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葛藤時の抑制 [2011年10月13日(Thu)]

心の病気と前頭前野(4)
 背外側前頭前野と前部帯状回の協調で葛藤時の抑制

 ワーキングメモリ(作業記憶)は、現在進行形の情報保持や注意の維持だけでは なくて、不快な事象がおきて感情にかられて発作的に非機能的な思考、発言(激し い暴言)、行動を抑制 して、結果的に自分も後悔せず相手も怒らせない反応をしなければなりません。 今ここでの瞬間的な(文脈における)反応ですから、考え方を変えるようなゆっく りとした余裕は ありません。優秀な実力を持ちながら、発作的な不安、恐怖、怒りによる行動を抑 制できずに、対人関係を悪化させ激しい落ち込み、鉛様麻痺感などに苦悩する人が 多いでしょう。
 行動の抑制の心が活発にならなければ治りにくい問題、障害も多いでしょう。 ワーキングメモリ(作業記憶)の機能が関係するようですが、 注意の移動(ひとつに過度に執着せずに状況に応じて別のことに意識を移動できる 心)、非機能的行動の抑制を働らかせながらの ワーキングメモリ(作業記憶)です。背外側前頭前野(DLPFC) のほかに前部帯状回(ACC)の協調のようです。難しい課題の時には、さらに前頭極 も関係するようです。
     「DLPFCは一貫した選択的注意の統御を担い、課題遂行に必要な「表象を維持す る」機能をはたしている。一方、抑制する必要のあるものに対してはACCがその機 能を担っていると考えられる。」(P86)
 会話中や、仕事中、他者がいなくても強い感情が起きた時に、 非機能的な自分を傷つける(抑うつ症状、鉛様麻痺感などをもたらす)思考、激し い発言、行動(逃避、過食、アルコール、暴力、自傷など)を抑制できるのは、今 ここにおける洞察・抑制・実行反応 です。ストレス、葛藤がまさにある時に、 背外側前頭前野や前部帯状回の機能がうまく働くようにトレーニングしていくこと でしょう。マインドフルネス心理療法は、これに適しているようです。メランコリ ー型うつ病のように、おだやかな状況ではない場面で悪化させる精神問題には、 背外側前頭前野、前部帯状回(ほかに、PTSDは海馬も)の機能回復訓練が必要なの でしょう。
 アメリカのマインドフルネス心理療法者は、覚せい剤依存、犯罪更生、激しい感 情(BPDにみられる)、注意欠陥多動、発達障害などにも応用しているようです。 自閉症の児童も、前頭前野の機能が低下している(P161-184)そうです。 私は、そういう領域には関係していませんので、支援させていただいた経験はありません(*)が 、日本でもプログラムを研究してみる価値があります。
 上記の領域には、マインドフルネス心理療法の手法のどれかを応用拡張した手法 を開発して、集中的に訓練適用してみることになるだろうと思います。 コンピューターを用いた訓練プログラムを開発してみるのも可能性があります。 おおがかりですので、ここではできていません。
     (*)私が改善の支援をさせてもらったのは、薬物療法や他の心理療法で効果がなかったとしておいで になった、うつ病、非定型うつ病、不安障害、過食症、家族の不和などの方です。 うつ病、不安障害などのための標準化したプログラム(セッション1から10)は 50−60ほどの手法を広く浅くトレーニングしています。長い人生を生き抜いて いくために、再発は防ぐべきですので、幅広く 非機能的思考、発言、行動をしない反応パターンを習得していただきます。考え方 を変えるという認知的手法は含みません。認知(考え方)よりも深い「今ここ」と いう瞬間におけるダイナミックな意識作用である<意志作用>を活性化させるとい う哲学的な理論と、ワーキングメモリ(前頭前野や帯状回)、海馬、扁桃体、HP A系(視床下部ー下垂体ー副腎皮質)をはじめとして脳神経生理学的な意味での機 能亢進と機能低下の研究成果を応用します。


注)(P)は「ワーキングメモリの脳内表現」(京都大学学術出版会)のページ

(続く)
心の病気と前頭前野
Posted by MF総研/大田 at 18:31 | 私たちの心理療法 | この記事のURL