うつ病は治りにくい(2) [2014年11月14日(Fri)]
うつ病は治りにくい(2)うつ病の薬の開発研究をなさっておられる加藤忠史氏のご著書で、うつ病患者さんの痛ましい 状況を確認させていただきました。鉛様麻痺感、過食、過眠のある非定型うつ病も直りにくいです。しかし、マインドフルネスをベースにした自己洞察瞑想療法(SIMT)で治る人もいます。マインドフルネスは世界的に応用研究が進められているようですが、 もちろん、万能ではありません。 もっとも深い苦悩が、自己の死を予期する苦悩であるとします。告知された後、ひと月で抑うつ 症状になるがん患者さんが多いのですが、この深刻な苦悩があります。 割合、浅い苦悩の例として、痛みがあるとします。がん患者さんほどではなくて、 足、腰、耳、胸、頭などに痛みがある、これが西洋医学的な治療をしてもなくならない。 このような痛みに、ジョン・カバット・ジン氏がMBSRを開発しました。 8週間の実践によって痛みの克服の心が成長するそうです。 痛みの場合、痛みに執着せずに、自分の生きがいとなること(自己洞察瞑想療法(SIMT)では「 価値」という)に意識を向けて生きていけば、痛みがあっても生きていくことができます。それで、 MBSRは、感覚や身体の動きに執着しないようなトレーニングをします。 ところが、死の不安のあるがん患者さんは、感覚レベルの苦悩ではありません。 自己存在の消滅の苦悩です。感覚をあるがまま観察していても、その隙間から、死の恐怖が 侵入してくるでしょう。「価値」をみつけていたのに、もう余命がいくばくもないと気分がすぐれない でしょう。 うつ病も感覚レベルの苦悩ではありません。 西田哲学によれば、感覚、思考、感情、行動、直観、自己存在と深くなっていきます。すると、そういうレベルの苦悩があります。これらを「マインドフルネス」する手法を研究開発していかねばなりません。 日本には、深いレベルの苦悩を持つ人がたくさんおられます。苦悩・問題のレベルに相応のマ インドフルネス心理療法を開発していかねばならないのです。 現在の専門家は、現在の職務に精一杯であるようで、新しい心理療法の開発研究が遅れてい ます。新しいものの開発はとても時間と努力を必要とします。 まだ、あるものに深く専従なさっていない若手の研究者に期待します。重職を持つ専門家は、も うその職務(人生の価値をもっておられます)に専念なさるので、新しいことの研究には多くの労 力をさくことができません。これが専門家、叡智的自己の有り様です。自分の価値実現のために 社会貢献していきます。専門、価値以外のことはよく知りません、従来あつかってこなかった領域は、質の高いものを提供できません 。よく知らないのに、否定する人がおられます。エゴイズムがあるのです。西田哲学が教えていま す。 マインドフルネス心理療法は、文献研究だけではいけません。新しい行動レベル、直観レベル、自己存在レベルのマインドフルネス心理療法の手法を研究しなければなりません。まだ、世界にないのですから、文献もありません。 マインドフルネス心理療法は、これまでになかった新しい心理療法です。言葉、思考で対象的 に扱っていく、これまでの心理療法とは違います。従来の理論とは深層心理的な深さ、質的に 違うのです。 マインドフルネス心理療法は、従来の心理療法がめざましい効果をあげているところには弱いでしょう。マインドフルネス心理療法だけでは、さまざまな社会的な問題のカウンセリングはできないでしょう。マインドフルネス心理療法は、深い精神病理、深いスピリチュアルな苦悩に有効でしょう。それぞれ得意領域があると思います。みな、社会的に有効です。 それぞれの専門家がクライエントを囲い込まないで、連携して相互に紹介しあい並行してサービスを提供する仕組みができないものでしょうか。他の身体疾患ならば、かかりつけ医が専門医を紹介するようにです。他のすぐれたものの情報を知らせない、自己の技術への囲い込みは、エゴイズムです。クライエントの立場に立っていないのですから。西田哲学が教えています。日本独自のマインドフルネスは、さまざまな領域の専門家のエゴイズムの心理もあることに気づき、その有り様を観察することが含まれています。 日本の道元襌に強い教えがあります。我見我執を捨てようと。人間の根底がそうだからです。無我、無私、無評価、無言語、無本質、無差別、無仏、無宗教、無生死・・・=絶対無「分節」、絶対平等、絶対自由。そこから科学も生まれるが、エゴイズムも生まれてしまう。こういう東洋哲学を基礎にした日本的マインドフルネス。そういう自己を習う実践がマインドフルネスです。その習い方に宗教以前のレベル(MBSR,MBCT,ACT,意志的自己レベルのSIMTなど) と宗教的レベルがあるのです。
★治療法の送れ。10年前と変わっていません。 ★自殺防止、家族ができること ★専門家のエゴイズム=本音 科学といわれる領域にも、専門家のエゴイズムが働く(西田哲学)、世界の立場に立つことが非常に難しい ★専門家のエゴイズムの一例 うつ病の治療法が進まない・・。これらを改訂しなければなりません。 |