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社会不安障害・対人恐怖 [2011年12月28日(Wed)]
マインドフルネス心理療法の本
『うつ・不安障害を治すマインドフルネス
   ひとりでできる 「自己洞察瞑想療法」』(佼成出版社)
が出版されました。
  うつ病や不安障害などを治すための新しい心理療法が開発されまし た。 それを紹介した本です。本で紹介した課題を実践すると治ります 。
毎日、少しずつ実践して、脳内に生じていた変調に変化をおこ して症状が軽くなるのです。

マインドフルネス心理療法(SIMT)でなぜ治るのか(6)

社会不安障害・対人恐怖

 人前での行動に不安を感じたり、視線が気になって職場などの集団にいられない社会不安障害があ ります。これは、過去の出来事や生育環境における不安がトラウマになっています。 人前で恥をかいた体験や、生育環境が不安、恐怖に満ちたことが遠い原因になっているようです。 扁桃体や交感神経が過敏で不安や恐怖反応が生じやすいこと、恐怖反応の条件づけが生じています。 視線がこわい状況になることを恐れるとか、失敗をおそれるとか、変に思われるのではないかと考え る予期不安を起こして、 人のいる場所での行動を回避して、実力を発揮できないとか、就職ができないこともあり、自己評価 が低くなります。
 こうした心理的反応パターンと神経生理学的変調が心理的な脆弱性をもたらします。他人が思わな いようなことまで考えます 。本来の価値実現の行動(目前の仕事、遊びなど)に意識を向けずに、他人の視線、自分の評判、自 分の身体反応ばかりに 意識を向けます。それで行動が普通のようではなくなって、周囲の人も変に感じる。それを本人も意 識するから葛藤が非常に強くなって、その場所から逃走するという発作的行動を起こします。そうな ることを恥じたり、おそれるので、仕事とか、人前での行事を回避します。
 ここにも、不安恐怖の条件づけが生じているために、人のいる状況を察知した途端に不安の感情や 身体反応が生じます。同時に悪い結果になる現場での予期不安も起き、不安や身体反応が強くなり、 奇妙な行動、逃避行動を起こします。つぎには、そういう場面に出ようとすると、通常の予期不安を 起こして、出ようとした行動を回避します。2種の予期不安があります。
 こういう連鎖反応は帯状回に刻みこまれていますので、考え方を変えようとしてもなかなか成功し ません。社会不安障害もSIMTで改善します。 SIMTでいう意志作用、脳神経生理学でいうワーキングメモリの回路、すなわち、背外側前頭前野から 帯状回認知領域が活発であれば、回避がなくなります。

 不快事象(視線、動悸、不安など)が起きても、それを 包み映し見る(観察)という訓練がSIMTにとりいれられています。人のいる状況や視線や音や痛みや 不安やすべてをそのまま心の鏡に映す、自分の本音(評価基準)で評価していることの了解、価値実現の行為への訓練を重ねます。不快なことと自分の本音を あるがまま包み観察する訓練をします、つまり不快事象がありながらも自分の基準によることを了解して、現実を回避せず包む作用の訓練が必要です。映し、包みながら、状況を見て、自己や周囲にとって価値ある(目的)ものに 意識を向け映し行動(職場なら仕事そのものに意識を向ける)します。そうした訓練がワーキングメ モリの回路を活性化して、恐怖反応の条件づけの書き換えが生じて、回避や逃避がなくなり治癒に至 ります。

  • 自己洞察瞑想療法(SIMT)でなぜ治るのか
  • Posted by MF総研/大田 at 19:22 | 新しい心理療法 | この記事のURL