「今ここ」で価値実現か価値崩壊か [2013年04月08日(Mon)]
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「死なないでください」
★ 患者・家族会(4月14日)(解決 に向けて確かな方向を) ★ マインドフルネス哲学研究会(4月13日) ★ マインドフルネス自己洞察瞑想療法(SIMT)研究会(4月20日)
「今ここ」で価値実現か価値崩壊か=フランクルと西田哲学は同じフランクルの人生哲学と西田哲学の人生哲学はほぼ同じようです。フラ ンクルは、文学的芸術的に表現しているようです。仏教経典のように。 それと同様のことを西田哲学は論理的に説明しているようです。無味乾燥 に見えるが、厳密に筋を追っていくと理解できる。フランクルがわからな いところは、西田哲学に説明があり、西田哲学で理屈はわかるが生き方と どう関係するか活用しにくいという場合、フランクルのいいかたを参照す るとわかりやすくなる。そういう関連をみつけることができます。 本が出版されたら、自己洞察瞑想療法(それは西田哲学の応用)の本のペー ジとフランクルの言葉との関連の索引を作りたいと思います。 マインドフルネスの自己洞察瞑想療法(SIMT)私は、西田哲学を参照して「自己洞察瞑想療法(SIMT)」を開発しました 。 「今ここ」に全力で生きる。一瞬一瞬、価値実現か価値崩壊かの課題であ る。価値実現の行動をし続けると、価値崩壊の反応パターンによって生じ ていた症状、行動は消失する。消失しない症状は受け入れる心が成長する 。これが、自己洞察瞑想療法(SIMT)の要約です。価値実現の反応パターン を繰り返し訓練します。これを体得するための心の探求の手法は、5月出 版の本をご覧ください。これと、フランクルの「人生」との類似性をみてみます。 「人生」は目前の現実の世界フランクルは次のように言っています。「人生が私たちに提出し、その答えに瞬間の意味を実現できる問いは、 たんに時々に応じて変わるだけでなく、人に応じてもまた変わるのです。 人生が出す問いは、瞬間瞬間に、その人その人によってまったく異なって います。ですから、生きる意味を問うのは、まったく具体的に、つまりこ こと今においてなされなければなりません。」 (『実存分析と時代の問題』imago、2013 Vol.41-4,p16) フランクルがいう「人生」とは 、西田哲学でいう, それぞれの自己に現れる絶対現在、次々と現れる現実、「いまここの世界 」、「歴史的現実」を意味していると思います。ただし、今ここの世界は 、普通見る水平的な空間ではなく、自分と世界とが一体であり、内在があ る立体的な自己(とひとつの世界)でもあります。 フランクルのいう人生の意味は、固定した一つではなく、複数であり、 瞬間瞬間違うものといいいます。大きなある創造価値を持っていたとし ても、ある状況では、その瞬間は別の体験価値や、別の態度価値にそった 行動を選択しなければならないと言っているようです。実際そうです。 仕事に関連の創造価値ばかりを重視して、ある時に、家族をもっとも優先させなければならない 体験価値があります。創造価値、体験価値を持っていても、がんなんどになったら態度価値が重要です。 生きていく上で、 さまざまなことがあり、一つの価値に執着してはいけないのです。 瞬間瞬間、臨機応変に、価値(生きる意味)を想起し、その瞬間に あった行動をするのです。常に、そういう課題をつきつけられます。 目的実現の意志作用です。選択を間違うと、事故を起し、命を落とし、仕 事のミスをし、他者の生命をおびやかします。 自分だけの個性的な意味をみつける価値、生きる意味は、個人個人が個性的に、自分のものを発見しなければなりません。 共同の価値がすべてではありません。必ず、自分だけの価値があります。他人の共同理想にくらまされて、家族や仕事をおろそかにしてはいけません。人はすべて、今ここで、一瞬一瞬、価値実現の行動を選択して生きる使 命を持っています。空き地で野菜を作る、花を植える。これこそ、今ここ での具体的な創造価値の行動です。病気でお世話になっている患者さんが 家族や看護師に「ありがとう。心から感謝しています。」と言うことこそ 、今ここでの具体的体験価値でしょう。 うつ病の人も、過去や症状を嘆く思考(自己執着です)をせず、 症状がつらくても、今ここでできることは何かとさがして行動する (本では、セッション2に記述します)(自己解放です)のが、創造価値 、体験価値になります。そうすると、交感神経の興奮、副腎皮質ホルモン の分泌が少なくなり、症状が軽くなり、やがて完治もあります。完治しな い症状は心理的なことが原因ではないので、つらさを受け入れて、価値実 現のことに意識を向けて行動します。そうすると自殺はできません。生き る価値を見つけて、生きていく喜びがあります。 結局、フランクルは、西田哲学の価値実現の意志作用を言っていること になります。ただし、価値が、フランクルの言う内在、すなわち西田哲学 の言う意志的自己、叡智的自己に根ざしたものであることが大切であると 思います。フランクルは身体、心理の奥に「精神」「内在」を言っていま す。西田哲学も表面の心理ではなく、深い意志作用、さらに意志を起す自 己(フランクルの内在にある現存在)、さらに奥の自己への扉があると言います。 フランクルと西田哲学は、これまでは、あまり活用されていなかったよ うですが、特に、西田哲学は論理的に説明していますので、これの外国語 への翻訳が続いており、今後、世界中に西田哲学が見直されていくのでは ないでしょうか。環境と自分が一体であることから環境問題に、すべての 宗教の根底に共通の人間の底があることから宗教間の対立の解決の可能性 はすぐわかることです。ほかにも、心理療法への応用が開始されました。 さまざまな領域(たとえば、教育、ターミナルケア)で西田哲学が応用される可能性があります。 (続く) フランクルのこと
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