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苦悩の現実の中で世界を創造して生きていく(15) [2014年04月09日(Wed)]
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苦悩の現実の中で世界を創造して生きていく(15)

<第2> 「イライラ・怒り・欲・迷い」を乗り越えるために(6)

 =自分には値打ちがないと落ち込んだときに…自分を大切にする・自分を好きになる

 人はみな、自分が思うほど、値打ちがないことはありません。評価できない存在価値を持 っています。家族の愛が典型的な存在価値です。丸ごと自分を受け入れてくれています。 何かすることを条件として受け入れるのではなくて、人格丸ごと、生涯変わらず包む愛です 。あなたの存在だけででいいのです。家族の存在そのものを受け入れる価値は、身体、心 理レベルではありません。それよりも深い精神レベルです。身体、心理は対象的に見ます が精神は対象的には見えません。そのような深いレベルの存在を受け入れているのが、家 族の愛です。家族にとってかけがえのない価値を持っています。
 天涯孤独だという人にも、外部世界に動いていると、いつかあなたを愛するひとが現れる ことがあります。そういう人を失って今孤独であっても、さらに大きな絶対者に包まれている という宗教的な存在価値もあります。ここは宗教的マインドフルネスの領域です。
 哲学者の西田幾多郎は、人はみな「創造的世界の創造的要素」であると言いました。私 、一人一人が、世界の中に生きていますね。世界は人の行動によって変化しています。地 球上で無数の人が動いて、働いて、物を消費して、そうして世界が変動していきます。自分 もそういう世界の一員です。自分が自分の周りを掃除すると、自分の環境が美しくなります 。世界の一角が私の掃除する行動によって変化するのです。何か他の人のためになること をすると、その人が喜こびます。 そうすると、自分も嬉しくなりますね。世界の中の、二人に喜びが生まれたのです。こういう ことが生きがいです。個人は、世界の中に住んでいるために、世界のため、つまり他の人 のために動く、働く、やさしい言葉をかけるなどすると、自分が喜こびを得るような存在です 。こういう有り様を創造的世界の創造的要素であるというのです。
 ヴィクトール・フランクルは、人間は3つの価値、すなわち、創造価値、体験価値、態度価 値を実現していくものであると言います。
 「価値を実現するという人間の義務は、その存在の最後の瞬間に至るまで人間から離れ ることはない。」(『人間とは何か』113頁)

 義務といっていますから、これは存在価値ではなくて、当為価値ですが人は世界の要素 であるために何か世界のために働きたいという根本的な要求と義務感を持っています。だ から、見つからないと苦しむこともあるのですが。 社会は広くて、いろいろなところで、他者のために働くことができて、あなたを受け入れてく れるところがあります。あなたも他者の存在をありがたいと感じ、感謝し、受け入れることが できます。生きがいをみつけることができます。
 自分には値打ちがないと落ち込んだときには、自分を必要としてくれる人が必ずいると思 いましょう。小さなことでも喜こんでくれる人がいると思いましょう。そして、思うだけでは、実 現していませんので、内だけを見ずに、外に出ていく行動を起しましょう。
 自分を好きになるためには、自分の不幸を見て考えるているだけではそうなりません。人 の精神の構造がそうなっているのです。フランクルも西田幾多郎も言っています。自分の外 に何かを実現して達成感、喜びを感じるようにできています。自分の外に、他を愛すること によって、自分に喜こびを感じるのです。他愛が自愛なのです。 対象的な外向きのことで行動しないと感動がなく、自分を好きになれません。 家族や社会のためにできることをさがして行動するのです。 大きなことではなくて、小さなことでいいのです。ボランティア団体、福祉施設、公的機関な どでお手伝いさせてもらう、ボランティア活動をさせてもらう、などやってみます。 他者のため社会のために行動すると感謝されてこちらに喜こびをもらえます。 喜こびのある生活が自分を好きになれるのです。 人生の価値ということを考えて、さがしましょう。自分を大切にするためには、自分のことを 勘定にいれずにと宮沢賢治がいったように、 自分の利益を考えずに、他の人のためにできることはないかとさがすのです。

呼吸法で乗り越える

 しばしば無価値感におそわれるようであれば、呼吸法で乗り越えましょう。 無価値感でつらくなったら、呼吸法をします。ゆっくり呼吸法を行います。落ち込みの感情 を感じますが、これは感情だ、自己否定の考えをしたから、感情の神経回路が興奮してつ らく落ち込んだ‫気持ちになったのだなと観察します。自己否定の考え⇒おちこみの感情と いう連鎖です。
 この連鎖を理解できたら、しばらく呼吸法を続けます。ゆっくりと呼吸します。やがて、落ち 込んでいた感じがおさまってきたのを感じるはずです。感情の興奮がしずまったのです。新 しく否定的なことを考えなければ、つらい落ち込みの感情は感じられないのだと、しっかりと 観察します。こうして、現在進行形で観察して自分の心の新しいありさまを知ることを「自己 洞察」と言います。自己洞察は浅いものから深いものまであります。

苦悩の現実の中で世界を創造して生きていく

<第2> 「イライラ・怒り・欲・迷い」を乗り越えるために

<第1>イライラ、ウツウツはどこからくるのか
Posted by MF総研/大田 at 11:51 | 今ここに生きる | この記事のURL