CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
«(3)簡単ではない、執着を捨てる | Main | (5)私心のない慈悲、根本的楽観主義»
(4)悟りの境地、透明性を実践 [2020年11月14日(Sat)]
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4683
★相談会(埼玉県)
★がん患者さん、ご家族もどうぞ。マインドフルネス総合研究所の会には、いつも、がん患者さんやご家族が含まれています。
【書籍紹介】「死にゆく人と共にあること〜マインドフルネスによる終末期ケア」ジョアン・ハリファックス

(4)悟りの境地、透明性を実践

 第3章は、とてもわかりにくいです。禅の悟りの立場からのようです。ジョン・カバット・ジンが最も深いマインドフルネスといった「全体性」の立場のものだと思われます。マインドフルネスはここまで広く深いものがあることが分かります。

 悟りを得た著者が悟りを得た禅僧を看取った経過が述べられて、透明性で看取り看取られる模範的な様子を紹介しています。これを習うのがいいのです。 著者ハリファックスは、禅僧であり、悟りの印可を得ていると書いてあります。 彼女が、同僚の禅僧イッサンを看取ったが、その人も印可を得ていたと書いています(p42)。悟りは、仏教の哲学や思想、概念など言葉での理解ではない。

 「彼は自分自身に対して、彼をとりまく人たちに対して透明になっていました。彼は、意見やアイデンティティや概念によって邪魔されませんでした。イッサンの講話のあとで 、ある友人が私に言いました。「すばらしい! ひとつの考えもない!」(p42)

 「何か微細なものーーー憐憫を超え、言葉を超えたものーーーが二人をつなぎ、互いを透明なものにしていました。」(p43)

悟りの立場、透明性

 この章のテーマは、透明性です。我が強くてケアされることを拒絶する人はケアができません。死にゆく人の「ケアを提供し、ケアを受け入れる」(p41)ためには、双方が透明であるほうがいいというのです。とても、難しい態度です。

 「私は、私たちが本当に透明になって世界をはっきりと見て、世界のほうが私たちを覗き込むようになるとき、それが起こると思います。」(p41)

 自我の見方がない立場、世界がこちらを覗きこむ立場。自我がない、無我の目です。「無評価で見る」というのとは深さが違います。それは、自我を残していて、自己の立場で、無評価のつもりになっています。そうでなければ、ブームになっているMBSRを教えている研究者、達人が、ハリファックスのように、死にゆく人に寄り添うことができるはずではありませんか。仏教、禅で実践された「マインドフルネス」自己洞察は、大変深いところまであります。無数の階層があって、それぞれ社会貢献できるから、みんないいのです。死を考えない人には、まだ、ハリファックスには見向きもしないでしょう。しかし、これが必要であると「評価」する人が翻訳してくださったのでしょう。
 この本は、死の現場にたちあわざるを得ないホスピス医療関係者に大変貢献するものであると思います。また、それをねらっているように思えます。

 透明性には、3つの局面があるといいます。(p49)
これは、ご紹介するのは大変むつかしいので、今は省略します。「透明」については、井筒俊彦の「意識と本質」に、最も深い悟りの境地の説明に出てきます。 ハリファックスの「透明」は、井筒俊彦のものと同じか違うのか、検討してからにします。

観想修行の目的

 ハリファックスの瞑想、観想の目標はかなり高い境地の宗教です。ブッダと同じ体験です。特に、死にゆく人に寄り添う人だからでしょうか。

   「私たちの本質は、ブッダの本質にほかなりません。ブッダという語は単に「目覚めること」を意味しています。そしてまさしく、すべての観想修行の目的は、この本質が生れつき備わっていることを悟り、単純に非利己的に存在するというこの体験を実感することです。目覚めた状態というのは、私たちの人格、歴史、文化、期待、さらには、種をも超えて、それらの根底にあるものです。」(p49)

 「非利己的」というのは、エゴイズムのないことでしょうか。利己的な心が、自分や他者を苦しめます。人種の違いを超えて、これらの根底にあるもの、深いものですね。ハリファックスのマインドフルネスは、人格の根底にあるものまで観察するのです。日本的霊性、絶対無、無分節、仏性にあたるもののようです。

(次にすすみます)
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4687
【書籍紹介】「死にゆく人と共にあること〜マインドフルネスによる終末期ケア」
 ジョアン・ハリファックス、井上ウイマラ監訳、春秋社、2015
Posted by MF総研/大田 at 09:08 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL