パーソナリティー障害
[2018年03月28日(Wed)]
パーソナリティー障害=自殺対策強化月間によせてhttps://blog.canpan.info/jitou/archive/ DV,デートDVについて触れましたが、 境界性パーソナリティー障害(BD)にも、暴力、自殺行動があることが知られています。患者さん本人にとってもつらいことですが、激しい言葉や暴力を受ける家族やパートナーにとっても、とてもつらいことです。 https://blog.canpan.info/jitou/archive/1995 アメリカには、BDの治療法として、リネハンの弁証法的行動療法(DBT)があります。 「日本におけるDBT実践の困難さ」がここに記述されています。 https://ci.nii.ac.jp/els/110009325301.pdf?id=ART0009887049&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1389396306&cp= 「DBTでは,マインドフルネスな心の状態を考え る前提として,3つの心の状態を仮定する。それ らは,理性的な心(reasonable mind),感情的な 心(emotion mind),賢い心(wise mind)である。」 「そし て賢い心の状態とは,感情の影響を受けながらも 理性的・論理的な思考も活用できる,理性的な心 と感情的な心を統合し(Figure 3),更に直観的理 解を付加した,より大きな統合と安定がもたらさ れた状態を指す。」 (以上、上記のホームページより) リネハンの弁証法的行動療法における、「賢いこころ」について検討したことがあります。 https://blog.canpan.info/jitou/archive/3076 http://mindfulness.jp/ma-therapy/oubei/dbt03.htm 賢明な心は、そうとう深いものだと思います。 種々の心理現象が於いてある場所のようなものもいえますが、それは「意識の野」であって、そのような浅い場所ではないと思います。 「この後、「賢明な心」に入り込むことを求められたときには、患者はこのス タンスをとり、 内的平穏の中心から反応するよう教示される。これは井戸の中深くに降りていくことにたと えられよう。井戸の底の水がーそれは実際、地下 の大海なのだがー「賢明な心」なのであ る。だが下に降りる途中で、中蓋 がしばしば行く手を阻む。その中蓋は非常に巧妙に作ら れているため、井戸の 底には本当に水がないと信じてしまう場合もある。つまり、中蓋が井 戸の底の ように見えてしまうのだ。そのため、患者がそれぞれの蓋をいかにして開ける か 考え出すのを助けることがセラピストの課題となる。おそらく蓋には錠前が かかっており、 患者には鍵が必要であろう。あるいは、釘で打ち付けられてい るなら釘抜きが必要だろう し、接着剤で閉じられているならノミが必要である 。しかし、忍耐と努力をもってすれば、井 戸の底にある知恵の大海に到達す ることができるのだ。」(境界性パーソナリティ障害の弁証法的行動療 法」 マーシャM・リネハン、誠信書房、290頁) この記述からうかがえることは、「意識の野」のような浅い場所ではないでしょう。それを包みこみ、すべての意識現象が生み出される根源、だから、智慧の大海なのだろうと思います。 これは、西田哲学でいう「人格的自己」の目覚めであると思います。 https://blog.canpan.info/jitou/archive/3029 ★人格的自己のマインドフルネスへ 日本には、その哲学があるのだから、弁証法的行動療法の研究者は、西田哲学を参照して、パーソナリティー障害の支援に役立てていただきたいと思います。 BDの患者には、自己不全感があるのですから、根底に智慧の大海を持つ存在であることを目覚めさせるものでしょう。DBには、度を過ぎた他責があります。深い自己不全の本音から、自己防衛の本音、他者の責任にする本音があります。独断的な基準ですから、これが独断的であることを理解して感情が起きるたびに、観察し、攻撃を抑制するトレーニングを繰り返すことが効果的でしょう。 苦悩が激しいほどに、BDの改善は、うつ病よりも、非定型うつ病よりも長くかかると思います。本人と家族の真剣さによるでしょう。患者本人の肉親がかばって、被害者(嫁、婿)のほうが悪いというようでは、改善の環境にありません。 ★自殺対策強化月間によせて(目次) https://blog.canpan.info/jitou/archive/3703 |
|