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うつ病の改善例・手記(4) [2011年10月18日(Tue)]
うつ病の改善例・手記(4)
 =マインドフルネス心理療法(SIMT:自己洞察法)によって症状が改善した事例

  • うつ病を治した方の体験談(1)
  • うつ病を治した方の体験談(2)
  • うつ病を治した方の体験談(3)(この記事からの続きです)
    (*筆者注)は、手記にはないもので、大田が加えたコメントです。

    5)薬を減らしていく
     6回目のカウンセリングで、薬についての話がありました。「抗うつ薬は、主治 医の 了解をえてやめていくといい。将来、女性は出産あり、種々の病気もする可能性が ある。飲み合わせが問題になるだろう。副作用もある人がいる。症状が軽くなった ら、医者に相談しながら、減薬、断薬をするのがいい。」という話でした。
     それを聞いて、自分がすでに服薬していることが心配になり、服薬は間違ってい たのかと不安になりました。しかし、この時にも、呼吸法により落ち着くことがで き、冷静な思考判断ができました。

    薬のこと

     「この間のカウンセリングの中で、薬についての話題がありましたが、あの後い ろいろと考えました。 カウンセリングの日の少し前に病院に行ったときに、減薬の話を主治医の先生に相 談したところ、 うつが落ち着いてからも、3ヶ月は同じ量で続けたほうがいいとの回答でした。
     今、一日の最大量の1.5倍の量を飲んでいるので、そのことはうつが改善した 今では 精神的に苦痛です。薬の力よりも心理的なもののほうがうつ改善に大きく貢献した のだとも 自分自身思っています。 この間のカウンセリングのお話しを聞き、私の中に迷いが生まれてきました。
    薬を飲み続けることは良くないのでは・・・、でも勝手に減らすわけにはいかない し・・・ そもそも薬自体飲むべきではなかったのではないか・・・朝目覚めてからその思い が巡り、 少し考えこんでしましました。こういうときこそ、呼吸法をやらなければ。このま ま考えこんで しまったら、元の自分に戻ってしまう。ここが踏ん張りどころだ。と、とにかく落 ち着くためにも 呼吸法をやってみました。そうしたら、とりあえず今考え込んでも仕方ない。飲ん でいるという 事実は変えられないのだし、考えて悩むことは自分を苦しめるだけだ。と、いう答 えがみつかり、 他の行動に移して考えをとめることができました。後で、冷静になってからゆっく り考えてみました。
     やっぱり自分には薬は必要だったのだと。症状がひどくて布団から出るのも苦し かった頃は、テレビも 観ることもできませんでしたし、もちろんパソコンを開くこともできませんでした 。一人でどこかに でかけるのも大変なことで、誰かと一緒でなければどこかに行く気にもなれません でした。 とくに強迫観念も強くて苦しめられていたので、あの時きちんと薬の投薬を受けて いなければ もしかしたら死んでいたかもしれません。苦しすぎて楽になりたくて死ぬことばか り考えていました・・・。
    正常な判断もできないほどのうつの状態では、薬の服用は仕方なかったのだと考え ることにしました。ただ、薬だけでは完治は望めないことも身をもって知りました ので、やはりある程度のうつ状態の落ち着きが見えてきたら、このような心理療法 はとても重要だと思います。
     いろいろな人がいるのでどの治療法があうのかもひとそれぞれで、これという答 えはないのかもしれませんが、 薬物療法と心理療法を上手に利用して、一人でも多くのうつで苦しんでいる人が救 われるように なってほしいです。私は幸運なうつ病者だと本当に本当に感謝しております。」
      (*筆者注)重症のうつ病に薬物療法は効果があることが確認されています。また 、心理的ストレスでかかったうつ病ならば、ストレスから解放されて症状が軽くな れば、医師が減薬、断薬をすすめることが一般的です。再発を繰り返す人は、服用 し続けることも行われています。 減薬、断薬は、主治医の助言をえながらすすめるべきです。


    減薬の開始


       カウンセリングを開始して、1カ月半くらいたったころ、(7回目のカウンセリ ングを受けて、1週間の後)病院での診察の際、お医者さんから減薬を提案されま した。この頃はかなり活動もできるようになっていて、その日も病院に行く前に、 銀行、郵便局、携帯ショップ、美容院、と今までの自分からは想像もつかないくら いに活動できていた日で、心も晴れ晴れとしていました。そして、ついに減薬開始 。症状が落ち着いても、しばらくはこの量でと、言われていて半ばあきらめていた ところ、先生のほうから「してみようか?」との提案でした。薬にお世話になって から8ヵ月。他の薬に変えるのを拒み続けて、1日の最大量の1.5倍までになってい ました。生きているだけで精一杯で、うつのひどかったころは、減薬できる日が来 るとは信じられませんでした。本当に嬉しかったです。

    6)カウンセリングも薬も卒業

    カウンセリング、ひとまず修了


       初回の面接から、ちょうど2か月、8回目のカウンセリングに行きました。
     症状が改善して、安定したので、カウンセリングにこなくて、しばらく、自己管 理でいいことになりました。1か月後に、面接に行くことになりました。
     減薬する場合、何か感覚の変化や不安を感じても、すぐあわてて、薬にとびつか ずに、その感覚などをそのまま観察してしばらく我慢してみなさいとのアドバイス がありました。ついに、カウンセリングも、一段落。
     「この病気になって沢山の人のおかげで命拾いすることができて、最後に背中を 押してくれたのが、お二人。マインドフルネス心理療法にで会うことができなかっ たら、今頃三途の河を渡っていたかも病気になる仕組みと抜け出すために大切なこ とを、8週間かけて教えてもらって、今日が最後の日。」
      (*筆者注)
      この当時は、毎週1回、8回で修了する(約2カ月)というプログラムを標準とし ていました。しかし、このように短期間で修了すると、その後再燃する人もいたの で、隔週1回、半年で修了するプログラム、毎月1回1年で修了するプログラムを 行ってきました。うつ病や不安障害は1年から1年半かかる人が多いです。最近は 、6カ月か12カ月のプログラムを標準としています。


     その1週間後、かねてから行きたいと思っていた九州を旅行しました。親戚の人 たちにも会うことができ、本当に楽しい旅になりました。
     その2週間後(7月中旬)、病院での診察により、薬の量がまた減りました。一 番ひどい時で一日の最大量の1.5倍の6錠だったのですが、その半分の3錠になりま した。
     前回のカウンセリングからちょうど1カ月後、カウンセリングに行きました。結 局、これが最後のカウンセリングとなりました。初めてうかがってから、3カ月。 あとは、呼吸法や生活実践を教えられたとおり、自分でやっていけば、大丈夫との ことでした。「ただ、断薬の時、離脱症状がおきるかもしれない。また、就職など の時、不安が渦巻くかもしれないが、受け入れていくように。もし、必要ならば、 連絡するように。」との助言を受けました。
      (*筆者注)
      初回と、毎月1回程度、さらに最終面接時に、「ツングの自己評価尺度」(SDS)で 、評価したが、このクライアントの点数は、次のとおりだった。
      • 4月17日=65点(初回面接時)
      • 4月29日=42点(課題実行開始して2週間経過)
      • 5月27日=24点(1か月と10日経過)
      • 7月27日=25点(初回から3カ月経過、カウンセリング修了確認時)
      うつ病の精神症状、身体症状について20の設問があり、うつ病の深刻さを知るこ とができます。全く調子がよければ、20点、すべて、最悪のうつ病患者ならば、 合計点が80点となります。通常、うつ病は、59点前後となるといわれています 。この人は、初回、65点だったから、かなり重症であると判断しました。しかし 、わずか、1カ月で、起きられない症状、抑うつ気分が好転し、その後、2カ月安 定したので、遠いこともあって合意の上、カウンセリングは修了としました。ただ し、3か月でこのように症状が好転する事例は少ないです。発病してから、まもな く、心理療法を開始したことがよかったのではないかと思われます。発病してから 、2,3年経過した人では、軽くなるまでに、1,2年かかるようです。
      また、非定型うつ病や不安障害では、この評価表では現在の症状、改善状況の変化 がわかりにくいので、最近は用いていません。


    投薬の完全停止、通院不用






    (続く)
    ★そのほかのかたたち
  • Posted by MF総研/大田 at 21:17 | 新しい心理療法 | この記事のURL