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(22)仏国土は重層的にこの世界にある [2018年10月19日(Fri)]
★2019年1月13日は、専門家向けの講演です(下記)
上座部仏教、日本仏教の問題を超えていくために
日本の社会問題の解決のための「利他=マインドフルネス」の危機
どういう道があるか。
現代の日本的なマインドフルネスの展望

大乗仏教の経典の不思議な言葉・思想(3)
 =仏国土は重層的にこの世界にある

 次の本は、日本の仏教者が信じているという大乗仏教は ブッダの仏教ではない、別の宗教だと指摘しています。

『大乗非仏説をこえて』大竹晋、国書刊行会

 大乗仏教は、利他、人間完成を目指し、それを自内證で確認するというから、大乗仏教の 人は実践して自内證して確認しなければいけないはずである。
 本書には、大乗仏教の言葉だとして不思議な言葉が数多く紹介されている。信じにくいであろうが、自内證で確認されるはずである。

仏国土は重層的にこの世界にある

 上記の本に書いてある次の不思議な言葉も「本当かな?」「いつわりもの」と思われる人も多いでしょう。しかし、大乗仏教の修行をするひとは、(当然、生前に)自内證(つまり、悟道体験で)で確認できるというのです。

 「日本の大乗仏教においては、『法華経』の仏国土は霊山浄土、『密厳経』の仏国土は 密厳浄土、浄土三部経の仏国土は極楽浄土と呼ばれ、順に、日蓮系諸宗、真言宗、浄土系諸宗によって宣伝されている。(中略)
インドの大乗仏教においては、霊山浄土と密厳浄土とはまったく同じものであるし、その浄土と 極楽浄土はいずれも法界に遍満している。いくつもの層をなしてわれわれの世界と重なりあっている、あまたの仏国土を、霊山浄土と密厳浄土だの極楽浄土だのと区別することは、本来、われわれにはできないことである。だから、大乗仏教徒はただ大乗仏教のブッダが、目に見えない仏国土から、大乗経にもとづいて福徳を積む者たちに加護を与えていると考えるだけでよい。それだけで充分ではあるまいか。」(p227)

 「それだけで充分ではあるまいか」というのは、初期仏教の四諦八正道(ビパッサナー瞑想も)のみが、仏教ではなく、大乗仏教のブッダにもとづいて福徳を積むすばらしい道があるということだ。そして、このことを確認できる自内證の体験があるということだ。大乗仏教の経典に書いてあるということで、これこそ大乗仏教の本道だという。
 どういうことか。これらすべての仏国土の情景を「言葉」で書いてあるのは、「勝義世俗諦」であるということだろう。 自内證(悟り)の体験が「勝義諦」であり、自内證すれば、みなの人生のこの自己を内奥に越えたものの表現であるということだ。この娑婆世界に無数の人間の表現する世界(仏国土)がある。大乗仏教の本道は、これだという。利他、人間完成、自内證。もちろん、自内證の前も後も、利他と福徳を積む人間完成の生活が続く。

禅や西田哲学も自内證をいうが仏国土の言葉の表現は違う

 禅にもとづいても、自内證すれば、自己の根底に自己を超えたもの(仏国土の一つということになる)に包まれているとわかる。禅はたいてい、言葉での表現をしないが、道元禅師は多くの表現がある。身心脱落すれば(見性のこと)、道元禅師の表現する世界を確証するということだろう。
 西田哲学は、禅の自内證があると肯定している。禅は見性といい、浄土系は回心というと西田哲学はいう。
 仏国土とは、西田哲学にもとづけば「自己の底に自己を超えたものがある」ということだろう。西田哲学にもとづいて福徳を積む生活をすれば、自内證できて、西田哲学がいう仏国土を確証できることになるだろう。西田哲学による生活は「至誠」であるという。「実践哲学序論」と「ポイエシスとプラクシス」に記述されている。
 (これを解説した「後期西田哲学の実践論」を下記の講演会で配布します。西田幾多郎博士は、「至誠」で悟りを得ることができると考えていたことになる。仏国土を確証する道は数多くあるのだ。法華経の方法、唯識の方法、浄土経の方法、白隠禅師の公案、道元禅師の坐禅、西田哲学の至誠、・・・。井筒俊彦は父から独自の方法を教えられた。)

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3573
★世俗諦、勝義諦

(続く〜大乗仏教の経典には不思議な言葉がまだある)
この問題に関して特別講演
2019年1月13日(日曜日) 、午後1時30分から4時30分まで
 埼玉県さいたま市浦和区、埼玉会館で。

★最近明らかになってきた上座部仏教、日本仏教の問題を超えていくために
日本の社会問題の解決のための「利他=マインドフルネス」の危機
どういう道があるか。

講師:大田健次郎(マインドフルネス総合研究所、日本マインドフルネス精神療法協会)

【書籍紹介】『大乗非仏説をこえて』大竹晋、国書刊行会 【連続記事】【日本では、なぜうつ病などの心理療法が普及しないのか】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3889
【自己保身、「空気」を読む、忖度する】

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3866
『忖度社会ニッポン』(片田珠美、角川新書)

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3873
『「空気」の研究』(山本七平、文春文庫)

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3875
阿部欣也の「世間」。記事の本のほか『「世間」とは何か』(講談社現代新書)

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3853
【目次・書籍紹介】「正しさをゴリ押しする人」(榎本博昭、角川新書)

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3918
『日本型組織の病を考える』村木厚子、角川新書

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3916
『異端の時代 〜 正統のかたちを求めて』森本あんり、岩波新書

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3461
『見て見ぬふりをする社会』マーガレット・ヘファーナン、河出書房新社

【連続記事】【日本では、なぜうつ病などの心理療法が普及しないのか】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3889
Posted by MF総研/大田 at 22:00 | エゴイズム | この記事のURL