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【書籍紹介】「死にゆく人と共にあること〜マインドフルネスによる終末期ケア」 [2020年11月11日(Wed)]
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4683
★相談会(埼玉県)
★がん患者さん、ご家族もどうぞ。マインドフルネス総合研究所の会には、いつも、がん患者さんやご家族が含まれています。
【書籍紹介】「死にゆく人と共にあること〜マインドフルネスによる終末期ケア」ジョアン・ハリファックス

 前の記事で触れた本を紹介します。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4686
 「宗教を排除した」という無評価の観察のマインドフルネスにとどまらないで、宗教レベルまでの深いマインドフルネスの本です。 5年も前に出版されたのに、難しい宗教哲学的な知見があるために、評価されにくかったようです。5年間で、アマゾンの書評がたった1件だけです。宗教レベル、超越、超個レベルだから難しいからですね。著者は、禅のひとだと言っています。

 日本では、これまで、できていない、がん患者によりそう禅の実践の崇高な姿です。まさに大乗仏教が強調した、他者の救済、「利他」の実践になっています。日本の禅は、ただ坐禅するだけという人と、公案探求の2つが主流であるせいか、がん患者に寄り添うような社会的な活動には消極的です。この本が翻訳されたので、これが、日本でも開始されたのでしょうか。日本では、がん患者の自殺、残された遺族の抑うつが長引いています。期待できます。

 この本は、タイトルでわかるように、がん患者本人のための本ではなくて、 支援者のための本です。ちなみに、私(大田)は、がん患者さん本人のためのマインドフルネスSIMTの実践の本を執筆中です。 (仮題:「死を越えるマインドフルネス」) ハリファックスの本でわかりにくいところが、悟り、絶対無、超越、超個にかかわる説明(下記に一部を紹介)です。刊行予定の拙著で理解していただければありがたいです。出版時期は、2021年か2022年です。

 マインドフルネスSIMTには、意志的自己レベル、叡智的自己レベル、人格的自己レベルがあると繰り返し申しておりますが、人格的自己レベルです。超個の個です。ハリファックスの背景には、このレベルの言葉がたくさん出てきます。

 5年前に翻訳紹介された本ですが、これから10年20年かかるでしょうが、禅や仏教の社会貢献としては、アメリカが何十年も先行していると感じられます。

 深い宗教に裏打ちされると、このような崇高な利他の行動ができるという貴重な本ですから、詳しくみていきますが、まず、深いところを一部、抽出します。


悟りでわかる根底の働きをいうハリファックス

 「マインドフルネスによる終末期ケア」を唄うハリファックスの本には、禅の悟りや、悟ってわかる絶対無のことが随所に出てきます。だから、 患者によりそうためには、深い禅の哲学を理解することになります。
 たとえば、次のl言葉です。

 「大いなる自己」「統合された全体は『寛大なる愛』の神秘に支えられています」(p93)、「奥深くにある目覚めた本性」(p120)。
 この言葉は、絶対無、絶対的一者、仏性にあたります。「全体」が出てきました。MBSRを開発したジョン・カバット・ジンがいう「全体性」ではありませんか。同じか違うか、検討が必要です。

 「悟りは直接経験をとおしてやってきます」(p148)。
 これは、理解ではなくて、自分の無である体験です。まさに悟り体験です。

 「非二元性を悟り」(p191)、「自己は局在的なものではなく、あらゆるものと一体になって存在するという感覚が結びついています」(p192)。
 これは、根底のありさまです。二元ではないこと。自己世界、自己他者、生死、善悪などの二元でない。禅の哲学者がよくいうことです。無分節(井筒俊彦)です。「万法ともに我にあらざる時節」(道元)です。「あらゆるものと一体になって存在」というのは、「全体性」のようです。絶対は自己否定して何にでも成るというすべての根源。

 「恐れから自由になった人は、悟りのいちばん深いレベルでは苦しみはなく、生まれることも死ぬこともないということを知っています。」(p218)
 これも同様です。だから、救いになるのです。宗教性です。道元も「正法眼蔵現成公案]の巻で同じことを言っています。
    「万法ともに、われにあらざる時節、まどひなく、さとりなく、諸仏なく、衆生なく、生なく、滅なし。」(正法眼蔵現成公案)
 このように、鈴木大拙、西田幾多郎、井筒俊彦などの哲学者がいう日本的霊性、絶対無、無分節レベルの哲学的な説明が多数みられる「マインドフルネス」の本です。マインドフルネスは広く深いものまであります。仏教、禅がそうでした。2千年かけて、広く深くその時代の環境にあうように、実際の支援活動に貢献するように変化してきました。決して静かな場所での「瞑想」にはとどまりません。現場での実践に成長していきました。

次回から、詳しく見ていきます。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4687
【書籍紹介】「死にゆく人と共にあること〜マインドフルネスによる終末期ケア」
 ジョアン・ハリファックス、井上ウイマラ監訳、春秋社、2015


【目次】

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4698
(12) ハリファックスのマインドフルネスからわかる日本の学問の重大な誤解

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4697
(11) 最も深い絶対無、無分節をいうハリファックス

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4696
(10)3段階のマインドフルネス

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4695
(9)無常、無我、自由を悟る

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4694
(8)無限の中に安住する――四無量心の中に住む

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4693
(7)人生でなし遂げたいことは何か

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4692
(6)私心のない慈悲

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4691
(5)私心のない慈悲、根本的楽観主義

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4690
(4)悟りの境地、透明性を実践

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4689
(3)簡単ではない、執着を捨てる

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4688
(2)心の本質は、大海のように、ただそのままで境界がなく完全で自然

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4687
(1)悟りでわかる根底の働きをいうハリファックス
Posted by MF総研/大田 at 21:15 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL