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非定型うつ病は治りにくい [2012年05月21日(Mon)]
マインドフルネス心理療法の本
うつ病や不 安障害などを治すための新しい心理療法が開発されました。 それを 紹介した本です。本で紹介した課題を実践すると治ります。
非定型うつ病も治っています。 毎 日、少しずつ実践して、脳内に生じていた変調に変化をおこして症 状が軽くなるのです。

非定型うつ病は治りにくい

 非定型うつ病は、薬物療法でも治りにくい人がいるようです。
 非定型うつ病の特徴は、拒絶過敏性による発作的な感情興奮や鉛様麻痺感で す。

鉛様麻痺感を繰り返す

 非定型うつ病は、いったん軽くなった時でも、何かを見たり、聞いたり、対 人関係の言葉で、発作的に激しい感情を興奮させます。 それだけなら、一時的な感情の興奮とか、対人関係の悪化ですみそうですが、 悲しいことに、発作的な感情の後に、鉛様麻痺感 (抑うつ症状とは違う部位に興奮が伝わる) や過眠の症状が起きてしまい ます。 このために、起き上がることができずに、学校や職場に行けず、家事ができま せん。このようなわけで、メランコリー型うつ病とは、別の病気のように感じ られます。
 非定型うつ病は、メランコリー型うつ病と違って、セロトニン神経の機能低下 や副腎皮質ホルモンの過剰分泌はないと報告されています。抑うつ症状、希死 念慮・自殺念慮は起こりません。(しかし、非定型うつ病も長引いていると、 メランコリー型うつ病の特徴が加わってしまうようです。長引くと、抑うつ症 状、希死念慮・自殺念慮が起きるようになります。)
 非定型うつ病が治りにくいのは、神経生理学的な特徴があるためです。セロ トニン神経は低下していないため、抗うつ薬はきくにくいようで、非定型う つ病が治らないひとが多いようです。 鉛様麻痺感が起きるのは、発作的な感情の興奮からですが、非定型うつ病の場 合、「不安の感情」ではなく、「傷つけられた悔しさ、境遇の悲しさ、不幸、不満や怒りの感情」が多いようです。 これは抗不安薬や抗うつ薬では効きにくいのでしょう。 発作的な悔しさ、悲しみ、不満や怒りの感情は、あらかじめ思考(考え方)を置き換えていく心 得でいても、 急な感情の反応には、間にあわないのでしょう。見た、聞いた、考え始めた、だから感情が急に興奮したその時に、冷静な思考、発語、身体行為)で即座に反応しなければならない、という、認知の認知のレベル、つまり、意志作用の問題で あると思われます。不愉快な状況を即座にアクセプタンス(受容)して、即座にマインドフルネス(価値実現のことに意識を向ける)の行動をするのですから、メランコリー型うつ病よりも、真剣なトレーニングが必要です。 その瞬間が決めてです。激しく感情的になってしまっては、鉛様麻痺感の症状にスイ ッチを入れてしまいます。鉛様麻痺感がおきてしまった後から後悔しても遅いです。
 こうした特長を見ると、最近テレビなどで報道される「新型うつ病」(他責、会社を休んで遊ぶこともある、周囲の配慮があれば改善する)とは違います。となると、うつ病にも、メランコリー型うつ病、非定型うつ病、新型うつ病(これは病気ではないかもしれない)などがあって複雑です。

自分の考え、感情を観察する意志作用

 思考、発語、行動が、行為です。それは、見たり、聞いたり、考えたりした 後の反応です。いつも今しかありませんが、その今、どう反応するかが決めて です。その瞬間の反応が激しい感情を引き起こすと、鉛様麻痺感の発作や症状の悪化 が待っています。今の瞬間の反応ということで意志作用の問題です。 いくら、事前に激しく反応するまいと思考でわかっていても、対人関係の場面では、その瞬間に、 その準備した思考にようには反応できません。思考、理解、認知と行動はレベルが違います。思考、理解、認知をさらに意識する、意識の意識=意志作用のレベルです。というわけで、自己洞察瞑想療 法(SIMT)は、意志的反応パターンの訓練にあたります。 今の瞬間に、自己実現の意志作用で価値実現の反応を選択できるように訓練します。 さまざまな自分の意識作用を観察して、激しく反応せずに、冷静に受け入れて 、結果的に苦しくならない反応(思考、発語、行動)を選択できるような心を 繰り返しトレーニングをします。これができるようになると、激しく感情的に ならなくなって、鉛様麻痺感が改善します。 心理的反応は脳内の世界を変えます。神経生理学的フュージョン(連合)です。症状が消失するような神経生理学的な変化をもたらすのです。

治るまでに1,2年かかる

 月1回のグループ支援ですと、非定型うつ病の場合にも、1年から2年かかりました。 (月2,3回の面談支援ですともっと短期間で改善するのかどうか不明です) 一度、改善すると、心の使いかたが変化しているので、再発しにくくなります。しかし、やはり 、油断すると、何か大きな出来事が起きた時に、否定的思考を続けると感情を 興奮させて、鉛様麻痺感の再燃となります。数年ほど、油断せず、意志的反応 パターンがすっかり定着すると、再発しません。もう鉛様麻痺感の回路が消失するのでしょう 。

もっと深刻な苦脳

 うつ病、非定型うつ病、不安障害は、対象的な、考えられたものごとが不本意であるための 苦脳ですから、そういう対象が解決すれば、改善するのです。 もし、うつ病のようにみえて、解決しないのであれば、もっと深い意識の問題かもしれません。 自己存在に関わることは、対象レベルではありません。意志作用レベルではありません。もっと深いレベルのマインドフルネス、アクセプタンスでないとすまないでしょう。
薬や心理療法で治りにくい場合
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Posted by MF総研/大田 at 21:54 | マインドフルネス心理療法 | この記事のURL