団塊世代のうつ病、自殺対策 [2012年09月13日(Thu)]
団塊世代のうつ病、自殺対策 |
「自殺に共通する一貫性は、 人生全般にわたる対処のパターンである。」 シュナイドマン |
これを見ると、自殺は定められた運命のごとく、一貫して、自殺に向かっていくよう に、思われてしまいそうです。だから、 次を加えたいと思います。
「それにもかかわらず、強く願う人は、 自殺に至らんとする対処のパターンを変えることができる。」 (大田) |
アメリカの自殺予防学の第一人者、エドウィン・S・シュナイドマンは、自殺に共通す る一貫性について、10番目に、次の点をあげています。
「10.自殺に共通する一貫性は、人生全般にわたる対処のパターンである。」
「自殺は人生に前例がない出来事のように見える。しかし、人生全般にわたる対処 のパターンには深層心理に一貫性を認める。」
<予防のために>
シュナイドマンは、自殺予防のために、精神療法家のなす べきこととして、次のように言います。
「精神療法家は、患者が極度の焦燥感、苦悩、苦痛、威嚇といった出来事を以前に も経験したことがなかったかを検討し、心理的痛みに耐える能力や、人生で問題から 逃避するパターンはどのようなものであったかを見きわめる必要がある。」
(「シュナイドマンの自殺学」(金剛出版)42頁)
心理的痛みに耐える能力や逃避するパターン
自殺しようとする人の「心理的痛みに耐える能力や、人生で問題から逃避するパタ ーンはどのようなものであったか」を調べると、「人生全般にわたる対処のパターン には深層心理に一貫性」がある、という。人生全般にわたる対処のパターンに、一貫性がある。
対処パターンは、人生全般にわたるという。変える努力をしないままであれば、そ のまま悲劇に至ることになる。
変える努力をしないと、人生全般にわたって、繰り返される対処のパターンがあっ て、危機を迎えるのでしょう。高齢期には、配偶者喪失うつ病、がんに伴ううつ病、 リハビリ現場のうつ病、介護疲れうつ病、・・・。こういう中にも、若い頃からの対 処のパターンがあるのでしょうか。
対処のパターンを変えられる
対処のパターンを変えられるのであれば、若いうちに対処のパターンを治したほう がいい。人生全般についてまわるから、若いうちに変えたほうがいい。マインドフルネス心理療法も一つの提案です。自己洞察瞑想療法(SIMT)ではこうで す。
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「価値崩壊への反応パターン」から「価値実現への反応パターン」へ
そうだとすれば、もっと早いうちに、身につけるほうがいいでしょう。
自殺は、急な出来事のように見えるが、人生のかなり初期のうちから兆候、反応パ ターンがあるようです。将来、もっと大きなストレスを受けたら、深刻なうつ病にな るかもしれない、と思わせるような反応が、人生の早い段階にあるようです。苦悩に 耐える能力、おそらく、思考、感情の抑制能力、不安、傷つくのを恐れて逃避、解決 にならないまぎらし行為への依存、親への依存、こういう繰り返されるパターンが、 若い頃からあるかもしれない。若いうちに、うつ病にかかる人もいる。自殺のリスク が高い障害に、早期にかかる人は、人生の後期においても、危機を迎えるリスクは高 いというのでしょう。
高齢になると、失うもの(健康、名誉・地位、配偶者、命)が多いので、うつ病に なりやすく、自殺も多いのです。
対処法の習得
こういう傾向があるのであれば、焦燥感、苦悩、苦痛、威嚇不安、不満、怒り、傷 つくおそれといった出来事を処理する方法、心理的痛みに耐える能力や、人生で問題 から逃避しないパターンなどを、若いうちから、向上させた方がいいのでしょう。学 業や身体運動には、力を入れているが、心のスキルの鍛錬も、若いうちに、習得して おいたほうがいいのでしょう。自殺は、社会問題で予防できる側面もあるが、ここに 指摘されているように、個人の「焦燥感、苦悩、苦痛、威嚇といった出来事」を処理 する能力、心理的痛みに耐える能力や、人生の問題から逃避するパターン も影響します。親は、子どもの、こうした生きぬく心の能力の向上に、もっと真剣に なってもいいのではないでしょうか。有名校に行っても、大企業に勤めても、金持ち になっても、名声を得ても、思いどおりの職業についても、幸福な結婚をしても、う つ病や自殺のリスクがあれば、苦しみます。大きな苦悩やうつ病、自殺の予防のために、心の健康を重視したマインドフルネス 心理療法を背景にした心の健康体操は重要な意味を持ちます。
ほかにも、いろいろあるでしょうが、ここでは、2つを重点的に実践していくこと を提案したいのです。呼吸法や軽い運動を中心にして、不快な事象でも回避せず受け 入れて、自分の願いを実現することに、全力をあげてとりくむ心のスキルの向上です 。