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(129)マインドフルネス瞑想療法士講座の第4回でした [2016年09月11日(Sun)]
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(129)マインドフルネス瞑想療法士講座の第4回でした

さいたま市で。24日(第3回)、25日(第4回)は沖縄で。

第4回 マインドフルネス心理療法のための西田哲学入門

テキスト
 各20ページ程度、発行:日本マインドフルネス精神療法協会、大田健次郎著。毎 回、こういうテキストが3−4冊配布される)今回は、異例でページが多いです。
    (A)マインドフルネスSIMT基礎講座 第4
       『自己の哲学を学び生き方とするマインドフルネスSIMT』(32頁)
    (B)『深いマインドフルネスのための西田哲学入門』(46頁)


    <参考資料>

    セッション4の参考図

学習内容

『深いマインドフルネスのための西田哲学入門』

 西田哲学は、大乗仏教や日本の禅の人たちが探求した深い自己(絶対無を基礎に した人格的自己、その前段階の叡智的自己)を論理的に説明したものであるといいます。
宗教の有無にかかわらない、すべての人の真相であるとされます。自己と絶対とが一つであるという東洋独特の自己観です。二元観ではありません。
西田哲学は、浅い段階の二元観の「意志的自己」についても記述しています。叡智 的自己をも考慮して、すべての行動時に用いる「生き方」となっています。

心の病気のひとだけに限りません。うつ病や不安症などを改善したり、仕事をうまく処 理していける心の用い方と自己や世界の見方を提案しました。
西田哲学の核心は、人格的自己です。これは、活用範囲が広いと思います。

なお、この講座では、叡智的自己、人格的自己レベルは理解できなくても構いません 。意志作用、意志的自己を理解してください。しかし、すべての人のありさまです(西田幾多郎)。 どの流派のマインドフルネスもこれを理解するとわかりやすくなるでしょう。

講座では、第7〜10回に、初期仏教の瞑想、道元禅師の坐禅、後期西田哲学のマインドフルネス実践論(*)について学習する。
    (*)『後期西田哲学の実践論』は、人格的自己への実践、人格的自己からの実践であり、日本の深い禅と似ているが、坐禅堂の中でなくて、現実の家庭や職場で実践するもの。それを、浅い段階の意志的自己にも実践できるようにしたのが、意志的自己レベルのマインドフルネスSIMTである。、


第1) マインドフルネスのための西田哲学
    第1 アメリカ流マインドフルネスと東洋哲学
    第2 西田哲学から意志的自己の見方を学ぶ
    第3 世界的な哲学者・西田幾多郎
    第4 西田哲学の評価と今後の可能性
    第5 仏教やキリスト教で救済される論理
    第6 自己洞察瞑想療法は西田哲学の精神療法化
第2) 意志作用の哲学
    第1 意志作用を活性化させるトレーニング
    第2 今・ここ・自己
    第3 自覚・自己自身を意識すること
    第4 包み映し見る
    第5 意識作用と対象と場所
    第6 場所の論理と3層の場所
    第7 世界と自己の関係
      第1)現前するもの(形)は世界の過去の運動の結果
      第2)自己は創造的世界の創造的要素
      第3)必然・自由と受容・意志的行為
      第4)自由の傍らには我利・独断も
      第5)人は我利、我執、独断におちいる
    第8 意志作用
第3) 世界と自己
    第1 創造的世界の創造的要素
    第2 自己は内的環境から作られ内的環境を作る
    第3 自己には階層がある
      判断的自己、知的自己、意志的自己、叡智的自己、人格的自己
      (多くの専門家は叡智的自己である。自分を基体として執着する。自己の底に自己を 越えたものの働きがあることを認めないからである。最後の審判者が自分になっている。日本には古来、そういうものではない自己を探求してきた。二元観ではない、絶対者と 自己とが不一不二であるとする哲学的な宗教が禅であり真宗であった。これを自覚したものが人格的自 己である(西田)。人格的自己から宗教的である。すべての人間の真相であり、すべての人 間が根底の絶対者を用いているが、あまりに早いので知らないだけである。西田幾多 郎は、しばしば大燈国師の語を引用する。これは、すべての人間の真相である。がん 患者の心のケアに活用できるだろう。)
第4) 西田哲学の生活実践化のSIMT
    第1 西田哲学から意志作用のモデルを学ぶ
    第2 西田哲学からマインドフルネス精神療法へ
西田幾多郎と評価

第5 セッションの実習のポイント
セッション4 =「人生の価値・願い」
『うつ・不安障害を治すマインドフルネス――ひとりでできる「自己洞察瞑想療法」』の p82-83の「第4セッション課題」
 観る、考える、働く(行動)の3つの局面にマインドフルの工夫があるという西田哲学 の実践論にささえられる。
社会で生きていくすべての局面(ポイエシス)で、いつも同時に自己洞察(プラクシス) がなければならない。これが、西田博士の最終的な実践論=マインドフルネス実践論。

情報の受動局面だけではなく、行動局面が重要であることを実践的に習得します。 情報受動局面のトレーニングのうち「対象」(ノエマ)と「作用」(ノエシス)を知るのも大 切です。
表面に意識されるものは、すべて「自分の作用」が作ったものです。 他者、外部だけで起きるのではありません。内外部からの刺激にうながされて、自分 の作用が作ったものです。

行動局面が意志的行動(衝動的行動でなく)になるのは、価値がしっかりと瞬間に想 起できるからです。
行動局面のマインドフルネスも重要です。評価がはいる局面のマインドフルネスです 。つらいことを観察、受容することは、瞑想時が中心です。 しかし、私たちは瞑想だけでは、自分のしたいこと(価値)を家庭や社会の現場で 遂行(世界創造、社会創造、ポイエシス)できません。
価値の想起、価値実現への行動探索(瞬時の)、実際行動が必要です。そのために 、「価値」の気づき、観察、実行をトレーニングします。
強い感情がおきた瞬間、この「価値」を失って、衝動的行動をしてしまいます。 そうならないように、行動時自己洞察(プラクシス)も大切です。 行動時自己洞察は、行動局面に重点があります。この局面は、無評価ではなく、観察 でもありません。瞬時に行動することが求められます。
成功していた専門家がうつ病になり、自殺するのは、いくつかの価値の優先度の持ち方がうまくいかなくて、もっとも重要(生命を守る、自殺しない)ではないこと(仕事関連が多い)で悩みすぎて、うつ病になる(そういううつ病の発症の仕組みが理解されていません)ためであると考えることができます。うつ病が自殺させます。
価値はいくつかあって、大切なものは「家族」や「自己存在=生命」であるでしょう。また 、仕事があるでしょう。
うつ病や不安障害、過食症などになると、価値を失なったり、放棄したりします。
これをしっかり確認する習慣を持つことが、課題を実践する動機づけになります。
長い人生の中で、うつ病にならないためにも、価値の確認が大切です。

【洞察実践11】価値・願いを確認する呼吸法
【洞察実践12】朝一番の呼吸法
【洞察を深める実践6】作用と対象の観察
【洞察を深める実践7】連鎖分析(先行刺激の分析、後続行動の結果推測)

講演会

★10月2日に、蓮田の会場で「『後期西田哲学の実践論』の説明会を行います。
http://mindful-therapy.sakura.ne.jp/program/a1-tomonokai-saitama.htm
 西田哲学には、実在論と実践論があります。「実践諭」はマインドフルネスの該当し ますが、観る局面に限定しません。「いかに生きるか」です。マインドフルネスの実践 論です。一方「実在論」は「自己とは何か」です。実在論の哲学あって、それに対応し た実践論があります。それぞれの自己の階層の実践とは?

★10月18日(火)、早稲大学で講師に。 10回連続講座に一コマ、大田が講義します。 https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/36716/ 「マインドフルネスからマインドフルライフへ。そしてマインドフル社会へ」(2)
25日は、市の施設での講師になるので、武田先生と交代していただきます。

「がん哲学外来」に寄せて ⇒目次

【目次】日本のマインドフルネスの再興を
Posted by MF総研/大田 at 13:20 | 新しい心理療法 | この記事のURL