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日本マインドフルライフ協会の拡大定例会(3) [2014年01月17日(Fri)]

日本マインドフルライフ協会の拡大定例会(3)

 私の発表は、「うつ病・不安障害を治すマインドフルネ ス 」という題でした。 内容は、3つの部分からなります。
    1)うつ病・不安障害を治すマインドフルネス 
    2)マインドフルネスとは
    3)私のマインドフルライフとは

2)マインドフルネスとは

 第2のテーマは「マインドフルネスとは」どういうことかということと、 そういう定義に執着しないほうがいいのではないかということです。 マインドフルネスも浅いもの深いものがあり、マインドフルネスの定義も有用性のために柔軟に 考えたほうがいいと言うことです。

 マインドフルネスが何を対象とするのかによって、浅い感覚を対象とするものともっと深い感情、思考 、欲求などを対象とするものがありそうです。
 リネハンの弁証法的行動療法は、感覚や思考レベルの簡単なマインドフルネスではなくて、かなり深いマインドフルネスです。リネハンによれば、マインドフルネスは、 相互に関連する二つの集合から構成されます。
    「何を(what)スキル」
     =マインドフルになるために、何をするか
    「どのように(how)スキル」
     =そうした行動に、どの様に関わるか
 「何をスキル」は、
  • 観察し、気づくこと
  • 言葉を用いて表現すること
  • 行うべき行動に十分に関わること
 「どのように(how)スキル」は、
    (1)無評価的になること、あるいは
      正しいー誤り、
      すべきーすべきでない、
      良いー悪い
    といった判断を行わないこと
    (2)その瞬間の中で、注意を集中させる対象は一つだけとすること、
    (3)個人の価値や人生の目的と一致する行動や活動にエネルギーを注ぐこと
 こうなのですが、実際に実践してみると、考慮すべきことがあります。
  • (1)は人間が生きていくためには、評価判断が必要です。瞑想する時は、価値への行動はしなくてすむので、見る、感じるものに影響され ないで、瞑想し続けるということだろうということです。

     しかし、家事や職場での、 行動の選択局面には、自分の評価が必ずはいります。たとえば、これから何をするかとか、部下の業績を評価するとか、顧客からの苦情にどうこたえるかとか。今は発言すべきではないとか。不正の告発のように、社会のためには、自分の団体に不利益になる発言もすべきであるとか。(3)にあるように、マインドフルネスには行動局面もあります。これが大変重要です。

  • (2)ですが、「これには他説もある」と言いました。一つの瞬間に、2つ以上、例えば、見る、聞く、考 えるなどを行う「注意の分配」があります。感覚や思考は同時にできる場合が あります。しかし、価値実現の行為という視点からは、一つの瞬間には、一つしかできなのではないか と思います。仕事の価値行為の瞬間には、家族のための価値実現の行為はできないのではないか。 すなわち、実現価値は一つである。

  • (3)「個人の価値や人生の目的と一致する行動や活動にエネルギーを注ぐこと」 があるのは、非常に重要だと思います。マインドフルネスというと、外界からの情報の気づき、観察とい う、情報の受動局面だけを問題にするものがみられますが、 外界に向かっての、行動局面も、マインドフルネスの定義に含まれるのです。 感覚、思考レベルだけではなく、行動局面がマインドフルネスに含まれます。 だから、マインドフルネスの定義には、浅いもの、深いものがあるので、「これだけがマインドフルネスだ」と執着しないほうがいいようです。マインドフルネスの推進者によって、違うようです。深さの違うマインドフルネスが社会の問題解決のために「有用」であれば、いいわけでしょう。

 リネハンのマインドフルネスの定義は、価値実現の行動局面まで含まれている深い マインドフルネスです。私の考える価値実現行為がマインドフルネスであるというのと合致します。行動局面は価値実現的であることがマインドフルネスの定義に含まれます。価値崩壊的なことに、エゴイズムや犯罪の行動に「集中すること」はマインドフルネスではないのです。 人を傷つける行為に「集中すること」はマインドフルネスではないのです。その時に働くエゴイズムの心理に気づき観察し・・・という訓練が含まれるべきなのです。
 こういう議論だけではいけないのです。 仏教は理論だけになって実践しない傾向になりました。マインドフルネスも同じようになってしまわないように。 実際に実践してみて、ためして、実践方法を修正していく、そういう積み重ねでしょう。固定してはいない。現実に、その時代、その環境、その問題にふさわしいものを開発して実践していく。 問題に応じて、ふさわしいマインドフルネス手法を選択して、適用していく。

(続く)
  • (1)=写真
  • (2)=うつ病・不安障害を治すマインドフルネス
  • (3)=マインドフルネスとは
  • (4)=私のマインドフルライフとは(1)
  • (5)=私のマインドフルライフとは(2)
  • (6)=私のマインドフルライフとは(3)
  • (7)=私のマインドフルライフとは(4)
  • (8)=私のマインドフルライフとは(5)
  • (9)=私のマインドフルライフとは(6)
  • (10)=私のマインドフルライフとは(7)
  • Posted by MF総研/大田 at 21:28 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL