness.jp/sdgs/SDGs-Program-12.pdf   
私たちのプログラム12

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4738
★大震災の被災地はあとあとまで精神的ストレスから心身の不調が
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4740
【目次】孤独、差別および自殺の問題を解決して身心の健康と生きがいある人生を地元で

【連続記事目次】なぜうつ病になるのか なぜ自殺が起きるのか
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4786
Posted by MF総研/大田 at 18:24 | 自殺予防対策 | この記事のURL