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長い距離、電車に乗れた! [2011年12月30日(Fri)]

長い距離、電車に乗れた!

 =広場恐怖のあるパニック障害

 色々な場面を回避する広場恐怖のあるパニック障害であった人から、 14駅あっさり乗れたという連絡を受けました。 ご紹介します。(プライバシーは含みません。)
 40代の主婦。14年前に発作が出てパニック障害と診断されました。 4年ほど前から症状は落ち着いてきましたが、広場恐怖が治りませ んでした。電車に乗れず、美容院、歯科医院、人ごみ、街中などがだめでした。車の運転も近所にし か行けないという状態でした。夫に車で送ってもらってセッションに参加しました。
 グループ指導16回、月1回程度の日記指導15回。治療期間は通算1年2カ月でした。  13カ月目に、電車に乗ろうと挑戦しました。1日目は駅のホームまで行きましたが、不安が強く て乗れませんでした。2回目で、思い切って電車に入りました。緊張がありましたが呼吸法をしなが ら一駅で降りました。帰りにも乗れるか不安でしたので、薬を飲んで乗りました。とにかく一駅往復 乗れました。14カ月目には、2回乗りました。緊張が少なくなりました。
 こうした時点で、指導を終結しました。この時点の症状は改善していました。
 その後、時々、一駅乗ることを繰り返していましたが、父の病気などがあって、遠距離を乗ること に挑戦することがありませんでした。 終結後9カ月たってから、14駅の区間を乗ることができたという連絡を受けました。 「驚くほどあっさりと乗れた信じられない気持ちです」とありました。
 ほかのことも心境の変化がありました。
 「私は、ようやく「ありのままでいい」「そのまま何もしないでいればいい」ということが心から 納得できるようになりました。今までは、「何とかしよう」「嫌なことをなくさなくては」「その方 法は何か」といつも思い探していました。気持ちがいつもそちらへ向いてしまっていました。少しず つですが自分自身のどんな部分も受け入れられるようになってきたのだと思います。エレベーターも 美容院も大丈夫になり、困ることがなくなりました。とは 言え、いい時ばかりではありません。何もかも不快な症状がなくなったわけではありません。まだ身 体症状が出るときもありますが減ってきているし、出方は弱くなっています。でも、その時その後の 気持ちが全く以前と違います。「騒がない」で透り過ぎることができるようになってきました。」
 (この方とは、広場恐怖の高い壁について興味ある応答があります。いつかご紹介します。)
 来年中に、快速、特急、新幹線などにチャレンジなさるでしょう。 従来の認知行動療法では、ハードルが高いエクスポージャー法に、マインドフルネス、アクセプタン スの心得を訓練し続けていると、恐怖の条件づけができた回避を克服できます。他の人も、パニック 障害、PTSD、社会不安障害の方も自己洞察を続けてください。課題を繰り返すほど、神経生理学的な影響が起きて、改善していくはずです。
 広場恐怖。電車、バス、エレベーターに乗れないとかで、子どもの学校行事に参加できないとか、 家族といっしょに旅行できないとか、仕事に行けないなど社会生活に支障をきたす人が多いのが、広 場恐怖のあるパニック障害です。長期間、多くの人が困っているでしょう。
 春に出版する本で自習できるでしょうか。希望あるところ、なるべく全国を回ります。1,2回、 実習に参加していただければ、治る方がおられるのでしょうか。新しい展開です。もう少し、お待ち ください。1月10日に、原稿を出版社に送付します。
Posted by MF総研/大田 at 20:53 | パニック障害 | この記事のURL