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人間は唯一・一度的な存在 [2013年05月02日(Thu)]

人間は 唯一・一度的な存在

 =マインドフルネス自己洞察瞑想療法の構造(3)

 西田幾多郎は、次のようにいいます。
     「何故に我々の自己は、その根底に於て宗教的であり、自己自身の底に深く反省するに 従って、即ち自覚するに従って、宗教的要求というものが現れ、宗教的問題に苦しまねば ならないのであるか。・・・ 死とは、自己が永遠の無に入ることである。この故に自己は一度的である、自己は唯一的 である、個であるのである。 」 (『場所的論理と宗教的世界観』旧全集11巻408頁)
 人は自己の死や愛する人の死を悲しみ、死を不安に思います。 この人生は、たった一度的です。この今も、二度と繰り替えされません。無為に過ごすと 、永遠に失われます。永遠の宇宙の営みの中で、自分はたった一度、この世に生きること を許されたのです。世界を創造すること、体験することを許されたのです。つらいことが あっても、たった一度きりの人生でどんな態度で生きるか課題として与えられています。
 何かができるはず、苦しい人のために自分でできることがあるかもしれません。大きな ことはできないけれど、自分がそこへいくだけでも喜んでくれる人がいるかもしれません 。芸術、小説、講演、ボランティア活動、旅、見学など広く体験していきながら探すのです。
 つらくても、無気力になろうとも、たった一度の人生、唯一の今の一瞬を、無為に棄て るか、この世に足跡を残すか、自分の自由意志による選択です。
 つらい状況にあっても、生き生きと生きていく人がいます。環境がめぐまれているから ではありません。つらい状況です。それでも、たった一度の人生に、意味を見出して行動 したのです。
 一瞬一瞬現れる現実は、無数の人間が自由に動いた結果で現れるので、自分の思いどお りにはなりません。必然と受容して、しかし、自分には自由意志があります。家族、社会 のために何かができます。新しい世界を作ります。家族をよくみて探すのです。外に出て さがすのです。自分ができることが無限にあるはずです。行動すると、無感動、無意味と思っていた見方が変わります。行動すると、うつ病は治ります 。生きる意味を見出せていない人は、さがすのです。外には無限の過去からの宝がありま す。きっと見つかります。みつかるまで行動するのです。絶望は自分ですることです。そ れを選択せず、どこまでもさがすのです。たった一度きり、唯一の自分ですから。
 マインドフルネス心理療法の一種である自己洞察瞑想療法(SIMT)は、唯一・一度的なこの自己に、価値実現の行動をする力をほりおこします。人はみな、自らそのようにできる自由意志をもっています。
マインドフルネスの自己洞察瞑想療法(SIMT)の構造
Posted by MF総研/大田 at 20:44 | 私たちの心理療法 | この記事のURL