• もっと見る
«(42)社会悪と個人悪 | Main | 東京都八王子で講演会/ 11月21日(土)です»
テロのない社会を=すべてのものを包むもの=東洋哲学 [2015年11月17日(Tue)]

テロのない社会を=すべてのものを包むもの=東洋哲学

 また、テロが起りました。日本マインドフルライフ協会は、9.11の日に講演会を開催しました。このファイル派その時の私の講演内容です。このファイルは、日本マインドフルネス精神療法協会のホームページに掲示しています。  テロや国同志の争いが絶えません。自分が世界の支配者になろうというエゴイズムの心理が災いすることを理解していかねばならないのですが。 日本の哲学は、東西にかかわらない人間の存在について深く洞察しています。多くの人に知っていただきたいものです。 「マインドフルネス」がその方向までも行くのでしょうか。それとも、昭和の禅ブームのように一過性でしょうか。そうしたくないものです。

 今度こそ、深い東洋哲学の理解実践の普及を願うものです。永遠の中で、二度とくることのないたった一度きりの人生なのに、至るとこ ろに、人格性を無視されて、支配される人、支配する人の集団があります。

 すべての人の根底は、絶対に平等なる人格性 (絶対無、絶対的一者、仏性などと言われた) を持つのに、この東洋哲学が知られることもなく、殺戮、人格の否定が行われています。たった一度きりしかない人生なのに。

 多くの「マインドフルネス」が対象としているのが感覚や身体動作の観察です。見る局面のマインドフルネスです。その先が、価値実現の行動です。行動局面です。ここまでしないと社会的行動ができません。ここまでが意志作用です。意志的自己レベルのマインドフルネスです。 マインドフルネスを含む自己洞察瞑想療法(SIMT)では、エゴイズムの心理までも観察します。エゴイズムの心理は見る局面と、行動局面のすべてに起っています。これを観察します。 ここまでは、対象的マインドフルネスです。 満足もあれば不満もあるマインドフルネスの生き方です。

 意志作用が習慣化されると、その先の叡智的自己レベルのマインドフルネスになります。世界を自分の価値にあわせて構成することを習慣化できるので、満足の人生です。見ることと行動することが一つです(行為的直観)。自分の行動にかかわることを見て行動し、満足の結果を見るので、総じて喜こびばかりの自分(叡智的自己)です。しかし、叡智的自己にもエゴイズムの心理が起ります。これも観察するのが叡智的自己レベルのマインドフルネスです。
 しかし、西田哲学の教えではその先があります。視野を広げてみると、自分の満足の世界の外に、無数の世界があり、苦悩する多くの人が見えます。 金子みすゞが教える詩がわかりやすいです。視野を深く広く、すべてのものを包み込むものがすべての人の真の自己の根源であるといいます。このレベルまでマインドフルネスは通底しています。ここまで探求するのが、人格的自己レベルのマインドフルネスです。西田哲学でいう絶対無を基礎にしたマインドフルネスです。意識的自己が消滅して自他不二的な人格的自己として対象的でないマインドフルネスに生きるものです。

 見るということ、直観は、どんなに深くなっても必須だからです。マインドフルネスは浅い自己にも深い自己にもあります。見て、働くということは意志的自己、叡智的自己、人格的自己のすべての実践ですから。深いものが、人格的自己のマインドフルネスです。人格の否定、殺戮、暴力のない社会へ、一人一人、自分が小さな努力を積み重ねていくしかないのでしょう。
日本マインドフルライフ協会の講演記録
(語句)
★SIMT:Self Insight Meditation Technology/Therapy。日本的マインドフルネス。大田健次郎 (2013)『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社、大田健次郎(2014)『マインドフル ネス 入門』清流出版。
★学問的マインドフルネス⇒この記事
★社会的マインドフルネス⇒この記事
★世俗的マインドフルネス⇒この記事
★宗教的マインドフルネス⇒この記事
 =それぞれの教団によって、哲学とマインドフルネスの方法が違う

★「人格的自己への原体験」「人格的自己的体験」
「人格的自己の基礎となる直覚的体験」「自覚的直観、創造的直観の基礎となる体験」、仏教 では無生法忍、見性、回心などと呼ばれた。
【目次】西田哲学からみる科学学問、そして哲学
 〜マインドフルネスSIMTと表裏

参考

★(目次)NHK E テレビ、こころの時代「日本仏 教のあゆみ」
 ある特定の集団の立場に立たないで、根源的な人間のありのままの立場から学問をしようと する例のようです。

★(目次)道元禅師のマインドフルネス
★(目次)人格的自己の「マインドフルネス」へ
★(目次)さまざまなマインドフルネス
★(目次)最も深いマインドフルネスの実践の哲学
★(目次)昔から日本にあったマインドフルネス

★(目次)人格とは何か
★専門家は独断におちいりやすい
 =人格的自己でなくある目的、立場の専門家としての叡智的自己だから

★専門家のエゴイズム
 =自分が世界になろうとする構造
★自覚的直観、創造的直観
★高史明さんと金光さんの対談
★人間存在=自己洞察法の構造
★理論と実践
★理論と実践(2)

Posted by MF総研/大田 at 07:02 | 深いマインドフルネス | この記事のURL