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人生の価値を発見していきる(12) =叡智的自己が価値実現の最中は自己が意識されない [2014年02月24日(Mon)]
★本で自習なさってお られるかたへ
★3月22日、宮城県石巻 で講演会
 大災害の後に、長年月、うつ病、PTSDが。マインドフルネス心理療法で改善したい方、 予防の援 助をしたい方。地域、職場、団体で「心の健康体操」のインストラクターになろうかという方。 今後、半年継続するか検討。
がん患者さんに心理療法を提供すると、免疫能の向上で生存率があがる。がん関係者のご参加も。

★3月16日、蓮田での実習

人生の価値を発見していきる(12)

 叡智的自己が価値実現の最中は自己が意識されない

マインドフルネス心理療法はがんの悪化を抑制するだろう

 「マインドフルネス心理療法は、治療中のがん患者さん、いったん治療を終えたサバイバ ーの方、価値実現の生き方、ターミナルケアにも貢献すると思います。 」と書きました。 この理由について触れておきます。
 マインドフルネス心理療法(SIMT)は、非定型うつ病のように感情的になることが多い精神疾患でも改善するのです。ということは、副交感神経が優位になります。ストレスホルモンの過剰な分泌がなくなります。ストレスホルモンは、ナチュラルキラー細胞を抑制しますが、これが改善します。NK細胞は、副交感神経優位な時に、活性化します。 SIMTの実践により、ストレスホルモンの過剰な分泌がなく、副交感神経が優位な心身となり、免疫能を向上させます。
 こういう仕組みによりマインドフルネス心理療法は免疫という視点から、がん患者の心のケア、生存率の向上のために貢献するでしょう。

身体・心の苦悩に抵抗する精神的無意識・行為的直観

 この神経生理学的な理由のほかに、フランクルや西田哲学の哲学からも理由づけができます。フランクルが次のように言っています。
 フランクルが「精神的無意識」というのは、西田哲学では、行為的自己(叡智的自己)は、価値実現に生きるものであり、その時には、世界に向かって対象的方向に意識が向かっていて、自己が意識されないというのと同じことをさしているでしょう。

  「衝動的無意識と並んで、精神的無意識も存在するということであります。この精神的なものは、それが精神的行為の非反省的遂行に「没頭している」限り無意識なのです。それゆえに、精神的なものが--こう主張されたように--たんに「知る」(scit)だけではなく、それと同時に「自分を知ることを知っている」(se scire scit)ということはけっして確かなことではありません。むしろ、明らかに思われることは、精神的行為が対象を志向するとき、その行為自身を--つまり主観そのものを対象化しつつ--志向することはできず、したがって反省することもできないということです。それゆえ、われわれは、(第一次的な)知と(第二次的な)この知の意識とを区別しなければなりません。一般に意識と呼ばれているものは、この再帰的な、自分自身を反省する意識のことであり、この自分の知の意識、この自分自身についての知、つまりこの自己意識のことなのであります。それゆえ、われわれは、このような意識=自己意識に対して、直接的な現意識を立てねばなりません。この現意識は、「第一次的志向」と呼ばれているものに対応し、また、この(第一次的)志向作用から「分岐してくる」 (第二次的)反省作用は、「第二次的志向」と呼ばれているものに相当します。」( 『制約されざる人間』 春秋社 、p190)

 だから、がん患者でも、仕事、趣味など何でも創造価値、体験価値を持つ人は、意識がそれに向かって(対象側:ノエマ)生活するので、主体側(ノエシス)の「自分」を意識(フランクルは「反省」という)しません。死の不安は、「自分」の消滅の苦悩でしょう。これほど最悪のストレスはないでしょう。西田哲学でいう叡智的自己、フランクルのいう創造価値、体験価値に生きる「精神的な人」は、「無意識」つまり自分を問題(反省)にしないのですから、 死の不安におびえる思考をすることが少ないので、免疫能を高めるでしょう。

 このようなことは、つらいことが多く起こってしまった被災地の方のほか、全国のがん患者、喪失体験の多い高齢者の生き方にも言えます。価値を発見して生きることがうつ病、がんなどの発病、症状の悪化を抑制して生存率を高めることでしょう。
 叡智的自己とは、西田哲学でいう「意志的自己」の意志作用が習慣化されて、価値を発見して価値実現の行為がスムーズに行われる段階です。意志的自己は、一々、何のために(目的、価値) 行動するかということを選ぶ価値実現の反応パターンを努力して決断する段階ですが、叡智的自己はいくつかの価値を発見していますから、そのつどすぐに決断して、価値実現の行動をしていきます。長く悩む時間はなく、自分を責めたり自分自身を否定したり自分の消滅(死)を考えません。価値実現の行為の時には、自己が意識されません。その時こそ全力が発揮されて価値実現の行為ができるもの、それが根底の真の自己のはずですが、自己は対象的(ノエマ)にみられません。対象的に見られないものが、 真の自己であれば、自己の死を対象的な思考で悩むことがありません。自己洞察瞑想療法(SIMT)でも「考えられた自己の解放」のトレーニングをします。
 フランクルが被災地の方によく読まれていると聞いています。それは日本の西田哲学と類似するのですから、今読まれるのがわかります。まさに、この今必要な生き方に的確に接近なさっておられるのだと思います。日本に西田哲学があったことが幸いです。 しかし、哲学を「思考」によって理解するだけでは、解決しません。思考では知的自己であり、意志的自己でもなく、叡智的自己でもないからです。 知的自己は知る自己で行動しません。意志的自己は、その都度、目的を考えて行動します。叡智的自己は、家族や社会のためにいくつかの価値をもっていてためらうこともなく価値実現に向けて次々と行動していきます。
 現実に、対象的に考えられた自己を問題にしなくなる実践と哲学的な覚悟生まれることが必要です。そこにマインドフルネス心理療法の実践があります。その目標に向けて実践(=行為)するのですから、実際に叡智的自己となり、きっとお役に立ちます。
 (上記のフランクルの言葉は難しいので、次の記事で説明いたします)

★生きがい、生きる意味、価値の種類、創造価値、体験価値、態度価値、さらに存在価値
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Posted by MF総研/大田 at 22:46 | 今ここに生きる | この記事のURL