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日本精神保健看護学会における研究発表 [2013年06月26日(Wed)]
◆専門家の育成講座(募集中です)
 本に紹介したマインドフルネス心理療法を用いて治す援助のできる「マイ ンドフルネス心理相談員」の育成講座。他者に治すほどの援助ができるのは簡単で はなく半年の講座が必要です。開講は頻繁にはありません。

「瞑想トレーニングの併用による抑うつ状態からの回復について ―回復者の体験から―」

   6月16日(日)京都で開催された『日本精神保健看護学会』第23回 学術集会・総会で、淑徳大学の先生による研究が発表されました。 当研究所の代表によって提供されたマインドフルネス心理療法 (その内容は6月に本が出版された)によってうつ病が回復した人の面接による回復体験を明らかにし て看護援助への示唆を得ることが目的とされています。  研究結果によれば、「一定期間はセラピストによる直接的なサポー トが必要である」とされています。通常の人では行わない瞑想であり 、襌的な「生き方」です。本を読むだけでは、カウンセラーでさえも 習得が難しいかもしれません。患者さんには自習では難しい人もいる でしょう。支援者の導きが大切なのでしょう。
 この結果から、私どもは自習用の本を出版しましたが、自習できない人には カウンセラ ーや看護師の援助が重要であると考えました。今後、カウンセラーや 看護師のSIMTの講座を充実させるべきであろうと考えます。 今年度の活動計画の修正が必要でしょう。実践体験したい人のいると ころでの実践講演や支援者の育成を重点にすべきなのでしょう。
 このききとりによる研究にどなたが協力してくさったか私どもにはわからない方法をとってくださいました。 研究に応じてくださってありがとうございました。この研究により、薬物療法を併用しながら(あるいは、薬物療法を用いずに*)看護師さんがマインドフルネス心理療法 を提供する病院が現れて、治りにくかったうつ病の人が治るならば、嬉しいことです。この研究が精神看護の領域で新しい対策としてひろがっていく画期的なきっかけとなりますように。

(*)軽症のうつ病や不安障害は、薬物療法を用いずに心理作用だけで治療するのがいいのかもしれないという認識が広まりつつあります。軽症のうつ病には抗うつ薬の効果があまりないという研究もあり、うつ病の治療ガイドラインにも記載されています。おそらく軽症のうつ病は、前頭前野や海馬の領域の変調であるためではないかと私は推測しています。抑うつ症状や鉛様麻痺感の症状を起す領域とは違う場所です。うつ病は軽症のうちに発見して、心理療法を早期に受けることが推奨されます。
    うつ病治療のガイドライン
    認知行動療法でさえも効果があまり高いとはいえないとされています。マインドフルネス心理療法の臨床試験を実施していただきたいものです。
Posted by MF総研/大田 at 19:55 | 新しい心理療法 | この記事のURL