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「話したくないことも話す」か「聞きたくないことも聞く」 [2013年02月15日(Fri)]
4月に日本で開発されたマインドフル ネス心理療法(SIMT)の本が発行になります。 欧米の輸入ではなく、理論も実践 も日本人にわかりやすいものとなっています。 重症のうつ病、不安障害でも治 る人がいます。
患者・家族会(2月23日、3月24日)(解決に向けて確かな 方向を)
マインドフルネス哲学研究会(4月13日)
マイン ドフルネス自己洞察瞑想療法(SIMT)研究会(4月20日)
専門家の育成 講座・マインドフルネス自己洞察瞑想療法(SIMT) (次回は、2月16日、3月 16日)
心の健康クラブ(うつ病・認知症の予防、自己実現)(5 箇所で毎月)

「話したくないことも話す」か「聞きたくないことも聞く」

 フランクルの「ロゴセラピー」は、 生きる意味を発見する援助をする精神療法であり、「精神因性神経症」に大き な効果をあげているという(『意味による癒し』フランクル、春秋社)。強迫 性障害や予期不安、広場恐怖など不安障害の改善例が多数掲載されている。
 ロゴセラピーも積極的助言型のセラピーのようである。 詳細は省略するが、精神分析とロゴセラピーの違いを表すエピソードを述べて いる。精神分析とロゴセラピーを一言でいうと・・・。
 精神分析医は「精神分析では患者はソファーに身を横たえて、時には話すの が不快なことを話さなければなりません。」と言ったという。
 これは、クライエント(患者)がしゃべりたくないことでも、しゃべらなければならないわけである。
 一方、フランクルは 「ロゴセラピーでは、患者は座ったままでも構いません。ただ、患者は、時に は聞くのが不快なことを聞かねばならないのです。」
 これは、クライエントはあまり語らなくてもいいが(もちろん改善したいこ とがうつ病なのか、強迫性障害なのかパニック障害なのかは言う必要があるが )、助言や課題を実行しなければならないか、不快でも、聞かなければならな いということを示している。
 マインドフルネス心理療法のクライエントも、不安障害や長引くうつ病の場 合、改善方法をたくさん聞かなければならない。そして、病名くらい言って 、あまり詳細を言う必要はない。言いたければ言ってもいい。というのは、 治らない心理的反応パターンと、脳神経生理学的な影響について 病理の仮説を持っているので、 改善方法が、大枠で助言されるので、クライエントが自分で自分の心の動きを 観察して、改善効果のあることを実行していく。生きる意味、目的、価値観、 考えを変えるようには言わない。本人が発見、設定する。課題は具体的内容を もたない。枠組みで助言する。具体的なことは自分で考え、実行する。カウン セラー(セラピスト)に依存せず、自主的に実行して改善をめざし、カウンセ ラー(セラピスト)からできるだけ早く離れ、自立することを旨とする。
 病理のある問題や障害などを傾聴だけでいつまでも現状維持にとどめるべき ではないというのが、自己洞察瞑想療法(SIMT)の方針である。ひきこもり、不 登校でも、積極的に助言すれば復帰できるケースがあるかもしれないならば、 傾聴だけによったために、5年、10年復帰できないと、いよいよ追い詰めら れかねない。不安過敏系とか抑うつ系か、それともそれ以外なのか、積極的助 言型で改善する可能性があるのかどうかを本人も家族も アセスメントしてもらったほうがいいことになる。
 うつ病、不安障害は、マインドフルネスの課題実践で改善する場合が多いの で、私のセッションでは、一方的に私が語ることが多い。 広く言われている「傾聴しない悪いカウンセラー」だということになる。 こういうことが「ある立場を絶対視するドグマ」の弊害である。
 ロゴセラピー、認知行動療法、マインドフルネス心理療法のように、あまり 傾聴しなくても、改善効果の高い心理療法もある。 いくら傾聴しても、改善できないカウンセリングもある。 短い人生であり、どちらのタイプの心理療法がいいか、クライエントがよくよく判断し選択すべきである。
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Posted by MF総研/大田 at 14:34 | 新しい心理療法 | この記事のURL