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専門家のエゴイズム(2) [2014年09月13日(Sat)]
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専門家のエゴイズム(2)

 深いマインドフルネスには、「エゴイズムの心に気づき、 行動してしまわないように気をつけよう」というトレーニングがあります。
 認知療法の「認知のゆがみ」に似ています。 自分や他者を苦しめる思考や行動の背景にあって、思考や行動の原因系として働く エゴイズムの心理です。
 仏教や襌では、我見我執に気づき、捨てよという教えにあり、とても重視されます。道元禅師は特 に厳しいです。瞑想だけをすればいいというのではありません。エゴイズムの心理に気づかなければなりません。経典を読む時や対人関係においては我見我執、エゴイズムが発動されていることに気づき、捨てようというのです。自分や他者を苦しめる思考や行動を駆動するからです。

 新聞が批判された問題は、ジャーナリストという専門家のエゴイズムの問題として見ることができま す。何が誤りであったか自己批判がされています。マインドフルネスの視点から、エゴイズムの問題が的確に自己批判されているところがあります 。

 社説(13日)の中に「自分たちの主張に都合の良いように事実を集めたのではないのか」とありま す。そうです。事実の真意をみようとしない、事実を見る時に、先入見をもって いて、都合のよいようにテキストを集めるのです。学問にも見られます。V・E・フランクルも指摘して います。学問でさえも起きるのですから、おそらく、新しい科学、マインドフルネスの科学にもみられ るでしょう。無評価でいいのは、瞑想の時です。対象的に意識される感覚は他者から発せられたものではないからです。しかし、対人場面では、自分の見方、自分の利益に執着して、見る聞くので、不満、怒りの感情を起こします。人間の心理はとても暗いところがあります。「闇の心」と言われて、気づきにくいです。

 「被害者の救済という一番大事な問題の解決が置き去りになっていく」という指摘も社説に自己 批判されています。 そうです。専門家にエゴイズムがあると、助かるはずの国民の救済が遅れます。 情報を隠したり、 良いものがありながら不勉強で否定するのも専門家のエゴイズムです。 うつ病の領域にも、起きていないでしょうか。大丈夫でしょうか。
 専門家のエゴイズムがあちこちに見られるようです。専門家がマインドフルネスをして、エゴイズムに気づき捨てれば、も っと住みよい国になって、死ななくてすむ人がおられるのではないでしょうか。
 自己洞察瞑想療法(SIMT)では、自分や社会の発展を阻害する心理を本音、本心と呼びます。 専門家にも多くのエゴイズム、本音があります。 これに気づき、観察し、思考や行動に影響させないようにします。そうでないと、自分や社会の人が救済されることを遅らせますから。大乗仏教や襌は、こういうすばらしい哲学的実践を含んでいたのですが、失われてしまいました。マインドフルネス心理療法としてのSIMTで復活させます。 本音、エゴイズムがあると、それがない立場に立たず自傷的、自利利己的な思考行動をするので、個人や社会の発展を阻害し、国民が救済されることを妨害しますから。仏教や襌が教えてきたことです。瞑想の時の感覚や身体の動きだけのマインドフルネスではなくて、j自分や他者を苦しめる、もっと重大なものをマインドフルネス(観察、気づく、抑制する)します。後から反省するのでは、失敗や阻害が起きたのですから、まずいのですね。 まさに今、その瞬間にエゴイズムの心理を観察しなければならないのですね。エゴイズムのために、人の生命が失われるのですから。うつ病が治らない、効果の高い治療法が普及しない、自殺が起きる、いじめ、差別、さまざまなところでエゴイズムの犠牲者がいます。
【目次】ジャーナリズムの権力(政治、学問、専門家)批判、自己批判

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(続く)
Posted by MF総研/大田 at 21:34 | エゴイズム | この記事のURL