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マインドフルネスを推進するのは誰か(8) [2014年07月18日(Fri)]
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昨年発売の本『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』(佼成出版社)が、 第3刷 決定です!!
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マインドフルネスを推進するのは誰か(8)

=うつ病の症状、脳科学を勉強して、完治まで援助するスキルをもつ人

 うつ病のマインドフルネス心理療法は、うつ病のことをよく勉強しているカウンセラーから、支援を受けるのがいいです。私は幸か不幸か、自分がうつ病になりましたから、その症状のことがわかります。うつ病になったことのないカウンセラーは、うつ病の心理、うつ病の脳科学、マインドフルネス心理療法で治るわけをよく勉強して、うつ病レベルの治療スキルを習得してから支援したほうがいいです。 いつも自殺と向き合っておられるのです。マインドフルネスといっても、うつ病を治すマインドフルネスは、痛みの緩和、うつ病の再発予防、パーソナリティ障害、ターミナルケアのマインドフルネスでは、違います。「改善効果があった」というのと「完治させる効果」があるというのは違います。抗うつ薬は改善効果があるけれど、完治しないひとがいるように。マインドフルネスは、自分のエゴイズム(我です。執着、嫌悪、無知、慢心、うぬぼれ、いい加減、名誉欲、金銭欲などです)の心理に気づき、名前をつけて、それを抑制するマインドフルネスがあります。 自殺と向き合う患者さんと会うカウンセラーは、自分のエゴイズムの心理をマインドフルネスしないと、患者さんに迷惑をかけます。カウンセラーが自殺のひきがねを引くかもしれません。うつ病のマインドフルネスによる援助は大変です。

 日本のうつ病は、8週間では治りません。1年近くかかります。1年近くの間に症状が変動します。2,3か月で軽くなったのは、まだ治ったわけではありません。脳のさまざまな部位に変調、病理が起こっており、再燃しないようになるのは1年ー2年かかります。これまでの経験から、 うつ病を治すほどのマインドフルネスの実践を習得するには最低6か月かかる患者さんが大部分です。2か月くらいで軽くなるひとがいますが、完治とはほど遠い状況です。 それくらいで完治する治療法があるならば、ノーベル賞ものでしょう。世界中でうつ病に苦しむ自殺がありますので。

 患者さんはつらい目にあっておられます。死ぬことを考えておられます。支援側のエゴイズムは断じて避けなければなりません。薬物療法でも、効果が確かでない病気には投薬しません。予防法を、治療法として標榜することはありません。マインドフルネス心理療法者も倫理が要求されます。たとえば、ボディスキャンだけでは、うつ病の完治にはなりえません。ボディスキャンは感覚レベルを観察しています。うつ病は、思考、意志作用レベル、さらにもっと深い自己存在までも嫌悪しています。苦しみのレベルが深いのです。がん告知された人も、感覚レベルで苦悩するのではありません。対象にならない自己存在の消滅の苦悩です。

 真剣、誠実なマインドフルネスのセラピストがたくさん現れますように祈るばかりです。 うつ病に完治の効果が多く確認されたごく一部のマインドフルネス心理療法は、1年かかるけれど、実践すれば治ります。死なないで下さい。死ぬほどの勇気があるのならば、1年間休職、退職して、マインドフルネスを試してください。死ぬのはもっと多くの治療法をためしてからでいいはずです。その期間、ご家族がささえてくれます。自殺は絶対にしないでください。マインドフルネス心理療法がもっと知られるようになってほしいです。

 マインドフルネス者の効能の記述は野放し状態です。サプリメントなども改善効果をいうのは制限があるはず。クライエントの保護のために、マインドフルネスが効能をうたうことについて、学会、関連する推進団体が、自主規制することがそろそろ必要になるでしょう。

★マインドフルネスを推進するのは誰か
Posted by MF総研/大田 at 20:04 | 新しい心理療法 | この記事のURL