マインドフルネスを推進するのは誰か(1) [2014年07月04日(Fri)]
マインドフルネスを推進するのは誰か(1)マインドフルネスの適用範囲は、広く深いと思います。襌、初期仏教の実践に似ているので、誰が、どのような専門家がになっていくことができるのか問題です。初期仏教や襌、その後展開した各宗派は、宗教者、文献学者、さまざまな領域の専門家とに分かれて、個人にはそれぞれの役割があり、現実問題の解決法を模索する専門家にも苦悩を持つ信者にも現実に応用実践されませんでした。在家仏教が強調されたインド大乗仏教の時代を除いて、長い歴史でどの専門家にも、人生価値として選択されなかったのです。 仏教宗派、襌は長くありましたが、 現実問題に深く影響を与えることはありませんでした。マインドフルネスが似たような経過をたどらなければいいのですが。 垂直方向のマインドフルネス支援方法の研究開発深い問題というのは、たとえば、眠れない悩み(不眠症)とか電車に載れない悩み (広場恐怖症)と「死の恐怖」(がん患者さんなど)の悩みとは深さが違うのです。 不眠症、広場恐怖症は、自己存在を何ら問題にせず、対象的な問題を苦悩 しています。ところが、死の恐怖は対象的なものごとの苦悩ではありません。自己存在そのものが消滅 する苦悩です。 だから、同じマインドフルネスではすまないのです。こういう垂直方向のマインドフルネスに よる支援法を開発しなければなりません。 これは、新規創造的開発研究です。難しいです。 水平方向のマインドフルネス支援方法の研究開発もう一つ、現在すでに開発済みのマインドフルネスの手法を、現実の特定領域に提供し ていく応用開発研究です。これも、とても大切です。 たとえば、うつ病、PTSDの改善のマインドフルネス、子どもの不登校、不安、抑うつ症の支 援、DV/ 虐待された人の支援、DV/虐待する人の支援、学校におけるマインドフルネス、パーソナリ ティ障害のマインドフルネス、身体疾患の予防のマインドフルネス心理療法・・・、スポーツ 選手のメンタルな面の成長のためのマインドフルネス、・・・数々の応用領域がありそうです 。 この時に、既存のどのマインドフルネスの手法を用いるか選択することになります。 MBSR,MBCT,弁証法的行動療法、アクセプタンス・コミットメント・セラピー、SIMT(日本開 発のマインドフルネス)。もし、既存のマインドフルネスを応用してみて、解決できないのであれば、上記の深いマ インドフルネスを開発して適用する必要があると思います。 がん患者さんのメンタルケアは既存のマインドフルネスですむ人と、それでは足りず深い マインドフルネスでないとすまない人がいると思います。 このように、マインドフルネスの研究は、課題が無限にあると思います。 翻訳は多いですが、現実問題への取り組みは、まだ、あまり進んでいないので、気がかりで す。数々の領域で悩む人が多いとテレビなどでも報道されるのに、そして、マインドフルネスを使えばかな り効果がありそうに見えるところに、まだ、マインドフルネスが用いられていないからです。従来の手法、支援方法で解決できないから、マインドフルネスが期待されています。仏教経典の翻訳書が洪水のように輸入された奈良平安時代と、東南アジアの仏教が紹介された明治時代と似ているのですが、マインドフルネスは、どのような人材がになっていくのでしょうか。 マインドフルネスを推進するのは誰か
参考
【後に連続記事】 ★一体どういうリソースなのか =薬物療法で治らないうつ病などが治るような長期的な支援をして自殺を減少させるのは |