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助かった命がなぜ(10) [2011年12月10日(Sat)]

NHKスペシャル 東日本大震災
 =助かった命がなぜ(10)

◆仮設の避難者に睡眠障害が増加

 被災者の方が仮設住宅で睡眠がうまくとれずに苦しんでおられます。  仙台市の8か所の仮設住宅でのアンケートの結果、睡眠障害が疑われる人が50.2%だったとい う。ただし、場所によってバラつきがあり、住民の交流、住民の結束が強い場所では割合が低い。 11パーセントは「重い心理的苦痛を抱えていると疑われる」

 こうして、心配すべき状況になっています。 睡眠障害があるとやがてうつ病になる割合が高いという報告があります。いくつかの理由が推測されます 。
  • すでに軽いうつ病の前段階であって、時がたつにつれて他の症状が現われ、うつ病の診断基準に合致する状況になること。
  • 被害が大きく、失った悲しみが深くて、悩みごとを考えるので交感神経が興奮して眠れないこと、つまり、うつ病になりやすい 悩み、苦悩の思考が多いこと。それが睡眠を妨げる。
  • 大きな悩みがなくても、仮設住宅での不自由な生活で睡眠障害を起こしている場合でも、 睡眠障害が脳内にうつ病をもたらすHPA系(視床下部ー下垂体ー副腎皮質)の興奮を起こすこと。
  • 眠れないことを悩む思考がHPA系(視床下部ー下垂体ー副腎皮質)を興奮させてうつ病をひき おこすこと。
 もう一般的な啓蒙ではなく、具体的な対策、行動をとっていただきたいです。心理的ストレスのケアが必要です。 対策が遅れると、うつ病、不安障害、生活不活発病、要介護状態になるかたがおられて、うつ病も併発し、4被災状況では治りにくくうつが深まると自殺まで進行しかねないので、気がかりです。 マインドフルネス心理療法(SIMT)でも、悪化をくいとめることができるかもしれませんが、 被災地で行ったことはなく、効果は不明です。 心のケアは、 住民の方と結びつきのある方でないと、うまくいかないので難しい問題です。 私の提案は次のようなことです。
  • 医師に睡眠障害の薬を処方してもらうこと。
  • いくつかの場所に住民の方が集まって、信頼された地域の方(インストラクター)の音頭で、 ストレス緩和の呼吸法、リラクセーション法、楽しめる脳活性化トレーニング、ゲーム、運動などを行うこと。そういう時間を持つことが コミュニケーションとなり、結束が生まれるでしょう。 そういう集まれる場所と仮設住宅との間に、巡回バスを運行すること。
  • 重い方には、うつ病に詳しい医師、保健師、看護師、カウンセラーにより心理療法のカウンセリングを行う。うつが重症化しないうちに心理療法を提供すること。
 「せっかく助かった命」なのです。うつ病にならないようにしたいものです。

 睡眠障害を軽くしたり予防したりする程度は、(B)や(C)のスタッフができます。うつ病を治すほどのスキルは求められないと思います。

(続)
NHK スペシャル 助かった命がなぜ NHKの放送を見て提案 被災地の心のケア
Posted by MF総研/大田 at 18:57 | 災害とストレス | この記事のURL