深刻な問題の支援のマインドフルネスも [2012年09月04日(Tue)]
マインドフルネスの心理カウンセラーの育成
=深刻な問題の支援のマインドフルネスも
1993年以来、この20年さまざまな精神疾患の方とお会いした。
うつ病、不安障害ではない人も私のところにおいでになられた。他の疾患の改善の支援をさせていただいたのは、事例が少数であるので、効果があるとはまだ標榜しない。
一般的に、うつ病、非定型うつ病、不安障害、過食症、家族の不和などは、これまで
まとめた手法で大体、改善の効果がみられる。さまざまな心理作用を対象とする意志
作用、すなわち、<他のすべての>作用を対象として見て、不幸にならない、しない
行動を選択して生きていく意志作用の活性化をはかる。この「意志作用」は西田哲学
と、私が指導を受けた襌にヒントを得た。作用を見る作用、メタ認知に近いように思う。意志作用を行使できる心の訓練
をする、それが、自己洞察瞑想療法(SIMT)である。
これで、上記の精神疾患は改善する方向をつかむことができた。
ところが、もっと深い課題がある。意志作用は、目的を実現する作用である。
目的レベルではすまない苦悩がある。目的実現の行動は、自己がゆらいでいない。自
己が残っていて、ただ、目的が実現しないから、うつ病や不安障害として苦しむ。
だ
が、そういう表層の苦脳ではなく、自己存在にかかわる苦悩がある。自己があって、ただ目的が実現しないためのう
つ病(それが多い)の改善は、まだやさしい。そのレベルのうつ病などの改善を目標とするために、自己洞察瞑想療法のセ
ッション1〜10として体系化した。
しかし、もっと深い苦悩がある。もっと深い苦悩のアクセプタンス、その苦悩の中
でマインドフルネスで生きる、そういう問題があるように思う。
がん患者や難治性の病気の人の死の不安によるうつ病、極めて低い自己評価を持つ
人の支援である。後者の低い自己評価であるが、たとえば、虐待された人、元虐待されて今虐待する人、犯罪被害者の方、
現役引退後の高齢者、障害者(身体障害や介護状態の人)、さらに更生段階の元犯罪者などに、自己
存在の無価値観に苦悩されている人がおられるのではないかと思う。
暴力と見捨てられ不安、自傷行為のあるパーソナリティ障害も、根底に自己不全観がある。自己を肯定できれば、暴力も見捨てられ不安も、自傷行為もないからである。
こうした問題には、「自己存
在」の問題がありそうに見える。
「目的をめざす意志作用」では、解決しないと思われる。目的どころではなく、自己
存在に迷う苦悩である。
これが解決しないと、抑うつ症状の深刻化、自殺も起きるだろう。
この領域まで踏みこんだマインドフルネスがあるのかどうか
知らない。弁証法的行動療法は、一部、それを実現している。特に、パーソナリティ障害に。
自己の哲学について、西洋と東洋では違うというから、日本人には、日本
独特のものが必要になるだろう。だから、さまざまなマインドフルネス、アクセプタ
ンスがありそうだ、あると思っている。
なぜ、マインドフルネスかというと、自己存在は、認知療法の範囲でないからである
。認知療法は、しっかりとした自己が前提となっている。自己が作る思考(認知)の
内容の置き換えである。しかし、西田哲学によれば、自己自身は認知の主体であって、認知の対象とはならない。思考(認知)する主体=自己とは何か、それがゆらいでいるための苦脳が多い。認知療法では扱えないのが、認知の対象にならない自己自身である。
認知療法を越えた解決法となると、マインドフルネスしかないのかなと思う。
自己存在に苦悩する人が多いのだから、さまざまなマインドフルネスが必要である。
そう思う。課題は山積であると思う。
意志作用を行使して生きていく意志的自己は、うつ病、不安障害などを克服して生きていける。
しかし、それではすまない問題には、意志的自己よりも深い叡智的自己、人格的自己を自覚すれば克服できるのではないかと、西田哲学にその可能性を模索している。ジョン・カバト・ツィン氏も東洋哲学に期待している。
「”全体性”や”内的な結びつき”を理解するのは、一生の 仕事です。瞑想トレーニングは、それらを理解するために意識的にふ みだした最初のステップにすぎないのです。」と彼は言う。
8週間のMBSRは、瞑想の最初のステップである。もっと深いものがあり、それでなくては解決しない苦脳がある。世界中の心理療法者がそういう領域のマインドフルネスを研究している。翻訳されたものも驚くほど多くある。
深く自己を探求して、さまざまな問題を解決していく、深いマインドフルネスを研究開発していかなければならない。日本は、さまざまな精神の苦脳に悩む人、自殺が多すぎる。
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Posted by
MF総研/大田
at 21:16
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自殺防止対策
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