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実践できる人の育成 [2012年07月03日(Tue)]

臨床で実践できる人の育成が急務

 実践するマインドフルネスの専門家の育成が急務です。 マインドフ ルネスの実践によって支援できそうな問題が多いからです。 マインド フルネス、アクセプタンス(M&A)の心のスキルが不十分であること がわかっているような 問題、心の病気が多いです。うつ病、非定型う つ病、不安障害、依存症などの場合、問題の枠組みがわかっている( そういう問題領域に用いる)から、新しい「心の用い方スキル」の移 転が最も重要となります。 感情や行動のコントロールスキルにかかわ る領域は、こういう方向が必須です。 うつ病、非定型うつ病、不安障 害、依存、過食、暴力、虐待、自傷、非行犯罪、いじめ、ひきこもり 、介護や医療現場における重篤な病気や障害を持つ人の生きる意欲な ど、M&Aの訓練によって改善するかもしれない多くの領域があります 。 聞くだけでは、非機能的な反応パターンが回復しない、変化するわけ ではなくなった段階になっている病気や問題です。聞くだけでは、症 状をもたらしている神経生理学的な回復が期待できない問題がありま す。新しい反応パターンを積極的に身につける支援が必要な問題が多 いです。訓練すれば改善するかもしれない問題なのに、知らずにいる と、長引きます。 がんになってスキルの浅い医師にかかり、死亡することがあることつ いて、NHKが報道しました。遺族が「治せないのなら、治せる医師 のところに行きたかった。」と言います。
 傾聴のほうが効果的な問題やクライエントもいるでしょう。一方、 積極的に新しい反応の仕方を支援する型の心理療法のほうが効果的な 問題や障害があるでしょう。 長引く、うつ病や不安障害、過食症などは、積極的な支援によって反 応パターンを変えることで回復できる人がいます。ワーキングメモリ (作業記憶)の中央実行系である背外側前頭前野や、感情行動のコン トロールをする眼窩前頭葉皮質は、トレーニングによって回復する人 がいるようです。
 こうした積極的スキルの実践やスキルの移転支援が好きである人は 、マインドフルネスの支援者になれます。坐禅に似たトレーニングで す。臨床心理学に、新しい人材が求められているのかもしれません。
 これまでは、改善しないものと思われていた問題も、M&Aのスキル 訓練によって支援できるかもしれないのです。訓練によって、新しい 反応パターンが形成されるかもしれないのです。 十分な時間を持って いないので、多くの方の支援ができていませんが、統合失調症も心理 的ストレスで症状が悪化するのですから、発病初期、薬物療法で軽くなった寛解期に、M&A のストレス対処法を習得すると、将来の症状悪化を予防できるかもし れません。発達障害の一部にも、応用できるところがないでしょうか 。 M&Aには「注意機能」の訓練もありますから応用できるかもしれま せん。
 また、 M&Aのいいところは、根底に、すべての人の絶対平等、人格 性を見ているところです。単なる治療手法ではなく、人間というもの の哲学です。 人格的自己、それを論理的に探求する西田哲学のある日 本は、すぐれたM&Aを創造できる可能性があります。 さまざまな領域の支援者が、M&Aを検討していただきたいと思います 。
Posted by MF総研/大田 at 18:00 | マインドフルネス心理療法 | この記事のURL