専門家の還元主義によって犠牲になっている市民 [2013年04月14日(Sun)]
専門家の還元主義によって犠牲になっている市民今日は、池袋での患者家族会でした。 専門家がたくさんおられるのに、日本では、どうして専門家が心理的要因、精神的要因でなったうつ病、不 安障害(欧米のロゴセラピー、マインドフルネス心理療法は、もっと広い苦悩までも援助している)の苦悩を治してあげられないのでしょうか。 欧米ではさまざまな心理療法が発達しているのに、日本では遅れています 。それでうつ病、不安障害、その他の苦悩(たとえばパーソナリティ障害、虐待の連鎖、がん患者さんの心のケアなど)が治らず、一部の人が自殺にも追い込まれています。伝統が若い人の個性的な時代にあった新しい見方、活躍を抑圧する傾向があるのです 。フランクルは、画一主義と全体主義、還元主義を批判しました。これが 、組織の構成員の自由を奪うのです。個性的な意味ある人生を認めず、統 一的な価値観をおしつけるのです。 すばらしい宗教や哲学や学問があるのに、それが現代人の 苦悩の解決に活用されていません。うつ病、不安障害、自殺がなくなりま せん。若い人が、個性的な解釈による活動をしようとすると、伝統が個性的、新 しいものを受容しません。 だから、伝統の組織からは時代の問題に即した新しいものは生まれませ ん。専門家が、若い人の自由をおさえつけて、伝統にとどまるように教育 をするのです。1969年にすでに、こうした伝統を批判して、新しい教 育のありかたをフランクルは提案していました。現代の日本でも、いまだに、さまざ まな組織で伝統による画一主義、全体主義、還元主義によって、若い人の 新しい個性的な価値ある 行動がおさえつけられているようです。そのように教 育されます。そのことによって、犠牲になっているのが、一般の国民です 。 伝統が若い構成員をおさえつけず、自由に意志を表現できるようにすれ ば、うつ病、不安障害、自殺はもっと減少するだろうにと思うので す。「何何しかない」「これのみが尊い」という自己の思想、理論の絶対主義、画一主義、全 体主義の主張によって、心理療法が遅れていると思います。ロゴセラピー、認知 行動療法ができる心理士も少なく、マインドフルネス心理療法の心理士も ほとんどいません。 意外なようですが、組織に強く依存していると、日本であっても言論の自由がありません。自分が何かの団体に所属して、自分の人生がかかっていれ ば、こんなことは言えません。日本でも、組織内では、思想、宗教、言論の自由が制限さ れているのです。 歴史上、新しいことをしてきたのは、伝統の組織の外の人たちです。組織内で伝統の解釈を越える解釈を主張すると排斥されて、組織から飛び出すしかないのです。そういう人は組織を背景にしませんので力を持たず、大変、困難な状況にあったのです。 フランクルの提案した教育論が現在の日本にもあるべきなのでしょう。フランクルによれば、科学とか学問の名において大学などでそういう還元主義的な主張の教育が行われると、学生が広く個性的な現代にあった意味を発見する心をおさえつけてしまうことがあるようです。先生や専門家が強くいうので、学生が時代にあった自分の解釈を発見しにくい雰囲気にさせる。古い伝統がそのまま続く。そのままでいい芸能のようなものもありますが、心理や精神、宗教的救済などの学問は時代によって検討されるべきはずですが、新しいものが受け入れられない。 西田幾多郎も、専門家のエゴイズムがあると指摘していることは別の記事でみたとおりです。 マインドフルネス心理療法が日本で開発されずに、欧米で開発されて、怒涛のごとく世界に広まっていっているのに、日本の現状が今のようであるのは、伝統の抑圧、伝統による教育の問題があるでしょう。 いつか、フランクルの教育の問題を考察します。 今、苦しんでいる若い人たち、あなたたちがすることがあります。伝統から見放されていた苦しみを乗り越えて、そして、それをそれぞれの領域で新しい生き方、方法として、社会で活躍してください。さまざまな問題、苦悩が伝統では解決しない状況がおきているのですから、次の日本を作るのは伝統そのままではありません。伝統の中にある(フランクルは金庫に保管されているといいます)よいものだけを選びそれを学び、それを越えて新しいものを創造していくあなたがたです。なんとか治して、社会の創造に、体験に意味をみつけていただきたいです。 専門家、研究者は仮説にすぎないのに絶対視して固定した見方になることを 避けられない |