西田哲学からみる科学学問、そして哲学
〜マインドフルネスSIMTと表裏
(48)愛は光
アインシュタインが娘に託した手紙を紹介していただきました。
⇒こちらです。
その内容を見ますと、アインシュタインが考えた(観た?直観した?)ことが、
西田幾多郎が説明した哲学と似ています。
まず、すべての人の根底に絶対の愛を持つということです。
次に「光」です。アインシュタインは次のように言っています。
「現段階では、科学がその正式な説明を発見していない、ある極めて強力な力がある。それは他のすべてを含みかつ支配する力であり、宇宙で作用しているどんな現象の背後にも存在し、しかも私たちによってまだ特定されていない。この宇宙的な力は愛だ。
科学者が宇宙の統一理論を予期したとき、彼らはこの最も強力な見知らぬ力を忘れた。
愛は光だ。
それは愛を与えかつ受け取る者を啓発する。
愛は引力だ。」
これですが、似た言葉が西田哲学にあります。
すべての人の根底に光がある。しかし、多くの人が「あるのに、見ようとしない」。
「絶対無の自覚の立場から見れば、我々の芸術的生命、道徳的生命の底には、深い内的生命の流れを見ることができる。美の内容、善の内容も深い内的生命の暗黒の中 から排出せる生命の閃きに過ぎない。」(『一般者の自己限定』旧全集 5巻,416頁)
「宗教的体験というものは、自己というものが死にきって、絶対が出て来ることである。そこに言語思慮を入る余地がない。故に宗教には生命の転換、いわゆる回心というものがなければならない。」(『人間的存在』旧全集9巻67頁)
「自己において自己を見るという自覚的限定の極限において、「自己が」がなくなると共に、「自己に」が単なる「自己に」となるのである。我々の単なる思惟の立場と考えられるものはかかる立場に基づいているのである。内的生命の立場に於ては非合理的なるものの底に神の霊光を見る、暗いものの底に光を見るのであるが、思惟の立場に於ては単なる暗いものを見るのみである。」 (『一般者の自己限定』旧全集5巻414頁)
思考では、暗いものしか見えないが、その暗い、その底に「光」がある。底に「絶対無」「絶対的一者」「神」「仏」「仏の浄土」「包む愛」「輝く場」がある。つらい、暗いこと、それ自身が底の光、浄土、神の国の中。こういう表現だと「宗教的」だが、絶対無、絶対的一者を場所的な論理で説明すると「西田哲学」になる。実践しないと、底の光を感じることができない。哲学を理解して実践、生活化するのが、「私のマインドフルネス」である。昭和の頃は「禅的生活」「禅的生き方」と言われたが、ほとんど死んだ言葉になって、今は「マインドフルネス的ーー」がブーム。いいことだと思う。従来の心理学、心理療法などで解決できなかった問題が解決している。宗教者も「マインドフルネス」を活用していただきたい。
アインシュタインが見た光は、西田幾多郎がいう光と同じでしょうか。
次に、アインシュタインは「力」をいう。西田哲学もそれをいう。愛、光は巨大な「力」でもあるという。自己を殺し、世界を消滅させ、時間を止め、過去をないものにする、そして、自己を生まれさせ、世界を創始し、時間を開始する巨大なエネルギーが働いている。すべての人の根底で。それを知らない人が多いと西田哲学はいう。アインシュタインと同じものだろうか。次で西田哲学の「力」の言葉を引用する。
★
宮沢賢治=本源の電燈が失われて、映された照明だけを見ている
(語句)
★SIMT:Self Insight Meditation Technology/Therapy。日本的マインドフルネス。大田健次郎
(2013)『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社、大田健次郎(2014)『マインドフル
ネス
入門』清流出版。
★学問的マインドフルネス⇒この記事
★社会的マインドフルネス⇒この記事
★世俗的マインドフルネス⇒この記事
★宗教的マインドフルネス⇒この記事
=それぞれの教団によって、哲学とマインドフルネスの方法が違う
★「人格的自己への原体験」「人格的自己的体験」
「人格的自己の基礎となる直覚的体験」「自覚的直観、創造的直観の基礎となる体験」、仏教
では無生法忍、見性、回心などと呼ばれた。
【目次】西田哲学からみる科学学問、そして哲学
〜マインドフルネスSIMTと表裏
参考
★(目次)NHK E テレビ、こころの時代「日本仏
教のあゆみ」
ある特定の集団の立場に立たないで、根源的な人間のありのままの立場から学問をしようと
する例のようです。
★(目次)道元禅師のマインドフルネス
★(目次)人格的自己の「マインドフルネス」へ
★(目次)さまざまなマインドフルネス
★(目次)最も深いマインドフルネスの実践の哲学
★(目次)昔から日本にあったマインドフルネス
★(目次)人格とは何か
★専門家は独断におちいりやすい
=人格的自己でなくある目的、立場の専門家としての叡智的自己だから
★専門家のエゴイズム
=自分が世界になろうとする構造
★学問における画一主義を戒めるフランクル
★自覚的直観、創造的直観
★高史明さんと金光さんの対談
★人間存在=自己洞察法の構造
★理論と実践
★理論と実践(2)