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自殺念慮は消えにくい・日本財団の発表 [2018年09月14日(Fri)]

自殺念慮は消えにくい・日本財団の発表

 本気で自殺を考えた人の67%は、1年後の調査でも同じ気持ちを抱き続けているという調査結果を、日本財団が9月13日に公表した。
 そして、自殺未遂をした人の55%が繰り返していたという。

https://www.nippon-foundation.or.jp/news/pr/2018/47.html
★日本財団の発表

https://www.nippon-foundation.or.jp/news/pr/2018/img/47/1.pdf
★今回の日本財団の発表内容

https://www.nippon-foundation.or.jp/news/pr/2016/102.html
★日本財団の発表 2016年

 自殺念慮が消えないのは、うつ病が治らないからだと思う。うつ病は、簡単には治らない。薬物療法があるが、 薬は症状(抑うつ症状)を軽くするが、なかなか完治しない。ほかの精神症状が回復しないのだ。ここは、心理療法が効果的だが、日本では、うつ病を治すスキルをもつ心理療法者が少ない。それで、 精神科医の薬物療法を受けているうちに、ながびいて絶望して自殺に至る。

 今回の調査対象で、1年後も、まだ自殺念慮が消えないのは、この1年薬物療法だけを受けていたからだろう。心理療法を併用すれば、治る可能性があるはずだ。

 この状況の改善を精神科医学界が主体的に対策をとるべきだ。個々の精神科医は、忙しく、心理療法を知らないから。学会あげて対策を実施すべきだ。がんならば、医者は、上手な専門病院を紹介する。 うつ病、不安症などで自殺の危険のある患者のために心理療法を提供する拠点病院を全国に数か所、学会あげて作るべきだ。個人の医師が治せないうつ病があるのだから、学会が対策をとるべきだ。
 今、連続記事を書いている。どの専門家も、うつ病などを治す心理療法を本気で提供していない。再発予防のマインドフルネス認知療法はおこなわれているが、「治療」ではない。 医師の家族でも、どの専門家(宗教者、仏教学者、心理学者、マインドフルネス推進者、自治体職員など)でも、うつ病になるだろう。いつ、自分自身や自分の家族がうつ病になるかもしれない。実情を知っているので、薬だけでいいとは思わないだろう。 本気で、検討すべきだ。
 私もマインドフルネスの自己洞察瞑想療法(SIMT)を提供できる大規模なセンター(遠くの患者でも入院合宿してSIMTのトレーニングをする)を作りたいが、マインドフルネス瞑想療法士(MMT)を多く育成する資金がない。患者が低額で参加できるセンターを運営する資金がない。助成団体や篤志家の助成や寄付が必要だ。それを使って心理療法を受ける患者さんに利用料を補助する方法がいいと思う。
 スキルをもつMMTの人数が少ない。少しずつMMTを増やしていきたい。MMTが増えて信頼できるサービスを提供していれば、いつかは、できるだろう。うつ病などの支援を人生価値と選ぶMMT(実はまだ多くない)が多くないとできない。私の引退後かもしれないが、できてほしい。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3889
【目次・連続記事】【日本では、なぜうつ病などの心理療法が普及しないのか】
Posted by MF総研/大田 at 09:12 | 自殺予防対策 | この記事のURL