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過去は保存されている [2013年10月23日(Wed)]

過去は保存されている

 =フランクルと西田幾多郎

 ロゴセラピーを開発したオーストリアの精神科医で、その著作が 東日本大震災の被災地でもよく読まれているという、ヴィクトール・フランクル。
 次の記事で、フランクルと西田幾多郎の哲学は似ているといいました。  通常は、現在から現在へと移りゆき、過去はない、というのが東洋的な哲学なのでしょうが、 「過去の実在」ということも言われます。フランクルも西田幾多郎も言っています。
 過去がつらいとか、トラウマに苦しむ人は、「過去はない」ということが、解決のてがかりになります。 一方、まさに死に行くひとが、「死んだら全く無に帰すのは怖い、つらい」という人には、「いいえ、あなた が生きたことは決してなくならない、この世界に保存される。」ということもフランクルはいいます。このことで苦悩から解放されるの でしょう。同じようなことを西田幾多郎もいいます。
 よく理解して、クライエントに応じて、援助しなければならないのでしょう。 昭和20年ころの、フランクルまで、マインドフルネスの要素があるといえるのでしょうか。
 まず、フランクルの言葉です。
     「過ぎ去ったものは過去の領域に「留まっている」のであり、過ぎ去ったにもかかわらず、ではなく、ま さに過ぎ去ったがゆえに「留まっている」のである。・・・・
    もし現在が蔵する可能性が過去の中で「永遠に」蔵される現実へと移されるならば、そのとき、瞬間は 永遠になるのである。これが、およそ何かを実現するということの意味に他ならない。・・・ 実現されたものは、たとえそれが忘れられようとも、それどころか思いだされる可能性がーーーそれを 覚えている人間の死によってーーー完全になくなったとしても、実際に無に帰することは本来的にあ りえない、ということが主張されうるのである。」(『人間とは何か』ヴィクトール・フランクル、春秋社、 163頁
 個人が生きたということ、創造、体験したことは決してなくならない、世界に保存されているというのです。 この説明やこれを応用した心理的支援手法は、PTSD,トラウマに悩む人には、用いないほうがいいのではないでしょうか。
 次に、西田幾多郎です。
Posted by MF総研/大田 at 20:36 | フランクル | この記事のURL