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究極の「生きがい」・生きていること [2018年07月26日(Thu)]

究極の「生きがい」・生きていること

 人は、「いきがい」を求めます。「いきがい」とは何か。精神科医の神谷美恵子は7種類に分類しています。7番目は深い「いきがい」です。

7)意味への欲求を満たすもの
「人間はみな自分の生きていることに意味や価値を感じたい欲求があるのだ。」
「自分の存在意義の感じられるようなあらゆる仕事や使命はこれに属する。報恩、忠節、孝行などもここに入れてよいかも知れない。また教祖的役割を持ったひとへの帰依、哲学的信念、宗教的信仰はもっとも広く深く意味への欲求をみたす生きがいでありうる。」

 神谷は、こういっています。仕事、使命、孝行、宗教行事への参加、哲学書を読むなどに「生きがい」を見出しえるでしょう。しかし、それさえもできない日もあり、できない状況にもなるでしょう。

 人生の最期には介護され看護され寝たきりで仕事もできなくなる状況になるでしょう。こういう状況においては、生きる意味はどうなるでしょうか。神谷は、こう言います。

 「そしてたとえもし現世のなにごとにも、なんびとにも、自分が役に立ちえないとしても、いいあらわし難いあの「瞬間」に、至高の力に支えられているのを感じたならば、その力のなかでただ生かされているというだけで、しみじみと生きがいをおぼえ、その大いなるものの前に自己の生命をさいごまで忠実に生きぬく責任を感じるであろう。たとえもし自分で自分の生の意味がわからなくても、その意味づけすらも大いなる他者の手にゆだねて、「野のすみれのように」ただ大地にすなおに咲いていることにやすらぎとよろこびをおぼえるであろう。」

 最期にこういう生きがいを感じるためには、かねてからこころの準備の生活が求められるのではないでしょうか。
 がん患者さんは、悩むと思います。死の問題の支援は、元来は、宗教者の役割でしょう。しかし、現在の日本では、がん患者さんの心のケアを宗教者はしていないのでしょう。心理カウンセラーも、生死の宗教や哲学や死生観を持っていないと支援が難しいでしょう。

出典:「生きがいについて」神谷美恵子、みすず書房、p263
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3738
【目次】神谷美恵子「生きがいについて」
Posted by MF総研/大田 at 22:14 | 深いマインドフルネス | この記事のURL