同居の子がいても自殺する高齢者 [2012年08月24日(Fri)]
社会的生命と生きていく心のスキル(6)=同居の子がいても自殺する高齢者60歳以上の高齢者は自殺が多くなっています。 家族と同居している人でも自殺が多いのです。 この図は自分(高齢者)は、家族、つまり、自分の実子と同居しています。 それでも、自殺が多いのです。 子どもと同居していても、心理的には孤独です。西田幾多郎がいう「創造的世界の創 造的要素」とは実感できなくなるとうつ、自殺が起こるのです。 子や孫と同居していても、その家庭で「自分はお荷物にしかなっていない」 「自分は家族にも社会にも何ももたらしていない」と思うと、未来がない高齢である ゆえに自己否定の観念にとらわれます。配偶者がいても、二人とも同じ心境となり心 中が起こります。特に、病気になったり介護状態になると危機が高まります。 子を育て、社会を作ってきた高齢者が、こうして自殺するのを防止しなければなり ません。 同居していても、生きている意味、生きる喜びを失った親はうつになり自殺が起きる ということを理解しておくべきです。 同居の高齢の親の自殺を防止するには、自分を育ててくれた感謝の思いを表し続ける こと、生きていてくれるだけで嬉しいことを伝えること。地域の福祉関連の支援を受 けて孤独を避けることなどの対策があります。 以上は、高齢者自身の積極的な生き方ではないのですが、自ら生きる意欲が喪失し がちな高齢者には周囲の支援が必要です。 さらに、高齢者自身から積極的に生きる場所を持つ人がいます。 何らかの活動に参画することです。たとえ、病気であっても介護状態であっても、 支援を得ながら、参加できる場に加わることです。どこかに、受け入れてくれる場所 をみつけることです。 物理的に見つけることができない人にも、すべての人に究極の場所があります。図 の一番外の円は、自分(高齢であっても)が生まれ、生きてきた世界を表しています 。この場所があります。最後まで生きる場所があります。 自己も、すべての場所も、すべての人をも、包む場所があります。自分が生まれ、生きている、この世界とは何か、そこにいる自己とは何か、自己はなすことをしつくしているのかという問題意識です。 私が知っている人は、がんで死ぬ間際まで自分と自分が生きる世界の探求を続けまし た。80歳でも、92歳でも続けておられます。 そういう場所もあります。 次に、医療(病院)、介護関連、福祉関連の人が介入している場でも、自殺があるはずです。何が足りないのでしょうか。 【目次】社会的生命と生きていく心のスキル 目次 |