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『善の研究』(10) NHK Eテレビ 100分de名著 [2019年10月26日(Sat)]
21日に、テレビで第3回目を放送しました。

『善の研究』(10) NHK Eテレビ 100分de名著

 =マインドフルネス心の世界遺産

 NHK Eテレビで、西田幾多郎の「善の研究」を紹介しています。21日、第3回が放送されました。いくらか感想を述べさせていただきます。

じかに見ることをさまたげるもの

(【 】は、テレビのナレーション。若松さんの筋でしょう。)

 【じかに見ることを妨げるものとして、民芸運動家の柳宗悦と西田幾多郎の説明があります。】

 柳宗悦は、思想、嗜好(好き嫌い)、習慣の3つです。

 西田幾多郎は、「善の研究」では、思想、思慮分別、判断です。

 ここで「判断」という言葉が出てきます。「判断」の言葉は「マインドフルネス」の実践者にも出てきます。

 「“今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること” 」

 「評価をせずに」ということを「判断をせずに」という表現をする人もいます。マインドフルネスの推進者は、この2つで観察するのだというひとが多いです。ただし、SIMTはこれに制約されません。家族との対話、職場での仕事は、評価、判断の連続ですから。ポージェスのポリヴェーガル理論の指摘どおりです。

 西田はこういいます。

 「いかなる意識があっても、そが厳密なる統一の状態にある間は、いつでも純粋経験である、即ち単に事実である。これに反し、この統一が破れた時、即ち他との関係に入った時、意味を生じ判断を生じるのである。・・・・・
意味とか判断とかいうものはこの不統一の状態である。」(岩波文庫p21)

 この少し前に、例があります。
 たとえばある音を聞いた時、「鐘の音だ」と
 「判じた時は、ただ過去の経験中においてこれが位置を定めたのである」

 【若松さんは、リンゴの「赤」という判断は、個々のリンゴの色の違いからそれていることを示されました。】
 実物のリンゴそのもの(視覚で見た)と「リンゴは赤い」とは違うわけです。

 幼い頃から今までの過去の経験で「こういう音は鐘だよ」「これは太鼓だよ」と学習したことに照らして、現在の事実を「何だ」と分類、判断します。言語化します。 今は難しい評価、判断を求められます。セクハラ、パワハラ、詐欺、犯罪でないか、などの評価判断も必要です。うつ病、PTSDなどに追い込んでしまわないか、そういう病気を悪化させないかの評価も必要です。
 ブームのマインドフルネスは、こういう判断をしないことのようです。しかし、仏教は初期仏教の時代から大乗仏教の時代まで、自分の考え行為に、エゴイズムの心理がないかどうか評価せよといってきました。エゴイズムの心理には、大乗仏教の唯識によれば、次のようなものがあります。一部です。
 貪(執着、好き)・瞋(いかり、嫌い)・痴(無知)・慢・疑・悪見が根本的な煩悩で、しかもそれらは具体的な場でさらに個々の特徴をもってはたらいたりします。それが随煩悩です。
 髄煩悩には、いきどおり、うらみ、しらばっくれ、言葉で相手の急所を攻撃する、 しっと、ものおしみ、たぶらかし、相手を籠絡してしまうこと、攻撃心、うぬぼれ・・・。

 こういうエゴイズムの心理は、現代の家庭、学校、職場、ビジネス、政治、外交の世界、インターネットの世界でも、充満しています。善良な人、社会的な弱い人が苦しめられています。学校にも、いじめが多く、大学にも「大衆」が多いとオルテガが指摘しました。大学にも、誠実な活動、社会に貢献するはずの活動などを無視したり妨害するものがいるというのです。昭和の時代は学者と実践者が論争しましたが。教育現場にもこういうエゴイズムが見られそうです。

 だから、今こそ、深く広いマインドフルネスが必要な時代なのでしょう。「評価」「判断」しないと、生きていけない社会です。「善の研究」の放送を見て聞いて、マインドフルネス、観察ということを厳密に検討していかなければ、マインドフルネスも(大乗仏教の3つの核心のように?)、社会から消えていくおそれがあると思いました。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4100
★オルテガ「大衆の反逆」

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3669
★学者は平気でうそをつく

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3853
★専門家の多数決のエゴイズム

(続く)

参照
「100分de名著 善の研究」若松英輔、NHK出版

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4382
★目次(1)

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3329
★後期西田哲学の実践論
 「実践哲学序論」を中心に
★「マインドフルネス心の世界遺産」の索引です
http://mindful-therapy.sakura.ne.jp/sekai-isan/mokuji-sekaiisan.htm

(注)マインドフルネス心の世界遺産の例=河井寛次郎、大山忠作。
★河井寛次郎
★大山忠作
Posted by MF総研/大田 at 10:14 | マインドフルネス心の世界遺産 | この記事のURL