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「長崎の鐘」永井隆の英語版 [2021年05月01日(Sat)]
NHK 朝ドラ「エール」に、至誠の人 永井隆 

「長崎の鐘」永井隆の英語版

 「長崎の鐘」の作者永井隆博士の報道がありました。

 西田哲学は、日本人が古来実践してきた内面の心は「至誠」であるといいました。 自分のみかた、考え方、行為が「至誠」であるかどうか、自己批評することになります。 エゴイズムであってはならないわけです。エゴイズムを表出していながら、無自覚、無評価とはとんでもないことです。相手を苦しめます。特に、悪質であれば、批判されます。犯罪になることもあります。
 そのような古人にならうべく、生き方や書き残したもの、史跡を探求しています。そのような「至誠」の人を「マインドフルネス心の世界遺産」と指定しています。

http://mindfulness.jp/shoki-nihonbunka.htm

 「長崎の鐘」の著作を著わした永井隆博士もその一人です。 本日、この人のことが報道されました。

https://www.asahi.com/articles/ASP4Z7HQGP4VTOLB00M.html

 戦争してはならない、核爆弾を使ってはならない、永井博士の遺志を継ぐ遺族・被爆医師らが、「長崎の鐘」の英語版を復刻しようとしているそうです。
 5月1日で、博士の没後70年になります。

 長崎に記念館があります。最期に住んだ「如己堂」もあります。また、小学生の時に過ごした島根県雲南市の記念館が建て替えられ、4月にオープンしたそうです。 旅行が制限されなくなったら、この3か所を訪問したいと思っています。
 坐禅を通して私の友人だったひとが、最近、なくなったのですが、そのひとの兄が、医者であって、永井博士の教えを受けたことがあり、被爆を聴いた親族が、その友人に博士の慰問に行ってもらったエピソードを聴きました。 そのことは記事に書きました。

 永井博士の言葉です。
◆「私は神の御意のままに、おん手の先につかわれる一つの道具にすぎなかった。」(A73)

◆「私は注射器であった。私がこわれて亡くなっても、私を使っていた神がそのままおられるのだから、何か他の手段でこの子の苦しみを癒してくださる。私は綱にすぎなかった。私がついに水底に沈んでも、私を投げた神がそのままここにおられるのだから、必ずこの子を荒波から救い上げてくださる。−−何も心配することはないじゃないか?」(A73)

 永井博士の言葉です。西田哲学によれば、自己の根底に働きがあって決して対象的には意識できないので、「絶対無」という。その働きはそれ自身を否定して、各人の自己となり、各人の価値世界を表現する。すべての人の根底に働いている。それに、自分が生かされていることを知る。自己は、絶対者の射影点であるという意識になる。永井博士の「注射器」が同じ感覚でしょう。自分は単独に生きるものではなくて、絶対者の射影です。絶対者が自身を否定して私になってくれているという自覚によって、常に絶対者の愛に包まれているという意識になります、アインシュタインの 言葉もこれでしょう。  対象的に意識され、死ぬことを予期する自我は真の自己ではない。真の自己は根底に働く絶対者の自己否定的に表現されたものという意識は、自己の死の恐怖から解放される。がん患者の心のケアに効果があると思われる。禅の悟りを得たひとが「生きながら死人となりて」「不生」「私は死なない」という。
 西田の深い根源の絶対無(超個)、その自己否定としての自己(超個の個)の哲学は難解であるが、すべての人の真実なのだということを説明した書籍がまた発行された。自己とは何かを探求する「マインドフルネス」の研究者や切実にしりたいと思う死を意識する人は、探求していただきたい。「マインドフルネス」にも、自己を探求する学派がある(ACT,BDT)が、日本人の「自己」はこれなのだから。
 (竹村牧男『唯識・華厳・空海・西田』青土社、2021/4/30)

 永井博士の言葉も同様だと思われる。私は、神(絶対者)の注射器、そして、私が死んでも、我が子にも、根底に神の愛が働く、心配いらない。 そして、意外なことに、真言宗の空海にも同様の深い自己があると竹村氏が教えてくれました。
 私もがん患者の方々と、これを探求したいと思います。がん患者の10年生存率が発表された。がんと宣告されると、苦悩するひとがおられる。10年もの苦労となる。
 また、真の自己は何かということは、人格を否されたような事件で苦悩する人の救済にもなるだろう。心理的なケアが求められるひとがいる。人格否定の被害者、虐待された人、親から否定されたひと、性的事件の被害者、男女ジェンダー平等の人格否定(平塚雷鳥が戦ったように)など。否定された自己は真の自己ではなかった、絶対の愛に包まれているのが私であった、という自覚によって、精神的な救済になる。

永井隆ー参考文献
A.『この子を残して』 永井隆 発行所:サンパウロ
B.『長崎の鐘』    永井隆 発行所:サンパウロ




NHK 朝ドラ「エール」に、至誠の人 永井隆 
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4675
Posted by MF総研/大田 at 20:58 | マインドフルネス心の世界遺産 | この記事のURL