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(7)平成は仏教、禅の冬の時代 [2017年09月26日(Tue)]

大乗仏教からの初期仏教批判
(7)平成は仏教、禅の冬の時代

 竹村牧男氏のご著書により、現代にふさわしいマインドフルネス(*注)の哲学を考察しています。竹村氏は、大乗仏教である『般若心経』や法華経、唯識は、四諦八正道を否定したといいます。(*注)「マインドフルネス」とは、自分の意識作用や自己とは何かを観察し、気づくことである。五感覚や身体動作には限らない。現実の人間は、それ以外の意識も観察して、傷つかないような行動をしている。

 禅も、 道元禅師のように対象的な経典の学習を否定して、実践をして対象にならない自己の究明をすすめます。つまり、大乗仏教で、自己の真実は 勝義諦になっています。西田哲学(絶対無、絶対的一者)も、 井筒哲学(無分節)もそうです。マインドフルネスを世界的にした ジョン・カバット・ジン氏の「全体性」もそうでしょう。

 しかし、大乗仏教という日本の仏教も、西田幾多郎が、批判しました。70年たつのに、変わっていないと思います。だから、マインドフルネスがブームとなったし、東南アジアの仏教が、日本でも人気を得てきました。大乗仏教の禅や念仏の深さを解明して世界に紹介した鈴木大拙を否定する人まで現れる状況です。寺の消滅も言われます。平成は、日本の仏教の冬の時代です。

 言葉で説かれた禅、仏教の本が氾濫していますが、勝義諦のものはほとんど見られず、真の自己を表していないということになるのです。禅では、文字による学習を否定しました。 勝義諦の禅を見つけるのが難しいです。私が真剣に悩んだ昭和の後期の時代には、まだありました。

 問題は、平成の時代です。西田哲学、そして、竹村氏が解明してくださっている深い日本の自己の哲学が大学でも各教団でも学習されず、学生にも若い僧侶にも、マインドフルネスに関心のある研究者や学生にも知らされていないことです。勝義諦の仏教や西田哲学が一般市民に知らされていないことです。氾濫するほどの仏教書やマインドフルネスの本も、勝義諦、すべての人の絶対平等の人格の基礎になる教えがまったく、知らされていないことです。世界最高の哲学が日本人からさえも捨てられているのです。だから、日本の社会も、あちこちで、エゴイズム、独断、偏見が充満していて、市民が人格を否定されて苦しめられています。

 昭和の時代は、禅の黄金時代だったようです。勝義諦の禅僧が大変大勢、本を出版し、坐禅の指導をしておられました。私の書斎にはそのような禅僧の本がたくさんあります。私も最後に恩を受けることができました。うつ病になって自殺の危機があったのに幸いにも二人、3人の禅僧に救われました。そのかたたちもなくなりました。本も書かず、テレビでも紹介されないかたでした。
 今、どこにそのような仏教者が? 平成は、禅の冬の時代です。
 しかし、それでも、日本の禅の裾野は広いです。かすかに勝義諦の禅が人から人へ、伝えられていると思います。私の師のように。浄土真宗の西川和榮さんのように。しかし、西川さんはテレビで紹介されましたが、禅のひとは本も出版せず、テレビでも紹介されません。少数の真剣な人たちがそこに参禅なさっているでしょう。
 そして、平成の次の時代に、多くの人が現れて、深い禅が見直されて、深いマインドフルネスも花開く時がくるかもしれません。それを見ることができないことが残念です。

 なお、他のマインドフルネスを全否定するのではありません。3か月程度実践するのであれば、どれも似たような効果があると思います。MBSRもいろいろな効果が報告されています。ただし、1年(うつ病などの場合)とか10年、20年、生きる意味とか、死の問題のための実践となると、日本の禅(勝義諦)のような深い実践がありますという意味です。

  深い意識は浅い意識を包みますので。排他ではなく、すべてが見えています。他をそれぞれの領域で活かせることができる共生です。金子みすゞがいうような「みんな違って、みんないい」です。ところが、浅いものは、深いものを知らず、見えないのです。仏教で勝義諦が他から否定されるように。

 そして、勝義諦の人は、彼(女)がすべてを好きに(価値)なれるわけでもなく、その領域のポイエシスのスキルを持っていなことをわきまえている。すべての人が、勝義諦によるプラクシスのあるポイエシス(社会貢献=価値)を必要とはしていません。 多くの人は深いマインドフルネスを必要としないこともわかっています。
 残念なのは、深いマインドフルネスが、専門家によって否定されることです。深いもので救われる人がいるのに、善意(無知)によって、苦悩する人の解決を妨害することになるのです。 金子みすゞの「すずめの母さん」の詩で教えています。人間の母はスズメの母の苦が見えていないのです。人間の母には、その世界がないのです。大漁の詩も、人間の知らない世界があることを教えています。

 すべての人の、勝義諦である人格は専門家に哲学は理解してもらって、必ず尊重されなければなりません。これがないと、種々のハラスメント、暴力、犯罪の被害者が生まれます。救済されるはずの人の解決を善意により(過失により、知らずに)、妨害します。

 日本にあって、日本人が捨てた人格的自己の仏教やマインドフルネスも、また、欧米のひとが発掘して、日本に再び紹介されるのでしょうね。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3591
<目次>大乗仏教からの初期仏教批判
 =大乗仏教の哲学は在家にとってすぐれたマインドフルネス
本当の自分とは? 人生はなぜ苦しい?
竹村牧男「般若心経を読みとく」角川ソフィア文庫、2017による。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3549 
★第3世代の認知行動療法=多くの流派のマインドフルネス心理療法

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3288 
★日本のマインドフルネスの再興を
Posted by MF総研/大田 at 05:45 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL