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エゴイズムの自覚=マインドフルネス(3) [2013年01月25日(Fri)]

エゴイズムの自覚=マインドフルネス(3)

=カウンセラー、支援者、宗教、教育、医療、さまざまなスキルの推進組織、ビ ジネス、官公庁、連合団体

 ブログ「マインドフルネス・アシスタンス 八女」に、マインドフルネスの核 心に触れる記事があります。  田中氏が言われるのは「既得権益等に執着する組織的行動」によって、さまざ まな領域において、至誠の人が入れられず、結果的に弱い立場の人の利益が損な われ、そういう人間の住む世界であるから、総じて世界・環境が快適にならない ことをいうのでしょう。
 田中氏は、ケント・M・キースという人の10か条が「マインドフルネスの在り 方に近いもの」とされています。

 釈尊の仏教、大乗仏教(唯識、法華、華厳など)、鎌倉仏教にあって、近現代 の日本の仏教が言わなくなってしまった重要な(核心)ものに、3つほどありま す。鈴木大拙や中村元、竹村牧男氏など(もっと大勢おられます)が指摘してい ます。
 (1)人間の根源を自覚する成道・悟り・覚(西田幾多郎は自覚的直観という)、 (2)慈悲(他者の苦悩を救う)、(3)自己自身の根本悪の自覚(自己自身の根本悪 心を自覚し他者を傷つけないように抑制すること)。
 第3の根本悪の自覚は、西田幾多郎が、 偏見、各人の独断、各人の我執という本質的なもので、これを自覚するのが 「良心」といっています。仏教で「煩悩」というものに近いです。親鸞や道元が 強調しました。田中氏が言う「自己愛的な行動や組織防衛あるいは相互依存のためだ けに貢献したことへの称賛を尊ぶような有り様」を起す心に近いでしょう。 マインドフルネス心理学は、これらに気付き、ほどほどに抑制して、自己と社会 に調和した価値実現の行動をしようとする心を成長させるものであるといえるで しょう。 戦後、日本は、宗教を尊重しなくなったので、 これらが、教えられず、実践されなくなったようです。 欧米では、臨床心理学としての活用が大乗仏教(アジアに限定された)よりも広く 、全世界に広がり始めています。先進国で最も遅れているのが日本でしょう。ここにも、第 3の根本悪が関係しているのでしょう。
 さて、・・・。10か条です。(2)の慈悲の実践と(3)の自己自身の根本悪の自 制の実践が言われているように見えます。

2.何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められ るだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
    (慈悲の実践や誠実な行動をすれば、自己自身の根本悪を自覚しない人から責められるだろう 。それでもなお、慈悲を実践しなさい。 )
3.成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。それでもなお、良 いことをしなさい。
    (自己自身の根本悪を自覚しながら慈悲の実践や誠実な行動をして成功することがある。そう なると、利益・おこぼれをもらおうとする、自己自身の根本悪を自覚しない人が 友達になろうと近寄ってくるだろう。また、自己自身の根本悪を自覚しない人や誠実な行動をしない人で 成功をねたむものが、敵となって攻撃してくるだろう。それでもなお、慈悲や誠実な行動を実 践しなさい。 )
4.今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。それでもなお良いこと をしなさい。

    (慈悲の実践や誠実な行動をしても、他人の善行に関心を持つ人はいない、みな自分自身の成 功、利益に関心があるから、すぐに忘れられてしまうだろう。 過去にその組織の中に、 誠実な人がいても、組織的には、顕彰されない。 それでもなお、慈 悲を実践しなさい。 )
5.正直で率直なあり方は、あなたを無防備にするだろう。それでもなお、正直 で率直なあなたでいなさい。
    (自己自身の根本悪を自覚しながら誠実に行動するあり方は、組織のエゴ、組織や業界の統一 見解を批判するような意見をいったり、いじめられている人をかばう行動したり 、情報を隠したりしないなど無防備にするだろう。正直で率直なありかたは、自 己自身の根本悪を自覚しない人から攻撃されたり不利益な待遇をされたりする材 料をあたえるような無防備にするだろう。それでもなお、正直で率直なあなたで いなさい。 )
 こうみてくると、田中氏が言われるように、ケント・M・キースの10か条は、マインドフルネスのありかたそのものですね。マインドフルネスの実践は、とても難しいのです。
 ケント・M・キースは、キリスト教系の「良心」に基づくのでしょうが、これら は仏教にもありました。今、全世界の人が、マインドフルネス心理学として、これを 表に出そうとしているのです。紀元500年ころにおきた大乗仏教の運動よりも広く、第2回目の「大乗仏教」運動となるのかもしれません。現実のさまざまな苦脳やエゴイズムの解決支援(慈悲の現代版)の方法を深い大乗仏教や西田哲学を参照しながら、臨床心理学化したものとなるのでしょう。大乗仏教、西田哲学にあるものを応用しようとしています。キリスト教にもあるのでしょう。
 ここまで、ふみこまないと、うつ病、非定型うつ病、不安障害、過食症が治らないのです。さらに、これを自覚しないと治らないメンタルな問題、いじめ、セクハラ、パワハラ、DV、暴行、虐待、犯罪とならない道義的な個人悪、組織悪があります。カルト宗教、悪質なビジネス、いじめ自殺の隠蔽、原発関連、東日本大震災関連の被害者救済にかかわる動きにもあるでしょう。 うつ病の改善支援にもあるでしょう。学問というところにもあるでしょう。
(続く)
<目次>エゴイズムの自覚=マインドフルネス
Posted by MF総研/大田 at 08:39 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL