• もっと見る
«うつ病の治療ガイドライン(5) | Main | うつ病の治療ガイドライン(7) »
うつ病の治療ガイドライン(6) [2012年08月02日(Thu)]

うつ病の治療ガイドライン(6)

 7月26日、日本うつ病学会が、うつ病治療のガイドラインを公表 しました。

完治割合はいまいち

 「米国のSTAR*D研究の結果によれば(Rush et al,2006)、各種の 抗うつ薬投与や、増強療法(オーグメンテーション)、認知行動療法 を併用しても、48-60週間での累積寛解率は67%程度に留まっている。 」(p15)という。
 治りにくい(予後は不良)のは、不安障害のある患者である。
     「大うつ病性障害の約57%は何らかの不安障害(パニック障害、強 迫性障害、全般性不安障害、社交不安障害、心的外傷後ストレス障害 )を併存するが、両者の時間的関係は、不安障害が大うつ病性障害に 先行する場合が多い。また、不安障害を併存している大うつ病性障害 の予後は不良であることが報告されている(Kessler,1999)(Stein and Hollander, 2002)」(p10)
 非定型うつ病(鉛様麻痺感、拒絶過敏性、過眠などの症状)の人に は、先行して過呼吸、パニック障害、不安過敏な人が多い。薬物療法 で完治しなかったのが、状況の変化や就職できないなどで苦しみ非定 型うつ病になりやすい。非定型うつ病は現在の抗うつ薬では治りにく い。予後不良の一部になっている。
 不安傾向は子どものころからある人も多い。 後に、不安障害となり、大うつ病性障害の併発となり、一生つらい思 いをするので、できるだけ早期に認知行動療法やマインドフルネス心 理療法を受けることを薦めたい。精神療法でも1,2年かかるが、そ れでも、早く治しておけば、就職、結婚、育児などに影響することを軽くでき る。

不安傾向は早期に精神療法で改善させたい

 マインドフルネス心理療法は呼吸法を長く実践するので、 長期のうちに、セロトニン神経の意識下の感情抑制機能、前頭前野の 意識的な感情抑制機能が向上して、不安が軽くなる可能性がある。高 校生や大学生の頃、改善していただきたい。就職や仕事に、強く影響す るから。
タグ:うつ病
Posted by MF総研/大田 at 07:35 | うつ病 | この記事のURL