• もっと見る
«ストレス爆発 | Main | 包み映さないと行動できない»
”ストレス爆発”どう防ぐ(2) [2012年07月15日(Sun)]

”ストレス爆発”どう防ぐ(2)

 7月13日、NHKの「特報首都圏」で、「”ストレス爆発”どう防 ぐ」を特集しました。これに関連して、次のように述べました。
     ストレスの爆発が、家族に向かうとDVや虐待が起きる。 どうか、ス トレス対処法を身につけていただきたい。心理療法もある。 欧米では 、マインドフルネス心理療法が、不安やうつ、不満の感情 の対処のほ かに、継続する怒り、暴力の改善の支援に使われている。
 それで、日本ではどうなっていくのかですが、 欧米の怒りやパーソナリティ障害の支援ができる深いマインドフルネ ス心理療法(弁証法的行動療法)を研究して導入するのも一つの対策です。
 また、日本で開発された、マインドフルネス心理療法である、自己 洞察瞑想療法(SIMT) も貢献できると思います。よくみると、弁証法的行動療法と自己洞察瞑想療法(SIMT)では、クライエントさんが取り組む手法は似ています。 怒りは、発作性の激し い不満です。非定型うつ病にある 拒絶過敏性は、それほど激しくなく他者への暴力は振いません。わきまえています。 自分への攻撃になります。自傷、自殺です。 対人場面での感情 の高まり(怒りの言葉、暴言)があります。他者への暴力は振るいませんが、 言葉で表現します。こうした拒絶過敏性は、 SIMTで改善することが確認されました。 SIMTは、感情の対処までも扱えるようにしました。 これを、怒り、暴力について支援なさっておられる人が応用なされば、支援 で きると思います。他者への言葉ではなく、身体行動になっていますから、改善には、非定型うつ病よりも難しいです。しかし、言葉での表現か、身体行動での表現です。 言葉も行為の一つです。激した感情にかられて、思考に渦巻き、他者への激しい言葉、身体行動です。うつ病、不安障害、依存症など 同様の反応パターンですから、マインドフルネス心理療法で改善するはずです。本人が変わりたいと思い、トレーニングを続けるなら。
 対人関係に関わりが少ない自分だけの症状、問題についてのマインドフルネス、アクセプタン ス(M&A)はやさしいですが、対人関係の場面で起きる発作性の出来 事のアクセプタンス、マインドフルネスは難しいです。それに対処で きるように構成されたM&Aでなければ、奏功しません。私も少しづつ 深く、広く適用できるように、領域の拡張の研究を続けています。 その問題を改善したいという人、組織が取り組むときに、領域が広まります。 実際、やってみることによります。
 西田哲学によれば、人の意識作用には階層があります。 感覚(見る、痛みなど)は最も浅く、思考、感情、意志、直観(これも階層がある)と深くなります。 感覚レベルのアクセプタンス、マインドフルネス(M&A)では、思考レベル、感情レベルの問題は扱えず、さらに自己存在の苦脳は最も深いものです。感覚レベル、意志レベルのM&Aではまにあいません。だから、アメリカでも、さまざまなM&Aが開発されています。
 駅、図書館などで起こる怒りは、その利用者を教育することが難しいでしょうが、学校の生徒、 入院患者さん、リハビリや介護状態の人も、苦しく怒りがあると思われます。 病院(入院患者、長く通院する患者)、介護関係施設(入居者の苦脳、怒りなど) などでは、M&Aのエクササイズを継 続して行うことによって、怒りの問題の改善につながるかもしれませ ん。
 さらに、通常の感情(不満、不安、怒り、悲しみ)ではないレベル の苦悩もあります。自己存在の無価値観(DV,虐待、犯罪被害者関連 )、自己存在の消滅(=死。がんや難病の患者さん)の苦悩です。 これは、もっと深いレベルのM&Aでなければなりません。関係者の方 々の研究を期待します。私も、通常の感情レベル、意志作用レベルのM&Aは、一応 形ができた(完成とはいえないが、もうこのレベルの改良のために時間を使わず) として(秋に出版されます)、このレベルを越えて、さらに深いM&Aを 研究していきたいと思います。感覚レベル、思考レベル、感情レベル、 意志レベルの問題には、本で出版されるものを活用していただき 、改良をお願いします。今後は、もっと深い苦脳レベル(日本にはそれも極めて多い) の問題の支援のためのM&Aの「たたきだい」を提案したい。 おそらく、まだアメリカにもなく、日本人でないと難しいかもしれません。 鈴木大拙のいう日本的霊性、日本の多くの人がいう「自他不二」ということの苦脳解決への応用です。おそらく、深い「襌」とも関係があるでしょう。金子みすずのいう「見えないけれどある」のことでしょう。 宗教的指導(説明しない方法)ではない論理的、心理学的手法で、社会貢献できるM&Aができないのか、研究会に参加のみなさんと作り上げていきます。SIMTも参加してくださった人たちからの「反響応答」で改善されて、一応効果を確認できました。今後は、その先です。「直観」 によってしか解決できない苦脳のM&Aです。自己なくして見る、行為する。 従来の自己に死に、新しい自他不二の自己に生きる、東洋哲学を背景にするのです。SIMTの先、内奥の方向です。奥底の本当の自己を自覚して、無価値だ否定し、否定されていた苦悩を克服するのです。
 人の苦脳はさまざまなレベルがあるので、欧米では、マインドフル ネス心理療法もさまざまなレベルのものが開発されています。 日本では、こういう領域には、いまだ深いM&Aの活用が進んでいませ ん。多くの社会問題が解決の方向を見出すことができません。 日本も、深いレベル、広い領域に発展研究していただきたいと思いま す。
Posted by MF総研/大田 at 07:46 | 怒り・暴力 | この記事のURL