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(テレビ)NHK「ここまで来た!うつ病治療」 [2012年02月13日(Mon)]

(テレビ)NHK「ここまで来た!うつ病治療」

 自殺防止に、うつ病の治療法の進歩が不可欠です。 NHK総合テレビが、最近のうつ病の治療法を紹介しました。  次の3つほどが注目できます。

1、経頭蓋磁気刺激法(TMS)

 薬物療法が効果がなかったうつ病の患者が経頭蓋磁気刺激法(TMS)で治る人がいる といいます。うつ病では背外側前頭前野(DLPFC)の機能が低下していることは研究者の報告が多いです。そこが、意欲、判断を司りかつ恐怖、不安を起こ す扁桃体を制御する働きがあるとして、TMSによりDLPFCを休みを入れながら40分程度刺激すること によりDLPFCを活性化することによりうつ病を治療する方法がTMSであるといいます。これがテレビで紹介されました。
 (この治療法は、 「経頭蓋磁気刺激法 ウィキペディア」で検索すると説明が出てきます。)
 うつ病の治療に薬物療法だけというのはいかにも不十分です。生命がかかっている(自殺という死亡率 が極めて高い)病気であるのに、国の取り組みは遅れています。 長引く人、重症の人は、専門の特定の病院を紹介するという方式(他の病気はそうしている)もありません。 自殺の背景にうつ病、不安障害、依 存症があります。
 うつ病が治らないと自殺が起きることがあるので、TMSという治療法の選択肢が増えるのは喜ばしいこと です。県に1か所はこれを受けられるようになるでしょうか。
 ただし、私は、この治療法も限界があると思います。薬物療法もそうですが、TMSも、「物質」(薬、磁気)による治療という様子があります。しかし、内因性のうつ病でない、心理的な要因によるうつ病が多 いのです。うつ病は、脳の病気ではありますが、その元になるのはやはり、生き様、どう考えて、どう欲求して、社会(家族、友人、同僚など)とのかかわりの中でどう行動するかによって発症することが多いのです。 もし、TMSを受けて治っても、また強い心理社会的ストレスに出会うと再発する可能性が高い でしょう。TMSで治った後も、 家族や配偶者に守られるような高齢の人なら、TMSで改善して生きがいを見出して生きていくのでいいでしょう。 しかし、高齢者といえども、自分や家族の身体の病気(がんなど)、介護状況、死亡など心理的ストレスになる出来事が待ちかまえています。うつ病が再発しないでしょうか。 TMSだけによる治療は、 特に、若い人で、ストレスの強い現場に復 帰する人は再発しないとは限りません。物理的な治療法であるTMSでは、心理的(哲学的な自己洞察瞑の深まり)ストレスへの対処が変わっていないから です。若い人がこの方法で軽くなったら、認知行動療法(第2)、マインドフルネス心理療法(第3)も受けることが再発予防に なるかもしれません。
 また、この方法は、抑うつ症状が優勢なメランコリー型うつ病には効果がありそうですが、 心理的社会的(対人コミュニケーションの場で症状を悪化させることが多い)な色彩の強い拒絶過敏性による鉛様麻痺感、過眠を主とする非定型うつ病に効果があるのかどうか確認されてはい ないでしょう。また、TMSは、不安障害には全然関係ないでしょうね。 不安障害も、治らないと社会に出ていけず苦悩して抑うつを併発して自殺もあるのですが、治りにくいです。認知行動療法やマインドフルネス心理療法も効果があります。種々の精神疾患に汎用性があるのが、心理療法です。
 TMSもうつ病はDLPFC(セロトニン仮説でなく)に問題ありという仮説による治療法ですが、この点は、マインドフルネス心理療法(SIMT) も同様です。呼吸法、自己洞察訓練の課題を実行することでDLPFCを活性化させるという治療法です。扁桃体の抑制というよりは、不快なストレスがあっても、それに無用の反応をせず、自分の目的 価値を見失わないことに意識を向け、行動する訓練です。哲学的には「意志作用」の活性化、神経生理学的には、ワーキングメモリ(背外側前頭前野から帯状回など)の機能回復訓練です。それがDLPFCの機能であるために、そこが活性化するのでしょう。説明では、扁桃体を抑制するとありましたが、抑うつ症状を起こす部位の沈静化ではないでしょうか。扁桃体は感情を起こす部位であり、抑うつ症状は別の部位なのではないでしょうか。感情の激しい人でも、うつ病の症状がでない人が多いです。

2、正確な診断装置

 医師が、うつ病、非定型うつ病、双極性障害、統合失調症を誤診するという。診断が違うと薬が 違ってくるので深刻な問題です。
 誤診を防ぐために、脳血流の画像診断装置・光トポグラフィー(NIRS)による診断技法開発 されたそうです。前頭葉の血流量の変化を測定することにより、「うつ病」と症状が似ている他の心の病気 との鑑別ができるといいます。
 これもいいことですが、課題もありそうです。 非定型うつ病の鑑別はいいませんでした。これも薬がちがってきます。 この装置を導入すると病院にコストが増えます。患者さん、健康 保険の財政負担にかかわります。そして、うつ病と診断できても、それだけで治るわけではなく、治療の側面は従来ど おりです。薬物療法中心です。薬物療法の限界があるので、治らない人、再発する人の問題は解決しません。非定型うつ病という診断がついても、特効薬はありません。その状況は依然、かわりません。これは、治療法ではなく、診断法ですね。

3、認知行動療法

 やはり、認知行動療法を紹介しました。  ピッツバーグ大学で、認知行動療法によるカウンセリングで、DLPFCが活性化して、扁桃体を抑制 して、うつ病が軽くなったということが報告されました。認知行動療法やマインドフルネス心理療 法がうつ病に効果的であることは、もう常識です。社会的な人間として、自分をよく知り、ストレスのある、不満な社会環境でも 生き抜いていく心を向上させる人格的な医療法であり、生涯にわたってストレスの多い人生を生きぬいてい くのに重要な治療法です。これが普及することを期待したいです。 学校教育から教えるべきことです。欧米では幼児、小学、中学からマインドフルネス(自己や社会の価値あることに向けて行動)やアクセプタンス(不快な現実を受け入れ忍耐)の心の訓練を始めているようです。大学生の時期や就職後、まもなくして、うつ病、パニック障害、依存症になる人には、その前ぶれのように不安過敏、回避傾向、心理的柔軟性に欠ける傾向があった人がかなりあります。すでに学生時代に、ストレスの対処法がうまくなくて、自己評価が低い傾向があります。青年期または社会生活の初期、中期に発症して一生影響します。学生時代にマインドフルネスの心得を身につけることの大切さを痛感します。
Posted by MF総研/大田 at 20:15 | うつ病 | この記事のURL