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第3世代の認知行動療法(20)自己の真理の説明、探求に階層性 [2017年09月17日(Sun)]

第3世代の認知行動療法(20)大乗仏教はすぐれたマインドフルネス
 =自己の真理の説明、探求に階層性

 マインドフルネス心理療法には、階層性があります。重要ですので、整理してみました。
 NHK Eテレビ [こころの時代]で 唯識の研究者、横山紘一氏と理論物理学者、大栗博司氏の 対談がありました(8/20/2017)。大栗氏は、「科学は自分とはなにかは答えられない。」 「科学は仮説を立て、しかも実験、検証して確かめていく。 対象あってのことと思います。」 と話されました。

 このことは、マインドフルネスの元になっている仏教や西田哲学の言うことと符合すると思います。東洋大学学長の竹村牧男氏の紹介を見ます。(「般若心経を読みとく」角川ソフィア文庫)

 「対象化された私は、本当に生きている私そのものではありません。一方、本当に生きている私そのもののただ中には、死はないのです。」(P171)

 科学では解明できないという「自分」は絶対に対象とならないと西田哲学は説明しています。そして、検証するのは、実践によると。対象的にではなく、対象的でない体験によって。(西田幾多郎、鈴木大拙、井筒俊彦、竹村牧男、など)

 心、自己の探求である大乗仏教も似たことを言っています。多数の経典や禅の語録が言葉で書かれています。その言葉にも浅い深いがあります。

 「真理にもいろいろな地平の真理があります。」(P268)

大乗仏教の唯識に「四俗一真」の説が説かれています。

 4つの真理があるという説です。世俗諦は、真実そのものではないのです。

 「これをあえていえば、世間的真理・科学的真理・実存的真理(哲学的真理)・根源的真理(宗教的真理)と言えるでしょう。真理にも階層性があるのであり、次第に深く深く、深まっていくのです。」(P270)

 マインドフルネスがブームですが、この説明を見ると、世間世俗諦は、常識的に見る世界のようです。道理世俗諦は、言葉で説明されたものを理解する思考レベル、証得世俗諦は、意志的自己の行動レベルに似ています。

勝義世俗諦は、西田哲学、道元禅師の語録、大乗仏教の経典(唯識を含む)を勝義諦で理解できたレベルのようです。すべて、真の自己を体験していません。 唯識を言葉で理解しても、なお、世俗諦です。真に救済されません。

 「こうして、学問的真理を否定し、主体的真理を否定し、言挙げされた宗教的真理も否定して、最終的にその宗教的真理そのものに帰入せしめる、そういう脈絡を見ることができます。」(P271)

 このような深いマインドフルネスは、生きる意味で悩む人、がん患者さんの死の不安、人格を否定された人の救済に活用されるでしょう。国民の健康、自殺予防に関わりますので、第3、4世代の認知行動療法をささえる哲学として、どうあるべきか、諸科学者が検討していただきたいものです。


<目次> 大乗仏教は在家にとってすぐれたマインドフルネス
本当の自分とは? 人生はなぜ苦しい?
竹村牧男「般若心経を読みとく」角川ソフィア文庫、2017による。

(1) 勝義諦
  =絶対に対象にならず、言葉にできない自分
(2) 小乗仏教への批判
  =「四諦八正道」は、家族職を持つ人がモデルにするようなものではない
(3) 自己の真理の説明、探求に階層性
 =科学は、自己を解明できない。従って、対象的に言葉で説明する心理学も、真の自己を解明できない。言葉のレベルのマインドフルネス心理学とそれを超えた言葉以前の真の自己まで探求するマインドフルネス実践哲学が必要である。
 マインドフルネスは、現代の人が求めている。昔の封建社会、出家者中心の哲学、実践方法ではないものが必要となっている。MBSR,MBCTがブームとなっているのがその証であるが、 MBSRは、”全体性”を極めた、日本の深いマインドフルネス実践のその入門に当たる。静かな環境で、3つの主な手法で、対象的な知的観察が中心である。このレベル、階層による現代の問題解決に有効である。
 深い階層による問題の解決には、効果がない。欧米でも、リネハンの弁証法的行動療法は、大変に深いマインドフルネスである。パーソナリティ障害に有効である。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3549 
★第3世代の認知行動療法=多くの流派のマインドフルネス心理療法
Posted by MF総研/大田 at 20:01 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL