虐待(5)虐待された人は理想の親を求める [2013年12月18日(Wed)]
虐待(5)=虐待された人は理想の親を求める田宮虎彦の小説『父という観念』『足摺岬』が収められた文庫に、『父という観念』という短編小説があります。 健象は、幼いころから成人するまで、父の隆象から虐待されました。そして、 40歳すぎてからも、親切にしてくれる年上の他人に父親を感じます。これほどまでに自分を嫌う隆象は実父ではないのではないかと疑います。子どもの頃、教師に打ち明けたのに、実父がそんなことをするはずがないと 叱られました。それ以来、自分の気持ちを否定するようになりました。決して他人に相談することをし ないようになりました。実父、実母が虐待するはずがない、これが常識のようで多くの人がわが子を虐待するなんて信じま せん。だから、相談しても否定されてしまいます。 実父からはひどく嫌われるのに、他人が親切にしてくれます。一体、父とは何だろうかという問いが 起ります。
主人公はわが子を虐待することは描かれていませんが、理想的な父親像(父親の観念)を他人に見るという悲しい心理 が描かれています。これは男子と父親ですが、父から虐待を受けた女子が成人した場合、親切そう にして近づいてくる男性に理想的な父親を期待して信じ、そして傷つけられて、不幸になるおそれがあります。また、子供を持ってから、自分も虐待 することがあるといいます。虐待された子供はできるだけ早い段階で、克服する心理的な支援が大 切であることになります。 (続く) 虐待
【田宮虎彦】 https://blog.canpan.info/jitou/archive/2809 ★小説『足摺岬』を書いた田宮虎彦が虐待をテーマの所説も https://blog.canpan.info/jitou/archive/2811 ★自殺を思いとどまる『足摺岬』の場合 https://blog.canpan.info/jitou/archive/2813 ★田宮虎彦の小説『父という観念』 https://blog.canpan.info/jitou/archive/2814 ★田宮虎彦の小説『童話』 虐待防止関連の記事 その他の関連記事
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